おやつ

 美咲は楓の家に遊びに来ていた。お菓子を食べながらいつものように他愛のないことを話していた。

「あ、それ、最後の一本じゃん」

 美咲は期間限定のポッキーを食べようとしてないことに気付いた。そして、楓がくわえていることにも。

「え?食べたかった?じゃぁ、食べていいよ?」

 楓はポッキーをくわえたまま、美咲に差し出した。

「え?じゃぁ、いただきます」

 美咲はそっとそれを口にする。

 一口、また一口。

 その度に二人の距離は少しずつ近付いていった。二人の距離が残りわずかになったとき、美咲は動けなくなった。

 このままだと唇が触れてしまう。けれども、身体を離すこともなぜかできなかった。

 楓は動かない美咲を抱き締めると同時、その距離をゼロにした。

 自分の口の中にあるポッキーを楓の口に押し込む。同時に舌を絡ませた。

「んっ」

 美咲の口から甘い吐息がこぼれ出す。

 楓は二人の舌を使い、表面のチョコを溶かし、中のプレッツェルをつぶした。

 さらに舌を絡ませ、美咲のすべてを味わい尽くそうとする楓。美咲は最初、されるがままだったが、それに応えようとした。

 しかし、楓はそっと離れていった。

「ねぇ、美味しかった?」

「……分かんない。頭が、ぼぉっとして……」

 楓が聞くと、美咲は虚ろな目で虚空を見つめながら答えた。

「ねぇ、じゃぁ、その先、してみる?」

「先?」

「うん。もっと、気持ちいいこと」

「……う、うん。して?」

 恥ずかしげに、頬を上気させながら美咲が答えると、楓は美咲のブラウスを脱がし始めた。

 露になる下着。それをずらすと露になる双丘。それにそっと触れ、先端を指でいじる。

「んっ、か、かえ、で……」

「声、出してもいいんだよ?」

 美咲は声を圧し殺そうとた。しかし、楓の言葉により、口から自然と今まで聞いたことのないような声がこぼれ出した。

 その声に満足した楓は自らも脱ぎ出し、美咲の手を自分の胸に当てた。

「ねぇ、美咲もしていいんだよ?」

 ぎこちなく美咲は手を動かす。

 二人の口からは甘美な声が溢れ出してくる。そして────


 終わったあと、一糸纏わぬ姿で二人はベッドにいた。

「ねぇ、どうだった?気持ちよかった?」

 楓が聞くと美咲は小さく頷いた。楓はそっと微笑むと、美咲に優しくキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る