第23話 職員室
「終わったーー!」
何処からとも無く聞こえる歓喜の声。
我が校のテスト期間は、無事終わりを告げました。
「終わった…色んな意味で終わった…」
「それな…」
無事には終わっていない人もチラホラ。
彼らが赤点ではない事を願うのみ。
俺は多分大丈夫。
何だかんだ言って、充実したテスト勉強が出来たし。
これもそれも、寺ちゃんのおかげである。
寺ちゃん様々!
「崎本君、部活行きましょう」
「あ、先行っといて。俺、職員室にノートば出して来るけん」
「ああ、数学の?一冊終わったんですね。偉いです」
「えへへ。んじゃ、後でねー」
「はーい」
教室の前で寺ちゃんと別れ、俺は職員室へと向かった。
手には数学のノート。
テストの度に一冊出すと、もれなく平常点が付いてくる。
これが出さずにいられるだろうか、いやいられない。
「先生、これお願いします」
「崎本君じゃありませんかー。また今回の数学は出来たんですかー?」
「分かんないです」
「そんな適当にしてるから君はねー・・・」
あ、しまった。
これ話が長くなるパターンだ。
男にしては高い声で、数学教師の塩崎はツラツラツラツラと何かを話している。
何て言うか…鼻声だよな、この人。
話している内容は全く入ってこず、その高くて細い音だけを、この耳は拾う。
何でこんなに話が長いんだろう?
暇なのかな、この人は。
そう言えば、クラスの女子がこの教師の事を「マジ塩崎かまちょやわー」と言っていた気がする。
なるほど。
誰かに絡みたい系の人か。
うわぁ…面倒くさい。
そう思っていると、遠くのデスクから塩崎先生を呼ぶ声が。
救いの女神の様に思えて目を輝かせた俺だったが、その言葉を聞いた瞬間。
俺は目の前が真っ暗になった。
「塩崎先生ー。藤先生の結婚式の出欠出しましたかー?」
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