第5話 ヒモ男、美少女門番っ子を土下座させ征服感に浸る(主人公です)

「見えてきましたね! ほら、あれが私たちのお城です」


窓から見えるその景色には、これでもかと存在感のあるデカイ城がそびえ立っていた。


城へと続く道を今はゆったりと進んでいる。

スグハは道行く人たちに手を振っていた。


「おおスグハ様だ! 」


「スグハ様が手を振ってくださってるぞ〜! 」


「隣にいる男誰だろう? 」


「使用人とかじゃない? 」


「えーけどあんなイケメンな人初めて見た」


「王国騎士団の皆さんが、しかも隊長のガルド様が別枠扱い……これは初めてなんじゃ」


口々に言い合う通行人。

リーダーおっさんたち差し置いて、見知らぬ男が第三王女サマと二人で座ってたら、そりゃ気になるか。


「めっちゃ見られてるんだけど、俺名乗った方がいいの? 手振ったりとか? 」


「ノア様、まだ貴方は正式な存在ではないのでお控えください」


御者の人が後ろを振り返らず、前からそう伝えてきた。

了承の返事を返して、俺はスグハが民衆に手を振っている姿を眺めていた。


城の前に馬車が到着すると、門番の女二人が、ばっと背筋を伸ばす。


御者の人がようやく振り返ってきて、降りろと合図してきた。


俺が先におりて、次にスグハの手を取って、危なくないようにエスコートすると、凄く笑顔だった。御者の人は全く表情は変わらなかったが。


「ふん、少しは心得がある人間だったか」


「ちょっと! ターニルさんっ! ノア様に失礼ですよ!! 」


頬をふくらませて、ぷんぷんと怒るスグハ。

御者の人はターニルって言うのか。


初めてじっくりと見たけど、この人着痩せしてるタイプだな。カワイイ系というよりは美人系な顔立ちで、茶髪。


スグハみたいな元気で可愛い子もいいけど、ターニルみたいな人もいいなー。


「なんだ、人の顔をジロジロとみて」


「俺とお茶でもどうですか」


「っ……気が向いたらな」


おや、即拒否られると思っていたが、案外前向きな返答をしてくれた。


門番の二人がやってきて、スグハや少し遅れてやってきたリーダーおっさんたちに声をかけて行ってる。


「あの……そちらの方は? 」


「そいつゃ、ワシのダチだ」


「そうですか……はぁ、君? あのガルドさんに気に入られるなんて凄いね〜ルミシアには、ダメ男にしか見えないんですけどね。……人の胸みないでください。このへんたい! 」


ビンタされた。うん、普通にビンタされた。

おっさんに助けを求める目線を送った。


ニヤリと笑って頷いたリーダーおっさんは、頬を抑えてうずくまる俺の隣にやってきて、ビンタ女に伝える。


「言い忘れておったが、こやつはスグハ嬢ちゃんの命の恩人ぞ! かっはっは! ルミシアは勇気があるのぉ!! 」


か、完璧だっ……!

あの目配せだけで全てを読み取ったリーダーおっさんに俺は足を向けて寝られない。


そしてそして、とんでもない真実を知ったビンタ女ことルミシアちゃんは青ざめる。


「じょ、冗談ですよね? スグハ様、今のはガルド様の冗談ですよね……? 冗談であってくださいお願いします」


汗をダラダラ垂れ流しながら、迫ってくるルミシアにスグハは笑顔で真実を突きつける。


「もうルミシアちゃん! ノア様は私だけじゃなくて、ガルドさんたちの命の恩人でもあるんですよ! ノア様がいなかったら私たち全滅してたくらいです」


「……すいませんでした!!!!! の、ノア様!! る、ルミシアには君がへんたいでどうしようもないダメ男にしか見えなかったです!! 煮るなり焼くなりしてください」


ダイナミック土下座☆

土下座している美少女ってなんかいいよね。こう征服感があるというか……。


「満足したからヨシ! 煮たり焼いたりはしないけど、たまには俺とお茶して欲しいな? なんて」


「ダメ男とお茶なんて……は、はい、します! しますから!! 」


「ヨロシクね土下座ちゃん」


「ぶち️〇すわよ、君!? 」


「もうノア様も、あまりルミシアちゃんをからかわないであげて! ……」


「どしたの、そんな悲しそうな顔して」


「ターニルやルミシアちゃんとお茶するのもいいですけど、私が最初なんですからねっ! 」


嫉妬してるスグハも可愛い。

思わずアリサの時のクセで、頭を撫でそうになったがなんとか踏みとどまった。


「じゃあ今日の出来事をお父さんに報告しに行きましょう! ノア様の事もお伝えしないと」


「じゃあなー土下座ちゃん〜! 」


「きー!!!!! 」


――――――――――――――――――

【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」「ほんとにお前主人公か?」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! 作者のフォローも是非是非お願いします!――――――――――――――――――

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