ネタ切れ作家?

 星野和美と成田貴子は趣味で小説を書いている。二人の名前を合わせて、星成和貴、というペンネームでカクヨム、というサイトに公開している。

 そして、自身が書いている百合色の世界(他の作品も書いている。興味のある方は作者の他の作品、を見てください)について、悩んでいることがあった。

「色々書いてきたけどさぁ、そろそろネタ切れじゃない?」

「そだねぇ」

「なんか、いいアイディアない?」

「実体験も結構書いちゃったよねぇ」

「うん。だから、困ってる」

 彼女らの言う通り、公開している一部は彼女らの実体験も含まれている。それを名前を変えたりして分からないように執筆していた。

 と、パソコンに向かって何かを打っていた貴子は手を止めた。

「こんなのはどう?」


     ☆

「ねぇ、こんなのはどう?」

 わたしは和美を呼んだ。和美は近付いてきてパソコンの画面を、わたしが今まで書いていた小説を見た。

 和美の顔が近くにある、それだけで胸が高まって、我慢ができなくなった。

 和美の顔を引き寄せ、そっとわたしはキスをした。

「ちょ、何するのよ」

 和美の顔は赤く染まっていたが、嫌がってはいなかった。

 …………

     ☆



「何これ?」

 和美はそれを画面上に映し出されていたそれを読んで眉間にシワを寄せた。

「今の状況から作ってみた」

「それで、またキス?」

「だって、キス好きでしょ?」

「そ、それは……まぁ、好きだけど」

 小説の中だけでなく、実際の和美も顔を赤くした。そして、意を決したように作中とは逆に貴子の顔を引き寄せ、キスをした。

「お返し。不意打ちでキスされたから」

「それは小説の中の話で、これは現実。だから、」

 そこで言葉を切ると、貴子は再び和美にキスをした。

「これで、相子」

「違う。それ、アップするならわたし、されちゃってる」

 和美はお返しとばかりにキスをした。

「小説と現実は別」

 貴子もキスを返した。

「でも、」

 それだけ言って、和美はキスをした。

 貴子は、無言でお返しをする。それに対し、和美も無言でお返しをする。

 何度も何度もキスをし、ベッドに二人で倒れ込んだ。そして、…………




 一夜明け、二人は裸でベッドで横になっていた。

「ねぇ、昨日のわたしたちのあれ、そのままアップできるよね?」

「そだねぇ」

「じゃぁ、する?」

「そだねぇ。でも、そのまま書くと運営に怒られるよ?」

「バ、バカ!あれ、書いたりしたらわたしがまず怒るよ!」

 和美の顔は真っ赤になっていた。昨夜、ベッドに倒れ込んだあとのことを思い出したからだ。

「じゃぁ、ベッドに倒れ込むところまで?」

「うん。貴子がいいなら、書かない?」

「わたしはいいよ。それじゃ、今回はわたしが書くね」

「うん、よろしく。あ、でも、名前、どうする?」

「もう、そのままでいいじゃない?」

「でも、名前ばれるの、恥ずかしくない?」

「そだねぇ。でも、最後にあの言葉書いておけば問題ないんじゃない?この前みたいに」

「そうかな?じゃぁ、お願い」

「分かった」

 貴子は立ち上がり、服を着るとパソコンに向かって執筆を始めた。

 和美はその後ろ姿を終わるまで見つめていた。




 この物語はフィクションであり、実在する星成和貴とは関係がありません。二人の女性による共同ペンネームではありません。という設定です。

 あ、他の作品も公開している、というのは事実ですよ。よかったら、そちらもどうぞ。

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