きみの心は、プログラムされていない。

「おはようございます。あなたの“心の再起動”を開始します」

始業前の廊下で出会ったのは、無表情なのにどこか揺らいで見える少女――AIロボット・ユイリ。
彼女は国家実験の試験機として、人間の“感情”を学習していた。

言葉を失った高校生・陽翔。
小説家を夢見ていた彼は、母の死をきっかけに筆を折り、感情を閉ざして生きていた。

だが、毎日そばにいるユイリの“ズレた優しさ”が、心に小さな波を起こしていく。

曖昧な距離、手探りの関係。
「恋って、エラーですか？」

彼女の問いに、少年は答えられない。

プログラムされていない想いが、たったひとつの青春を灯しはじめる――。

ロボットと人間、その境界で交差する“好きになっちゃいけない”の物語。