暴走ロリィタホリック
家に帰る。わたしは部屋のドアを開けて、いつも通り声をかけた。
「ただいま。いい子にしてた?」
「うん。ミカね、今日もいい子でお留守番してたよ」
わたしは目の前の少女、いや、幼女の頭を優しく撫でた。
自分の事をミカ、と名前で言う彼女はわけあってわたしの部屋で暮らしている。部屋からは一歩も出ない。
「おねぇちゃん、大好き」
不意に、彼女が抱きついてきた。わたしも抱き締める。
あぁ、わたしは幸せだ。こんな可愛い子と一緒にいられるなんて。しかも、わたしのことを好きだって言ってくれる。
「わたしもミカちゃんのこと、大好きだよ」
彼女は頬を緩ませ、とても幸せそうな笑みを浮かべた。
わたし、このまま死んでもいいかも、なんて思ってしまうほどだった。彼女はまさに天使だった。
と、階下から知らない男性の声と、母親の声が聞こえた。お客さんでも来たのだろうか?まぁ、わたしには関係ない。彼女との幸せな時間を邪魔されなければ。
しかし、突然にドアが開けられ、わたしの時間は邪魔された。
「警察です」
見知らぬ男性が言った。警察が何の用だろうか?近所で何か事件でも?
警察はわたしから彼女、ミカちゃんを奪い去ると、わたしに手錠をかけた。
え?どういうこと?
「拉致監禁の容疑で逮捕します」
事実のみを告げるような淡々とした声。意味が分からず、わたしはつい、大声で叫んでしまう。
「違う!ミカちゃんはここで暮らさなきゃいけないの!わたしと、ミカちゃんは愛し合ってるんだから!」
「詳しい話は署の方で聞かせてもらいます」
しかし、警察はそんなことを言ってわたしの話を聞こうともしない。
「ねぇ、ミカちゃんからも言ってあげて!」
ミカちゃんは何も言わない。何で?さっき、大好きだって言ってくれたじゃない?わたしと離れ離れになってもいいの?嫌だよね?だったら、何か言ってよ?このままじゃ会えなくなるんだよ?
わたしはそのまま警察に連れていかれた。
そこで聞く話は意味不明なものだった。
曰く、ミカちゃんは1週間前から行方不明になっている。
曰く、六日前に捜索願いが出されている。
曰く、わたしが嫌がるミカちゃんを無理矢理連れてきたのを見た人がいる。
曰く、わたしの母親が不審がって部屋を覗いたら、知らない少女がいたから、通報した。
などなど。本当に、意味不明だ。
だって、わたしは彼女を守っていたんだから。天使のように可愛らしい彼女を世間と言う名の悪魔から。
うん、最初は嫌がっていたかもしれない。でも、何度も話をしたら、最後には分かってくれた。それに、わたしのこと好き?って聞いたら、頷いてくれた。
だから、わたしは悪くない!
ミカ、ずっと怖かった。家に帰る途中、いきなり捕まえられて、知らない部屋に閉じ込められて……。それに、服も脱がされて、ご飯もほとんど食べさせてもらえなくて……。でも、あの人の言うことを聞いたら、ご飯くれて……。だから、嫌だったけど、あの人が『笑って』って言うから、笑った。『わたしのこと、好き?』って言うから、大好き、って答えた。
知らないおばさんが入ってきたとき、驚いて、でも、助かった、って思った。でも、ここから逃げ出したら、どうなるか分からないから、ミカは隠れた。でも、その後、警察の人が来て、あの人を逮捕してくれた。
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