第37話 ヒモ男、幽霊すらも自分の女にする?①

幽霊のユーコとやらは、かなりの美少女だった。

俺にはこんな可愛い子を成仏なんてさせれない。


「くくく、頼む相手が悪かったな」


「魔王……? というか貴方、ユーコの顔みたら帰るっていったでしょ、ほら帰って帰って」


「俺が帰ったらお前はまたそこに座り込んで過ごすの? 」


「うん。このさき10年、20年……はたまた世界が滅びるまで」


世界が滅びるってスケールがとんでもないことになってきているな。


状況を整理すると、ユーコは種族が幽霊なせいで死のうと思っても死ねないと。


それで何をする気力もなくなって、自分で作り出したこの空間にずっと閉じこもっている。


「ユーコだってさ、異世界で楽しく暮らせるって思ってた。だけど、前世で影が薄かったからって異世界でも幽霊になることないじゃん……そのせいで誰も相手にしてくれなくて……そんなのもうユーコだけの世界に閉じこもるしかないじゃん……! 」


そうか……。

幽霊なせいで誰からも見てもらえず、気づいたとしても不気味だと離れられる。


せっかくの新天地でもそんな扱いをされたら、誰でもこうなってしまうよな。


ユーコの頭に手をやって優しく撫でる。


「なに……? 」


「なぁ、少なくとも俺はこうやってお前と触れ合えてるわけだよな。だったら俺と一緒にこないか? 」


「そんなの……行きたいよ」


「じゃ決まりだな。俺の仲間も皆優しいからユーコもすぐ打ち解けれると思うよ」


「貴方仲間いたんだ。意外」


「全員女だから過ごしやすいんじゃないー? 部屋もめっちゃ広いから好きに過ごしていいし」


「ぜ、全員っ……!? モテるのね……」


そう言って、俺の顔をまじまじと見つめたユーコはポッと顔を赤らめる。


「あっ……なんか納得した……。じゃあこれからよろしくね、ええと……」


「俺はノア・ヒモオー。この王国の第三王女の専属護衛騎士とは名ばかりのヒモをやってる」


「お、王女の専属護衛騎士……。全くそうは見えなかったんだけど、ほんと貴方って見かけによらないのね。ユーコはユーコ。本名はサカヅキユウコなんだけど、こっちの世界の人にはユーコの方が呼びやすいでしょ? 」


そうして差し出してきたユーコの手をとって、立ち上がるのを補助する。


ふらっと倒れそうになるのを、背中に手をやって支えた。


「立ったのが久々だから……頭がくらっとした」


余程ずっと座り込んでたんだな。

しっかし迷子にもなってみるものだな、こんな美少女がいただなんて。


立っているのも辛そうだったので、俺はしゃがみこんでおぶってあげようとした。そうすると背中から小さく声が聞こえた。


「ありがとう……」


その声とともにユーコが身体を預けてきた。

おぶり終えた俺は、ゆっくり立ち上がる。


……ユーコもなんだかかなりデカい。

背中に感じる2つの柔らかい重みを感じながら、ユーコの指示通りに歩いて行った。


少しすると裏路地から商店街に出てきた。

後ろを見ると、もうユーコの空間は無くなっていた。


「あの空間はもういらない……だって貴方のお世話になるんだから……」


「いやー俺が世話するんじゃなくて、お前が俺の世話をするんだが。……しばらくはゆっくり休んでいいけどな」


「メイドさんでもすればいいの? 」


「メイドは一人いる。普通に俺と過ごしてくれたらいいよ」


「なに……それユーコにプロポーズでもしてるの? 」


「いやだから俺はヒモ生活を送りたいんだって……」


「貴方に尽くせばいいってことね、頑張る。……要するに貴方の女になれってことよね」


「そこまでは言ってなーい! 」


「なによ、いやなの……? 」


「嫌じゃないけど。あれだぞ? お前の他に5人いるけど、そのうちの4人俺の女だぞ。アリサと同じ故郷出身ならハーレムとかダメなんじゃ? 」


「別にダメってことはない。それに日本とこの世界は違う。ユーコはあの一人ぼっちから貴方に救い出してもらった恩があるから。……それに貴方はタイプだよ」


「へぇ俺がタイプねぇ」


まぁ、拒む理由もないし、いっか。


「他の皆と顔合わせしてからでも遅くないだろうし、それからまた聞かせろ」


「うん、わかった……! 」



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【あとがき】

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私のモチベの問題なんですが、最近本当に書けない……。書籍化やコミカライズ化目指して頑張っていきたいので、モチベが無くとも書いて書いて書きまくるしかない。

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追放されたヒモ男が、実は最強〜JK賢者のヒモは勇者に妬まれ帝国を追放された。隣国の第三王女を助けたら、専属護衛騎士(ヒモ)になったので、王城でのんびりハーレムライフ。あ、逆恨み勇者は自滅してるみたい〜 雪鈴らぴな@第2グラスト大賞プロット受賞 @yukisuzu_rapina

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