わたしの大切な…

 私たちが初めて会ったときのこと、今でもはっきりと私は覚えているよ。

 不安そうにしてた奈乃佳ちゃん。私も、本当はすごく不安でどうしようもなかった。でも、奈乃佳ちゃんと出会えたから、今の私がある。あのとき出会えなかったら、私はもうこの世にいなかったかもしれない。だから、奈乃佳ちゃんは私の命の恩人。

 でも、そんなの、関係なく、私は奈乃佳ちゃんを大事に思っている。

 私は奈乃佳ちゃんがいないと何もできない。そして、きっと、奈乃佳ちゃんも私がいないと何もできないんだと思ってた。

 だから、私たちは互いが互いに依存しあっている存在。どちらか片方が欠けてもダメになっちゃうような。

 でも、奈乃佳ちゃんは変わっちゃった。私は変わらないのに。だから、なのかな。私といると奈乃佳ちゃん、疲れるみたい。

 だから、私、捨てられちゃうの?嫌だよ。私を置いていかないで。私には、奈乃佳ちゃんが必要なの!だから…。

 他の子のところに行かないでよ。そんなに、嬉しそうにしないで。

 お願いだから。


「やっぱり、フレームはこのままで、レンズだけ交換でお願いします」


 え?奈乃佳ちゃん、それって、これからも私と一緒にいてくれるってこと?さっきまで、他の子のところにいたのに?私の元に戻ってきてくれるの?


「これからも、よろしくね」


 奈乃佳ちゃんが私に向かって言ってくれる。嬉しい。大好きだよ、奈乃佳ちゃん。


「なんか、たまにこの眼鏡、わたしに話しかけてきてくれてる気がするんだよね。悪い意味とかじゃなくて、いい意味で。だから、ずっと、この子と一緒にいたいなぁ、って」


 奈乃佳ちゃんが優しく撫でてくれた。それだけで私は幸せになれた。それなのに、さらに、奈乃佳ちゃんも私と同じように思ってくれてた。ありがとう。これからも私は奈乃佳ちゃんと同じ景色を見ていくよ。

 こちらこそ、よろしくね。

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