【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第7回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」、最終回の第7回をお届けします。

※「カクヨムコン歴代応募作品講評会」とは? という方は第1回の記事をご覧ください

第7回 掲載作品

【キャラクター文芸】園児からはじめる! 中世武術がよくわかる本 作者 みやこ留芽
【現代ファンタジー】コンビニバイトをはじめたら、まともな人間が俺しかいないんだが!? 作者 神坂 理樹人
【ラブコメ】幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる 作者 向原 行人
【SF】WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」 作者 くら智一
【異世界ファンタジー】ダン・ディ!~その男、ダンジョンディガー~ 作者 栄織タスク


【エントリーNo.26 キャラクター文芸
ロングソードと女子小学生
園児からはじめる! 中世武術がよくわかる本 作者 みやこ留芽
あらすじ:
騎士道物語を枕に育った少女は、みずからも立派な騎士になりたいと願い、やがてその舞台としてアーマードバトル(*)と出会います。
そんな少女のもとに集まる仲間。彼女たちを追うナゾの美人記者。そしてライバル。
友情が衝突し、ときに夢破れ、それでも少女騎士たちは『自分だけの騎士道』をもとめ世界へ向けて邁進します。
大股歩きで成長する小さな騎士のガールズストーリー!

※本作品で取り上げる『アーマードバトル』はその日本における唯一のリーグであるJABL(ジャパン・アーマードバトル・リーグ)のルール等々を参考にさせていただいております。カクヨムの規約によりURLを掲載できませんが、興味のある方はぜひ公式ホームページをご覧ください。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
日本人にはまだ馴染みの薄いアーマードバトルを主題として、そこから騎士道の振る舞いについて、しいては人生観まで掘り下げたところが興味深かったです。幼い少女とアーマードバトルという一見ミスマッチとも思える組み合わせに意外性がありました。道具についての解説や、試合シーンでの技や駆け引きなど競技としての描写にリアリティがありました。思春期の少女たちの複雑な人間模様や友人関係が描けていて読者の共感を得られると思います。

◆改善すると良くなりそうな点:
ヒロインは多いのですが、もう少し女の子らしい天真爛漫さが欲しかった。キャラクター同士が恋愛関係でドロドロしていて一般読者がスポーツものに期待する爽快感や達成感が薄い。序盤から中盤まで騎士道を描きたいのか、百合を描きたいのか、どちらに着目すればいいのか読者の意識が分散してしまいます。終盤の選抜大会以降のチーム一丸となって目的に向かう勢いは素晴らしかったです。読者が素直に格好良いと思えるキャラクター、熱い試合と爽やかな女の友情という単純明快な面白さ、受け取りやすさをまずは優先してみてください。


【エントリーNo.27 現代ファンタジー
お客様! 待って! 変なのばっかりだけどちゃんとしたコンビニですから!
コンビニバイトをはじめたら、まともな人間が俺しかいないんだが!? 作者 神坂 理樹人
あらすじ:
 憧れの大学生、憧れの一人暮らし、憧れのキャンパスライフ。
 晴れて大学生になった高橋要《たかはしかなめ》はそんな想像とは外れて、入学早々ぼっち街道まっしぐら。何かを変えようと思っていた矢先に見つけた好条件のコンビニバイトを始めることにする。
 まったく客が来ないコンビニ、バックヤードで生活している店長、働かない女子高生、難しい言葉を並べる少女、小学生にしか見えない自称淑女。
 このコンビニ、もしかして何かがおかしい!?

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:4
・ストーリー:2
・世界観:2
・文章力:3

◆良かった点:
コンビニという身近な場所を舞台としながら、人間以外の存在がたむろする奇妙な空間を演出できており、終始楽しく読むことができました。最初はコンビニバイトで唯一の人間だった要ですが、話が進むにつれて実はこいつが一番おかしいのでは?となっていく展開にも笑わせてもらいました。
店長を始めどの店員も非常にキャラが立っており、店員としてはダメダメなのだけど人間(?)的には憎めない人ばかりで、どのキャラにも好感が持て、彼らと要のやりとりも楽しく読むことができました。こうしたキャラクターを魅力的に見せるセンスは大きな武器となるはずです。

◆改善すると良くなりそうな点:
コンビニ経営の話なのですが、肝心のコンビニに関するエピソードが弱く感じました。別にコンビニ経営が成り立たなくても作中人物は誰一人困らないこともあって、極端な話、本作の舞台はコンビニじゃなくても成立するように感じられました。せっかくコンビニを舞台にしたのであれば、コンビニでの仕事内容をもっと掘り下げつつ、それを上手くキャラクターの個性と組み合わせることで、ただのコメディで終わらず、お仕事ものとしても更に魅力のある作品にできたと思われます。


【エントリーNo.28 ラブコメ
幼馴染の事が好きだから、僕は昼夜問わず迫ってくる金髪美少女に負けない!
幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる 作者 向原 行人
あらすじ:
幼馴染の明日香の事が好きな僕――川村優斗が長年の想いを伝えようとした所で、見ず知らずの金髪母娘に突然抱きつかれた。
「パパー! だっこー!」
いやいや、僕はまだ大学生だし、結婚なんてしてないから。
「優ちゃん。ウチ、二人目は男の子がいいなっ!」
服っ! 何でも良いから服を着てっ!
明日香と一緒に居る時に、突如現れた金髪母娘。
全く身に覚えがないのに、いきなり僕の妻と娘だなんて。そんなの、ありえない。
しかも濡れ衣なのに、保育士を目指す妹の言葉で家に居候させる事になって……金髪美少女が昼夜を問わず迫ってくるっ!

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
最初からクライマックスなドタバタ感、まさに掴みは完璧です。冒頭部というのは作品の顔。それがよくなければその後ずっと悪印象を引きずることになります。ページをめくりたくなる美顔でした。
そしてライトで読みやすく、さらさら読み進められる文章もいいですね。読者を選ばないとっつきやすさは強い武器です。さらに研ぎ上げていただければ。

◆改善するとよくなりそうな点:
悪くないけれども突出したものがない。それが全体の印象でした。
王道とはそれだけ多くの人が好むと同時、戦わなければならない敵(応募作や既存作)も多いものです。その中から勝ち上がるには、「これだ!」というものが必要不可欠。
女子キャラというプラス要素を重ねるばかりでなく、そうしたプラスを丸っと覆すほどのマイナス要素――あくまで一例ですが、主人公が宇宙人しか愛せないキャラだとか、ハーレム作りへ挑まずにいられないチャレンジャー過ぎる男だとか――を物語へぶち込んでやるなど、ギミック部分での工夫をしてみてください。

さらに、諸々の進行や描写をセリフに頼る部分が大きく、特にキャラの心情描写が薄いことも課題点。地の文章を活用することもそうですが、軽妙さを増すためにそれぞれのキャラクターの内側を表わせるセリフというものについても考えていただければ。


【エントリーNo.29 SF
IT技術 × ファンタジー = 新感覚!文芸技術書エンタメ
WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」 作者 くら智一
あらすじ:
 青年アキムは結論を迫られていた。上空に浮かぶ「影の王」の輪郭――真球の姿をした巨体、圧倒的殺戮能力を持つ人類の宿敵は、現在100年の眠りについていた。目覚めるまでの期限はあと12年。一度は滅亡の危機に瀕したレジスタ共和国は対抗策を講じていたが、武器は「魔法研究所」が開発を続ける魔法弾のみ。木々を揺らすだけの弱い光の塊に比べ、敵の大きさは直径50メートル。巨大さから「第3の天体」とも喩えられる。
 彼は無理難題を解決する為、戦闘中とある知識に目をつける。別の世界に存在すると文献に記載された「ソフトウェア」と呼ばれる情報技術だ。世界を仰天させるアキムの謎解きが幕を開ける。

★主人公が「魔法弾」と呼ばれる小さな光の塊を、ソフトウェア(C言語プログラミング)の仕組みと独創的な発想で拡張させ、巨大な敵と戦う物語。ページをめくった瞬間、ファンタジー戦記&SF&ミステリーの複数ジャンルを網羅した新しい世界が飛び出します。徐々に明らかとなる敵の正体と世界観の謎……。ラストまでどうぞお楽しみください。
★本作は情報技術を嘘偽りなく魔法とファンタジーで表現したITの手引書でもあります。読み進めることでコンピューターやプログラミングの「コツ」(=知恵・知識)を習得できます。

◆点数評価:
◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:4
・キャラクター:2
・ストーリー:3
・世界観:3
・文章力:3

◆良かった点:
主人公たちの使う魔法を、実際のプログラミング言語をモチーフにして改良していくというプロセスが面白かったです。トライ&エラーを繰り返しながら、着実に一歩ずつ進んでいくという展開は読んでいて楽しく、また中盤で主人公がどん底に叩き落され、さらには人類そのものが滅亡の危機に瀕しながら、それでも再起しようと立ち上がるという展開は非常に燃えるものがありました。
また主人公たちが敵対する影の王の正体とその対処手段が、これまでの伏線を上手く使っていながら予想外な展開もあって、面白かったです。

◆改善すると良くなりそうな点:
最初に使用できる魔法が「魔法弾を発射する」という形式に固定されているため、魔法の改良の方向性も「いかにして魔法弾を効率的にパワーアップさせるか」に固定されてしまっているのが残念でした。もう少し魔法士の力を柔軟なものにできれば、話の幅もより広がったと思います。
また主人公であるアキムはよく書けていると思うのですが、サブキャラクターはやや弱いように感じられました。アキムに最後まで肩を並べて戦うような戦友がいなかったのはちょっともったいない気がします。またライバルであるデスティンにしても、最初はアキムを認めていたがアキムの研究が評価され始めるとその功績を妬み始めるといった具合に、精神的な落差を加えるとより人間味が出るのではないでしょうか。


【エントリーNo.30 異世界ファンタジー
ダンジョンほろうぜ(物理)
ダン・ディ!~その男、ダンジョンディガー~ 作者 栄織タスク
あらすじ:
アンタが新しいダンジョンマスターかい?
俺の名はコージ。ダンジョンディガーだ。
アンタのサポートをするためにやってきた。よろしくな。
いいダンジョンにするのも悪いダンジョンにするのもアンタ次第だ、頑張ろうぜ。
準備はいいか?
よし、ではコレを使ってくれ。
……これが何かって?見て分からないか、スコップだよ。
おいおい、何言ってるんだ。
俺とアンタで掘るんだよ、当たり前だろ?

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
これ以上飾れないほどに「いいネタ」でした! ダンジョンを掘るという、ひと言で説明しきれる上にひと目で続きが読みたくなるテーマもですが、そこに留まらずダンジョンとはなんぞやまで持っていく展開、一気に惹き込まれました。
そしてキャラクターにもそれぞれ味わいがあり、特徴的な語尾やしゃべりかたではないのに、セリフを見ただけで誰がしゃべっているのかわかるほど強い個性があったことも評価点です。

◆改善するとよくなりそうな点:
セリフ頼りなことが最大の問題点です。
説明を含めてほとんどのことがセリフに収められていることで、キャラクターの心情表現が非常に薄くなってしまっているのです。せっかくいいキャラがいるわけですので、説明ゼリフを減らし、その分、背中や表情で語らせる――地の文章で表現する――ことを意識してください。
一人称や三人称の違いによらず、地の文章は状況を説明するばかりのものではなく、キャラの内面を読む側へ伝えるツールです。有効に活用し、物語を盛り上げていきましょう。

三点リーダー(……)の多用には注意してください。間を作るのに便利なものですが、文章やセリフ表現の工夫に繋がらず、結果的に物語を拙いものにしてしまいます。
“!”や“?”の後はひと文字分空けるという文章作法にもご注意を。


【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第6回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」、第6回をお届けします。

※「カクヨムコン歴代応募作品講評会」とは? という方は第1回の記事をご覧ください

第6回 掲載作品

【現代ファンタジー】カネサダを北極星へ向けろ 作者 梧桐 彰
【ホラー】彼女を待ちながら 作者 斉賀 朗数
【恋愛】ヴァンパイアらばぁあ! 作者 巴 遊夜
【キャラクター文芸】メグル・ゲームミュージック 作者 痩身


【エントリーNo22 現代ファンタジー
ゾンビVS日本刀 少女のため真剣は死者を斬るか
カネサダを北極星へ向けろ 作者 梧桐 彰
あらすじ:
僕は上町邦彦。剣道部の中学生だけど試合は負けっぱなし。明日で退部する予定だった。
次の日。世界はゾンビに覆われた。
父さんも母さんも死んだ。部員も同級生も死んだ。生き残ったのははるか遠くにいる、片思いの幼なじみ。
僕を助けてくれたのは、それまで大嫌いだった剣道だった。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:4
・ストーリー:2
・世界観:3
・文章力:3

◆良かった点:
街中でゾンビが大量に発生するパニックものは星の数ほどありますが、本作はそこに武道の精神や技術を組み合わせることで、既存の作品との差別化を図ることに成功しています。日本刀、木刀、和弓、スコップ……。銃のない日本を舞台にしながら、様々な武器でゾンビと対峙する描写が印象的でした。
キャラクターもそれぞれ魅力的なのですが、孫思いで腕も立ち、命の危機に瀕しても最後まで邦彦に教えを授けるお爺ちゃんが非常にかっこよかったです。若者だけではなく、他の年代の人物を魅力的に描けるというのは大事な武器なので今後も大切に磨いていってください。

◆改善すると良くなりそうな点:
武術を強調する、学生の主人公でも対応できるようにする。この二つの要素を成立させるためにゾンビがやや弱く感じられ、「この程度のゾンビだったら撃退できる大人がもっといるはずでは?」と邦彦たちの置かれている状況に違和感が出てしまいました。ここのパワーバランスはもう少し整合性をつける工夫が欲しかったです。
また邦彦がユミを助けに行くというストーリーは良いのですが、後半になると上手くユミと合流しても帰還は無理そうだなという絶望感が強く、サラ姉の助けだけではまだ弱いので、もうちょっと登場人物にこの先も生き残れるような希望を与えてほしかったです。


【エントリーNo.23 ホラー
彼女を知らない方がいい。物語を彷徨う事になる。
彼女を待ちながら 作者 斉賀 朗数
あらすじ:
印象的な靴を履いて、今時のおしゃれな服装に身を包んだ一人の女性。彼女は問う。
「今の生活に満足している?」
人生と言う問いに、答えを求めるのは間違っているのだろうか。

《喜び》というものの種類は多種多様ありますが、《恐怖》というものの種類は比較的少なく感じます。
種類というより振り幅と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
その振り幅の上限ではないところ、心を気付かない程少しずつ切り取り続けていく恐怖を与え続ける事が出来ればと思います。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
主人公を掘り下げた「深さ」に驚かされました。ここまでしっかりとひとりの人間像を描き出せる筆力は説得力となり、どうして主人公がその行動を取ったのかに疑問を挟ませませんでした。お見事です。
そしてそれを生かせるだけの明確さ(舞台設定や描写)が世界観にもあり、物語の空気感をよく醸し出せていたのもいいですね。「におい」という、文章と相性の悪い要素を十全に引き立てられているのは評価ポイントです。

◆改善するとよくなりそうな点
キャラクターがいて、雰囲気もある。しかしそれを魅せるドラマが弱いという印象です。
ホラーでは、どんなエピソードにおいてもその裏に「這い寄る恐怖の気配」が感じられなければなりません。
言い換えれば期待値ということになるのですが、ドラマの起伏が小さいことでその恐怖への期待値が上げられず、せっかくのお膳立てが効力を発揮できなくなってしまっているのです。結果、物語の印象が冗長になってしまっているのは本当に惜しい。
話を引っぱる。読者を焦らす。どちらも有用な一手ですが、特に応募作では「出し惜しまない」ことを心がけてください。ネタを尽くして話を引っぱり、キャラやサイドエピソードの魅力をもって読者を焦らし、ピンポイントで大きなドラマを叩きつける。この構成を心がけでいただければ。


【エントリーNo.24 恋愛
ボクっ娘少女と男性吸血鬼のお人好しから始まる恋
ヴァンパイアらばぁあ! 作者 巴 遊夜
あらすじ:
※登場する魔物・魔族にオリジナル設定が多く含まれます。
人間界と魔界が融合し、一つとなってから百年以上が経った近未来。
お人好しで中性的な顔立ちの少女、時詠茜はある日、怪我をしたアデルという人物を見つける。放っておくことができなかった茜は病院に連れて行こうとするが、アデルは拒絶した。少し休めば問題ないと彼は言う。そんなわけがないだろうと反論した茜にアデルは自身が吸血鬼であることを明かした。
それでも病院に連れて行こうとする茜にアデルは言った「血を分けてくれれば傷はすぐに癒える」と。これも茜は動じず、自身の血を飲めばいいと答えた。あまりにお人好し、いや危機感のない茜の行動にアデルは困惑する。これが二人の出会いだった。
これは魔族と人間が共存しあう世界で始まる人間と吸血鬼の恋物語。

近未来と現代を混ぜたようなファンタジーの恋愛物となります。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
お互いに恋愛経験のない、異性への関心が薄い二人が次第にお互いを意識していく過程が初々しくて清々しかった。普段は生真面目でクールなアデルですが、茜が絡むと嫉妬深かったり冷静さを失ったりする姿は人間味が垣間見えてよかった。種族の垣根を越えた愛という一見ありふれたテーマですが、上手くいくばかりでなく苦労もあり、ときには悲恋もあり、夢物語でない地に足がついた恋愛模様の悲喜交交が胸を打ちました。

◆改善すると良くなりそうな点
アデルと茜の関係が順調に行き過ぎて物足りなく感じます。もっと恋の障害やライバルを登場させて盛り上げましょう。茜側によったほのぼのとした日常パートはよいのですが、アデル側によったシリアスな事件パートをさらに厚めに描くとメリハリが出ると思います。例えば犯罪組織に茜が人質に取られてしまったり、善意から冤罪事件の容疑者を匿ったり、共に事件や危機を乗り越えていくことでお互いの信頼や愛情を盛り上がっていく「吊り橋効果」を演出してみてください。


【エントリーNo.25 キャラクター文芸
本当に好きなもの、ありますか。
メグル・ゲームミュージック 作者 痩身
あらすじ:
 大学に入学した真面目一辺倒な青年、白井健(しらいけん)は、ゲーム音楽を愛し、ゲーム音楽に全てを捧げる少しおかしくも可愛い先輩に出会う。
 なぜそこまで好きなのか。何がそこまで駆り立てるのか。
 ぶっちゃけドン引きするくらいゲーム音楽を語られた末、半強制的に先輩の所属する軽音楽部に入部させられる。
 始まってしまった部活動の日々、初めてのバンド体験。
 様々な出会いや経験を通して、ゲーム音楽を巡る二人の成長を描く、そんな話。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
一人称を使いこなした主人公の心情描写の深さは文句なしの完成度。結構マニアなんだなという下敷きをきちんと見せた上で本題へ滑り込んでいく自然さで、物語にするりと惹き込まれました。
ゲーム音楽だけでなく、ゲームの魅力について熱く語られているのも、それを知らない人にきちんと伝えようという意識の高さがあり、好印象。こうした独りよがりに落ちない気配りは本当にすばらしいものです。

◆改善するとよくなりそうな点
音楽ものなのに演奏の描写がほぼなく、表現もまた拙いことは大きなマイナスでした。これは蘊蓄部分の比重が大きく、会話劇が中心になっている構成的問題もあるのですが、やはり音楽がテーマですから、演奏が作品の軸にないと映えません。
章にひとつは演奏(練習)シーンを置き、それを積み重ねて大きなカタルシスをもたらすクライマックス演奏シーンを据える。この「映え」を押さえて構成できると、会話劇もさらに魅力を増すはず。

汗をかけ、というと乱暴になりますが、作者の苦労は作品にかならず輝きをもたらします。テーマとしっかり向き合い、これがあるからこそ、このテーマはおもしろいんだと言い切れる作品に仕上げてください。


第7回は11月17日更新予定です。

【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第5回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」、第5回をお届けします。

※「カクヨムコン歴代応募作品講評会」とは? という方は第1回の記事をご覧ください

第5回 掲載作品

【異世界ファンタジー】パーティー追放された者同士で組んだら、全員魔剣士だったけど割と万能で強かった件 作者 @-Hunya-
【キャラクター文芸】ぼくたちはバイトがあるので異世界にはいけない。 作者 犬怪寅日子
【現代ファンタジー】おしゃま少女ヒゲグリモー 作者 オジョ
【SF】摩訶★大戦隊 ダイ×ショウ×ギ×レン×ジャー 作者 gaction9969


【エントリーNo.18 異世界ファンタジー
魔剣士フルパが強すぎる件
パーティー追放された者同士で組んだら、全員魔剣士だったけど割と万能で強かった件 作者 @-Hunya-
あらすじ:
勇者見習い職とされる“冒険者”をしていたハルトは、ある日突然パーティーを追放されてしまう。
そして同じくパーティーを追放されたマナツ、モミジ、ユキオの3人とパーティーを組む。
しかし、4人の職業は全員“魔剣士”であった。
前衛も後衛も中途半端で決して良い待遇を受けない魔剣士だけのパーティー。
皆からは笑われ、バカにされるが、いざ魔物と闘ってみるとパーティーボーナスによって前衛も後衛も規格外の強さになってしまい――
偏った魔剣士パで成り上がりを目指す冒険ファンタジー!

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
メインの四人がみな好感を抱けるキャラクターになっていて、関係性のバランスもよかった。普段の日常やシェアハウスでの暮らしぶりも仲間の絆や人間味を感じさせて心温まりました。戦闘力が強化されるメリットと、仲間から離れられないというデメリットがあり単純なチートになっていない設定がよかった。ただ力押しするのでなく、連携や作戦の駆け引きのある魔剣士パーティだけの戦闘シーンも練られていたと思います。本人の意志ではなく冒険者を強制させられている彼らが、何のために戦うのかという理由を自問自答するところが、現代の若い読者の共感を引き出せると思いました。

◆改善すると良くなりそうな点
追放ものとしては、元いたパーティや周囲を見返すというところに読者のフラストレーションを払うカタルシスがあると思うのですが、そこが解消しないまま話が進んでしまって少しモヤモヤしました。主人公たちがほぼ街から離れないため世界観が狭い。異世界ファンタジーらしく夢やロマンを感じさせる冒険をさせましょう。パーティバフだけでない成長要素も加えるといいでしょう。魔法剣であったり、合体魔法であったり、新たなスキルや必殺技を習得するイベントを設けても盛り上がります。


【エントリーNo.19 キャラクター文芸
ともかく定時であがりたいバイトリーダーと有象無象のバイトたち!
ぼくたちはバイトがあるので異世界にはいけない。 作者 犬怪寅日子
あらすじ:
関雅人はともかくおうちに帰りたい、ネットカフェで働くごく一般的なフリーター。
十二連勤を終え、休みを目前にした定時の17時に帰ろうとするが、暇を持て余すバイト先に、なぜか8人もの人間が出勤してきて――?
みたいなバイト生たちのドタバタ群像劇と、唐突な異世界想像のお話です。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:4
・ストーリー:2
・世界観:3
・文章力:3

◆良かった点:
変人揃いのネットカフェで、無茶な注文を次々振られて関が右往左往する様子が非常に楽しかったです。一難去ってまた一難どころか、去らない内に次々二難三難飛んでくる地獄絵図。そこを頼れる仲間とともに乗り越えていけば王道ですが、その仲間も新人の渡辺君を除けば揃いも揃ってろくでなしという絶望的な展開。 またかなり多くの登場人物が登場するのですが、誰もがインパクトがあってどのキャラクターもしっかり書き分けられている点もお見事です。人格破綻者たちの会話はキレがあってテンポも非常に良く、面白い喜劇の台本を読んでいるような気持ちになりました。

◆改善すると良くなりそうな点:
関の視点から進む1幕の裏では実は別の問題が発生していたというのが、本作の2幕の読みどころだと思うのですが、その種明かしが弱いように感じました。
関が持ってきた小説を台無しにしたために、代わりの小説を用意しようとする渡辺たちですが、そもそも別の小説を用意したところでフォローにはなりません。さらに後半からは川野さんの心情がメインとなり、小説の存在がますますどうでもよくなっているのは残念です。裏で進行している事件を解決する必要性をもうちょっと持たせて、一本芯の通ったものにすればより良くなるかと。
また幕間のモニター室で登場人物たちの心境をまとめて書いていますが、この内容を2幕の中に散りばめてみるのはいかがでしょうか。渡辺が事件を解決しようとする内に同僚の特殊な事情を理解していく、という展開にすると、執筆の難易度は上がりますがより上手い見せ方になるでしょう。


【エントリーNo.20 現代ファンタジー
強く 毛深く 美しく
おしゃま少女ヒゲグリモー 作者 オジョ
あらすじ:
中学1年生の紺野ツバメは、唐突に現れたネコ妖精に素質を見出され、魔法少女となる。
その名もヒゲグリモー。
不思議な付けヒゲの力で悪を討つ戦士である。
やる気のないツバメだったが、お構いなしに敵は現れ、戦いを余儀なくされる。
ついには、迫りくる悪の妖精軍から「聖なるヒゲ」を守るため、仲間と共に立ち向かうことになるのであった。
指揮者、ガンマン、大剣豪。
武将に海賊、独裁者。
ファラオやスルタン、果ては魔術師まで。
様々な属性を持つヒゲがからみ合ってはほつれての大戦争が始まる。
これは世界の命運を託された、付けヒゲ少女達の物語である。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
ヒゲと魔法少女、思いがけない組み合わせが実にいい味を出しています。ネタを他の書き手とちがう方向から見定め、練り上げることは非常に難しいことです。それができるのは確かな長所ですので、これからも大事にしていただきたいですね。
キャラクターの登場数によらず、作品が魅せてくれる賑やかな雰囲気も好印象。読む側の心を自然に盛り上げてくれるいい“筆”でした。

◆改善するとよくなりそうな点
一文ごとの改行も相まって、文章に強いぶつ切れ感があります。1シーンで一段落を構成すること。さらには体言止めを始めとした語尾のバリエーションを増やすこと、この二点を心がけてみてください。
加えて文章作法。段落の先頭はひと文字下げることや、“!”や“?”の後ろをひと文字空けること等は、基礎的な作法となります(読みやすさにも多大に影響しますし)。これは心がけるのではなく、かならず実行してください。

さらにキャラクターの内面描写の薄さ、少なさは気になるところです。
状況だけでなく、キャラクターの感情や心情を、過ぎるほどに詰め込んでください。作者が10伝えたつもりでも、読む側はそれを多くて3、下手をすれば1しか受け取れないものですから。特盛りくらいでちょうどいいくらいの気持ちで盛りましょう。


【エントリーNo.21 SF
キミたち、千駄ヶ谷将棋会館2F道場横カップ式自販機前で、僕と悪手!!
摩訶★大戦隊 ダイ×ショウ×ギ×レン×ジャー 作者 gaction9969
あらすじ:
 時は西暦2040年。
 20年前に突如として棋界に舞い降りた、全方位型・天才的ヒーロー、先女郷 巡の降臨によって、日本は空前の将棋ブームへといざなわれていた。
 世は正に、大将棋時代―
 国民の半数以上が段位を有する未曾有の世界で、いまや「棋力」は、全ての価値観を推し量る指標へと置き換わりつつあるのであった……
 進学も就職も恋愛も結婚も、政治も経済も文学も芸能も、はたまた賭博もアプリも夜のおかずも。
 あらゆるものが将棋を核に廻り巡る、そんな歪曲した世界。
 そのいびつさに引き寄せられるかのように、突如、別次元の狭間から、「二次元人」を標榜する正体不明、謎の軍団が姿を現す。
 戸惑う人々を「対局」へと引きずり込み、己が存在意義を突きつけるかのように、「二次元人」は宣戦布告の狼煙を上げるのであった。
 そして、生命を賭けた「人間将棋」が始まる。
 無類の棋力を有する人々も、それを凌駕する「二次元人」の差し回しに、ひとり、またひとりと、あえなく敗れ、取り込まれ、ある者は命を奪われ、またある者はその軍門へと下っていってしまうのであった。
 そんな、狂気と絶望が顕現し始めた世界に、立ち上がる者たち。そして、
 十八歳にして未だ初級者の域を抜け切れず、「永世七級」と周囲から馬鹿にされ続けている高校生、鵜飼 守男は、ひょんな事から、世界を守る戦いへと身を投じていくことになってしまうのであった……

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
ぶっとんだネタというだけではなくドラマ性もあり、「そうきたか!」と思わせられるだけのものを魅せてくれていました。荒唐無稽な発想を小説という形でまとめられる力は希有な能力です。この武器はぜひとも大切にしていただきたく思います。
主人公の能力にひとひねりがあったのもよかったです。こうしたマイナスをプラスに転じられる設定は主人公を引き立て、物語に推進力や爆発力を生みます。こちらも意識して心がけていただけましたら。

◆改善するとよくなりそうな点
最初に感じたのは構成の弱さ。特に主人公の筋トレ設定と世界観のギャップが冒頭の対局でうまく生かされておらず、そこからの展開がご都合に見えてしまっているのは気になりました。
冒頭部は読者を引き込むための撒き餌です。この作品の場合であれば、「この世界が主人公にとってそれはもう生きづらい場所である」ことを濃密にまとめて見せる構成をしたいところです。
作者の都合ではなく、ドラマのおもしろさを最重視していきましょう。

そしてこれは将棋に限りませんが、特定の競技や物品をテーマに据える場合、「それをまったく知らない人」へいかにそのおもしろさをアピールできるかは鍵となります。あたりまえにあるものだからと省くのではなく、逆に自分がテーマとして選ぶほどのものなのだ! と伝え抜くことを考えてみてください。


第6回は11月16日更新予定です。

【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第4回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」、第4回をお届けします。

※「カクヨムコン歴代応募作品講評会」とは? という方は第1回の記事をご覧ください

第4回 掲載作品

【キャラクター文芸】もしも無課金女子大生が死神スタンプカードを受け取ったら 作者 乙島紅
【ラブコメ】ぼっちのおれが幼馴染の美少女とラブコメしている件。 作者 あすか
【恋愛】妖精の受難 作者 蓮水 涼
【ホラー】のりこさんによろしく 作者 Veilchen


【エントリーNo.14 キャラクター文芸
スタンプが四つたまると地獄行きチケットをプレゼントします。
もしも無課金女子大生が死神スタンプカードを受け取ったら 作者 乙島紅
あらすじ:
只野怜《ただのれい》は懸賞やスマホゲームが大好きな女子大生。
いつも通りに過ごしていただけなのに、ある日突然死神を名乗る男が現れて『死神スタンプカード』を渡されてしまう。
『死神スタンプカード』とは、生者と死神の間で繰り広げられるデスゲームだ。
スタンプが四つたまると生者は地獄行きとなるが、
死神の正体を見破るかスタンプが押される条件を見抜けば死神が代わりに地獄へ堕ちるという。
さて、怜と死神——あなたはどちらに味方する?

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
主人公の設定が練り込まれているだけでなく、作中で完璧に表現できていました。「こういう子いるよね」、「こういう人いそう」と読む側に思わせられるキャラクターのリアリティ、それが物語を動かしていく気持ちよさは最高です。
そしてデスゲームの内容がしっかり考えられていて、安直なものに収まっていないところも好評価です。シンプルな謎があり、それをクライマックスまで引っぱる構成がある。これを実現できることに筆力の高さを感じました。

◆改善するとよくなりそうな点
会話劇が塊になっており、それを多用している点は気になります。
セリフは表現手段として便利なものですが、キャラの心情の動きや感じ取ったものなど、内面のあれこれを十全に表わすことができません。これは世界観の表現においても同様です。
こうしたお話の場合は内や観の表現が不可欠となりますので、地の文章による“掘り下げ”に努めていただきたく思います。

上記の多用繋がりとなりますが、三点リーダー(……)の多用も目立ちます。
息の詰まりや余韻を表現するため無意識に使われているかと思いますが、多用は文章表現として拙いものですし、当然文章力の評価も下がります。


【エントリーNo.15 ラブコメ
ぼっちなのにラブコメってどうなの?しかも美少女ときたよ、これ。
ぼっちのおれが幼馴染の美少女とラブコメしている件。 作者 あすか
あらすじ:
高校1年生の来ヶ谷京介は俗に言うぼっちである。
海外で仕事をしている父親から突然、クラスメイトで学校一の美少女である門川遥香の家に居候することを告げられる。
しかし、遥香は幼馴染でもある京介のことを何故か嫌っており、波乱の居候生活がスタートするのであった。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
幼馴染との同棲ものというシチュエーションが男性読者の関心を引きそうです。ぼっちの主人公と人気者のヒロインという対比をきかせることで、お互いのキャラの立場や考えの違いが明確になっていました。微妙な距離感を持ったまま近づきそうで何故か遠ざかるじれったさがいい。次々と現れるヒロインにときめいてしてしまう主人公の初々しさも甘酸っぱい。スクールカーストものだと主人公が徹底的にリア充から見下されるのかと思っていたのですが、全体的に雰囲気が優しく、ほのぼのとして和みました。

◆改善すると良くなりそうな点

物語のゴール地点はどこでしょうか? 幼馴染と付き合うことでしょうか。ぼっちを卒業することでしょうか。同棲を周囲に秘密にすることでしょうか。目的が曖昧なせいか、物語の方向性がブレて淡々とした日常が続いてしまいがちです。また、ヒロイン同士が大人しすぎます。もっと三角関係の修羅場を描いて恋愛模様をヒートアップさせましょう。王道なラブコメではあるのですが無難にまとまりすぎています。世界観にオリジナリティを出すなど、既存作との差別化を意識してみてください。


【エントリーNo.16 恋愛
「では、あなたが断れないようにしようか」そうして今日も、彼の思うつぼ
妖精の受難 作者 蓮水 涼
あらすじ:
 とある高級娼館に、"色"ではなく"願い"を売る娼婦がいるという。
 ある者は失せ物探しを願い、ある者は復讐を願い、またある者は恋愛成就を願った。
 不思議な力で様々な願いを叶えてくれる彼女を、人は建国神話に例えて「エルフリーデ(妖精)」と呼ぶ。
 ある日、そんな彼女の許を、色狂い皇子と有名な皇太子・オスヴァルトが訪れた。
 彼が妖精に乞うは、色か、願いか――
「断る。わたしは色は売らない」
 自分も知らない秘密を抱えた少女と、
「私が欲しいのは、あなただけだ」
 とある覚悟を秘めた皇太子の、
 定められた出逢いの末に、選んだ結末とは――。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:4
・ストーリー:3
・世界観:2
・文章力:4

◆良かった点:
娼館で色を売るのではなく願いを売るという怪しげな少女のもとを、色狂いで有名な皇太子が訪れるという冒頭の導入が印象的で、読者の心をつかむことに成功しています。
その後は城中で起こる妖精や人間関係にまつわる様々なトラブルを解決しながら、二人がゆっくりと親密になっていく関係を堪能させてくれます。
ストーリーも妖精の指輪を手に入れるというわかりやすいゴールが提示されており、またダークの存在や、姿を消したマルティナが隠していた真実など、しっかり伏線も張られていて、非常に書き慣れた印象を受けました。

◆改善すると良くなりそうな点:
アンネとオスヴァルトの設定はどちらも最初は興味深いのですが、読み進めるとすぐに噂されているような人物ではないとわかってしまうので、そこは少しもったいなかったです。一見陰のある設定の二人がお互いのことを勘違いしながら関係が進展していくというようなひねりがあると、より面白くなったかと。
また作中に登場するガジェットや用語がよく言えば王道、悪く言えばありふれたものになってしまっているため、他の作品との差がつけられるような本作ならではのオリジナリティのある設定が欲しいところです。


【エントリーNo.17 ホラー
のりこさんにフォローされてしまっても、ブロックしてはいけません。
のりこさんによろしく 作者 Veilchen
あらすじ:
のりこさんは寂しがり屋の幽霊です。生きていた頃から、SNSで可愛いものや楽しいものを集めたり、友達とおしゃべりしたりするのが好きだったそうです。だから、幽霊になった今でも同じことをしているそうです。のりこさんにフォローされてしまったら、すぐにブロックやリムーブしてはいけません。他の友達を紹介してあげましょう。
高校生の杉田麻里が、友人の紹介からふとフォローした「のりこさん」というアカウント。その日から彼女の周辺では次々と恐怖が起きる。
「のりこさん」は何者なのか、どうすれば逃げられるのか――1話ごとに主役を変えた連作短編で正体に迫っていきます。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点
いきすぎた承認欲求やSNS依存症に陥りやすい現代人の感性を反映した都市伝説といった趣で時代性のあるホラーが斬新でした。SNSが生活の中心になっている人々の心理描写がリアルで、SNSの負の面や閉塞感がよく現れていたと思います。前半の「のりこさん」の犠牲者のエピソードに背筋がゾクゾクとさせて、真相の解明と騒動の解決に向かう後半のミステリーにも引き込まれました。ネットの中の幻想の繋がりによって大切な人を失った人たちが現実世界で立ち上がる、まさにネットと現実の戦いを描いているかのようなテーマが考えさせられました。

◆改善すると良くなりそうな点
物語の舞台はSNSであり、世界観となる要素なのでその設定をさらに練ってみましょう。SNSの種類やスタイルは様々なので物語にあったSNSを独自に考えてみてください。読者も使ってみたくなるような機能やサービスを盛り込んでオリジナリティを出せます。キャラクターが大人びて真面目すぎるように感じました。全体的に暗く重苦しいので明るさも出しましょう。SNSを満喫している人が一転して不安と恐怖に落とされる落差、温度差を出すことでより恐ろしさが際立ちます。SNSを利用する若者らしい明るく、砕けて、高いテンションを意識してキャラクターを作ってみてください。


第5回は11月15日更新予定です。

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