更衣室

「大丈夫?」

 そう声をかけてわたしは更衣室に入った。

 熱湯がこぼれて、後輩の美波ちゃんの制服のスカートに盛大にかかっていた。予備の制服は更衣室にあるから、着替えてもらうことになった。

 そんな美波ちゃんはスカートを脱いで下着姿だった。もちろん、上は脱いでないから、下だけだけれど。

「あ、はい。大丈夫です」

 実際、美波ちゃんの足、と言うより、太ももを見ると赤くはなっていない。だから、本人の言う通り、大丈夫なのだろう。でも、それでも、心配にはなる。

「もうちょっと、ちゃんと見せてもらってもいい?」

「え?あ、はい」

 専門的なことは分からないけれど、それでもわたしも確認したくて聞いたら、美波ちゃんは頷いた。

 美波ちゃんの前で目の前に太ももが来るように座る。間近で見ても赤くはなってないし、大丈夫そうかな。

「うん、ありがと。大丈夫そうだね」

「はい。あ、あの、先輩、恥ずかしいです」

 その言葉に顔をあげると、顔が真っ赤になっていた。

 なぜ?と疑問になったけれど、冷静になると、下着姿を堂々と眺めてるような画になってない?女同士だから、わたしはそんなに気にならないんだけれど。

「別に女同士だから、いいんじゃない?この太もも、わたし的には大好きだけどな」

「で、でも、その、下着姿ですし…。あ、あんまりじろじろ見ないでください」

 シャツを下に引っ張りながら、顔を真っ赤にしながら、必死に美波ちゃんは言ってきた。でも、その言動一つ一つが可愛くて、つい、もう少し眺めていたくなるけれど、我慢して立ち上がった。

「ごめんね。それじゃ、わたしは戻るから、着替えたら美波ちゃんも戻ってきてね」

 わたしは頭を軽く撫でると更衣室を後にしようとした。扉を開ける直前、美波ちゃんに呼び止められた。

「先輩、心配かけてすみません。あと、ありがとうございました」

 振り返ると、深々と頭を下げていた。

「うん、じゃ、行くね」

 わたしはそのまま更衣室を後にした。






 先輩に、見られてるとき、すごいドキドキした。いつもの着替えてるときとは違って、あんなに近くなんだし。もう、心臓が飛び出ちゃうかと思ったよ…。

 でも、今の時間、忙しいのにわざわざ心配して見に来てくれたんだ。

 そのことがわたしはすごい嬉しかった。

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