恋の終わり
公園のベンチに一人の少女、朱音が浮かない顔で座っていた。
バッグの中でスマホが鳴っても出そうともせず、じっとしていた。
「朱音、何で出てくれないの?」
電話に出ないことを不思議に思った友人の玲奈が声をかけた。
「うん、ちょっとぼぅっとしてて」
「そうなんだ。で、聞いてくれる?」
「うん。その、告白、したんだよね?」
「うん!それでね、彼、いいよ、って!」
「そっか、おめでと」
そう言う朱音だったが、その表情は先程よりも曇っていた。
「朱音?元気ないよね?何かあったの?」
「……ねぇ、玲奈はわたしのこと、どう思ってる?」
「え?親友、だよね?」
「そう、だよね。でも、わたしはそう思ってないの。玲奈のこと、好きなの!」
「え……?」
突然の告白に玲奈は何も言えなくなった。
「わたし、ずっと好きだった。でも、言えなかった。玲奈が気になる人がいる、そう言ったときも本当は嫌だった。でも、玲奈の笑顔が見たいから、応援してるふりしてた。心の中ではフラれればいい、そんなこと、思ってた。わたし、嫌な女だよね?」
「そんなことない!わたしが、朱音の気持ちに気付かなかったわたしが悪いの。ごめんね」
「違うよ!わたしが悪いんだよ!玲奈は何も悪くない!わたしが……」
朱音は大粒の涙を流し始めた。玲奈はそっと抱き寄せた。
「ねぇ、玲奈。これからも、わたしと一緒にいてくれる?」
「うん。当たり前だよ。朱音はわたしの親友なんだから」
「でも、玲奈には、か、彼氏が……」
「それでも、だよ。ね?友達だったらずっと一緒にいられるんだよ?」
「こんな、わたしでも、友達だって、言ってくれるの?」
「うん」
「ありがと」
朱音は泣き続けていたが、その心はさっきまでとは違い、晴れ始めていた。
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