オタク万歳!

 昨夜、茶葉の量を間違った濃厚な紅茶と『自閉症スペクトラムの少女が大人になるまで』のおかげであまり眠れず、ぐったりしています。

 あ、上記のはボリュームたっぷりないい本なんで読める人はぜひ。自閉症スペクトラムに限らず発達障害って男子の研究が主流なんで、女子とちょいちょい違うとこあるんですよね。


 閑話休題。


 発達障害の研究はアメリカやイギリスの方が進んでいるところがあるので、当事者のエピソードなど海外のものも多く翻訳されています。

 それらを読むたびにね、私心から思うのよ。


 日本にオタクがあってよかった!!!


 作品の話ができれば知り合いになれるオタク文化、細かいところに突っ込めるほど誉められるオタク界隈、個人的には万歳三唱ですよ。

 というのも、特にコミュニケーションの障害が強い人は、「何を」言ってるかはやり取りできても、「どう」言ってるかは読めないことが多いからです。

 台詞が何を告げてるのかはわかるけど、それに載せた演技や隠れた感情はこぼれ落ちてしまう。

 むしろそこなんで必要なの? というレベルから首をかしげることもあります。

(そしてトラブルになることが……うん……)


 また、興味のある分野の話ができるかどうかは重要でも、相手の性格や歴史には興味がなかったり、重視していなかったりする面もあります。

 高校? 職業? 闘病? 結婚?

 なんでそんな「どうでもいいこと」聞いたり話したりしなきゃなんないの、好きにすれば?

 というスタンスは、いわゆる一般社会で浮きやすいものですよね。


(ちなみに私は大学までの知り合いの進路を9割方知りませんし、高校時代は癌の手術を受けた親に対してそう思ってました)

(薄情ちゃうねん、機能開放されてないねん)


 もちろん、オタク同士でも作品の話から自分たちの話になり、仲を深めていく人も多いです。

 それでも"今ハマってる何か"を話題にすればコミュニケーションが取れる、という傾向がオタクの世界は特に濃厚だと個人的には感じます。


 人同士が直接ぶつからず、人そのものに興味を持たずとも、作品がワンクッションでつないでくれる。

 楽だ……と私は心から思うのです。


 たーだーし!

 自分の人格やコミュニケーション能力を磨かないでいい、という訳ではありません。


 オタクだって非発達障害者のほうが多いのです。コミュニケーションのマナーや前提は、どうしても彼らの流儀に寄っていきます。

 自分の障害特性を把握し、発言に留意し、トラブルになれば謝って理由を述べ、許してもらえる程度の信用は築き続ける必要があります。


 ……わかるよ、言ってて自分で鬼畜プレイだと思うもの。

 自分の言動が他人にどう見えるのか、フィードバックを想像するのが難しいのに無茶ぶりだよね。


 自分のやったことや相手の状況をしょっちゅう忘れるから、向こうの余裕がないときに地雷踏むこともあるし、知らない間に嫌われてることもあるし、泥沼の"お話し合い"になることもあるし。


「なぜ怒ったの?(理由が知りたい)」とたずねると挑発と受け取られたり、向こうの怒りが通じてないと思われたりして、こちらとしては意味不明になることもあるしね……


 この世で一番優しい人は地雷をスルーしておくオタクで、この世で一番親切な人はCP戦争に絡まない腐女子だと、私割と真面目に思ってます。


 敵には厳しいですが人には優しい方が多いです。


 まあ、個々人ではいろんな方がいますけど……あと自分は男性の知り合いが少ないので、女性多めでの話ですけど。



 学校での付き合いでは、交流下手でいじめられたり、吊し上げられたりすることがしばしばありました。


 彼女たちの怒りの理由の、本当のところは私にはよくわかりませんでした。


 ……だってね、今思えば障害特性から来るすれ違いとか誤解とかたくさんあるのよ。


 本を読むのに夢中で何言われても聞こえなかったとか、注意散漫でみだし行動をするとか、相手の言葉はわかるけど意思や感情の存在すら知らないとか、自覚も疑問もなかったんだもの。



 そんながたぼろの私でも、オタクや腐女子の中にはいられたし、振る舞いへの注意もしてもらえたのです。

 文を書くことで自分を表す、というやり方も、漫画をかいては見せ合っていたオタク仲間がいたからできたことでした。


 だから、こうして今、私はここであなたに話せる。

 オタクでよかったな、と思うのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る