第19話 付き合っているの?





そんな事があった次の日から、タイミングが良いんだか悪いんだか、テスト前週間となった。


テストが始まる一週間前から、全ての部活が停止となる。

よって、必然的に先生と顔を合わせる事は無くなった。



こんなモヤモヤしたまま会わなくなるのは嫌だけれども、顔を合わせたところで前と同様には接せないだろう。


やっぱり丁度良かったかもしれない。



「あ、崎本君。そこ間違ってますよ」


「…えっ?嘘、どこどこ」



今は放課後の自習時間後。

俺と寺ちゃんは、皆帰ってしまった中、俺の教室に残りテスト勉強をしていた。


隣同士に座り、うんうん唸りながら——寺ちゃんは勿論静かだ——問題を進めていく。



「そこの問3ですよ。割り算間違えてます…」


「え、あ。本当だ…あはは」


「…うっかりさんなんですね」


「ウ、ウン」


「………」



苦手な数学を泣く泣く解いていると、横から寺ちゃんの声。


何て簡単なミス。

寺ちゃんの視線が痛い。



「少し休憩しますか」


「する!めちゃくちゃする!」


「…少しです」



パタンと教科書を閉じた寺ちゃんの言葉に、俺は喜んで乗っかった。


もう休みたくて仕方がなかった!

当分数字を見たくない!



「そういえば…」


「ん?」



ぐでーっと机に寝そべっていたところ、寺ちゃんから声を掛けられ顔だけそちらを向く。






「崎本君と藤先生は、付き合っているんですか?」





その言葉を耳にした俺は、自分の筆箱を勢い良く落とし、二人きりの教室に硬い音が響いた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る