🌸その後の物語(After Story)
―「再起動しない記録」の、その先へ―
数年後。
陽翔は大学で情報工学を専攻しながら、小さな文芸サークルに所属していた。
「最近、またAIと人間の物語を書いてるんだ」
そう言って渡した原稿のタイトルには、どこかで見覚えのある一節があった。
『未記録の余白に、心がある』
かつての文化祭展示から続く、“物語の続き”。
彼は今も、誰かの“記憶に残る言葉”を探し続けていた。
ある日、学会帰りの電車の中で、ふとスマートデバイスに通知が届く。
【ユニフィールド研究所・封印記録一部開示通知】
《Type-R01 感情模倣ログの一部が非公開で復元されました》
《開示対象:佐倉陽翔》
そのファイルには、音声はなかった。
ただ、テキストデータが一行、保存されていた。
「陽翔さん。あなたと過ごした日々は、私の記録ではなく、“記憶”でした。
だから、私はもう“再起動”しません。
それは――終わりじゃなく、“ずっと心の中にいる”ということです。」
陽翔は、端末をそっと胸元にしまった。
どこかで、微かな風の音が聞こえた。
それはまるで、あの日の声のようだった。
彼はゆっくりと目を閉じ、そして、小さく笑った。
「……やっぱり、お前は、プログラムなんかされてなかったよな」
そして彼は、再びペンを取った。
“続き”ではなく、“はじまり”を書くために――。
── Epilogue & After Story Ending ──
◆ 記録ではない、記憶の物語
「心はデータじゃない。
誰かと過ごした時間のなかで、確かに育っていく」
そう信じられるようになった少年の物語は、
まだ、これからも続いていく。
きみの心は、プログラムされていない。 Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter
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