追放されたヒモ男が、実は最強〜JK賢者のヒモは勇者に妬まれ帝国を追放された。隣国の第三王女を助けたら、専属護衛騎士(ヒモ)になったので、王城でのんびりハーレムライフ。あ、逆恨み勇者は自滅してるみたい〜
第9話 ヒモ男、地下に封印されていた悪魔の少女を(知らずに)助けてしまう
第9話 ヒモ男、地下に封印されていた悪魔の少女を(知らずに)助けてしまう
あれ、なんか今変な音がしたような。
ぶっちゃけ俺なら、さっきの結界よりも強度なものをはれる。今ならまだ間に合う気がするがーーー
「ここまできたら、何があるか気になっちゃうよね! ヤバめのやつだったら国王ごめんっ! 」
ジャンプして部屋に入った。目の前になんかいる。
鎖で両手両足を縛られている女の子だった。
は? なんで女の子が、こんなところに閉じ込められてるんだ。
何か事情があるのかもしれないが……。
俺にはこんな女の子が死しても尚、縛り付けられて暗くて誰も居ない部屋に入れさせられているのは耐えられない。
【アイテムボックス】で剣を取り出して、鎖を切った。
落下してくる女の子を両手でキャッチし、優しく床に置いた。
服もこんなに汚れて……。俺はホコリや虫を払ってやろうと身体に手をやって、とんでもない事に気づいた。
「生きてる……」
少なく見積っても数年は閉じ込められているはずだ。
この部屋に食料は何も無かったし、まずこの少女は手足を拘束されて壁に磔にされている。水も食料もなしの部屋で、なんで生きている……?
とりあえず俺は【創造魔法】でコップを作り【水魔法】で注ぐ。そして、アリサからプレゼントされたお手製ハンカチをポケットから取り出して、水でひたした。それを少女の頭に置いた。
気休めにしかならないだろうが【回復魔法】もかけて……
ぱああああああ……!!
今まで回復魔法を使ってきて、ここまで光り輝いたことなんてない。初めてのことに驚いていると、光が収まった。
「んん……? 」
少女がうなり声をあげて、身体がピクりと動いた。
「やっぱり生きてたーーー!? お前、大丈夫か!? 」
「ううん……んん? だれ……」
「俺はノアだが……そんなことより身体は大丈夫か? 」
「うん……ちょっと寝過ぎちゃったかな……」
寝すぎた? この少女は何を言っているんだ……?
不思議に思っていると、起き上がった少女が背伸びをした。
そしてーーーふわあぁと背中から悪魔羽が広がった。
その光景を俺は呆然と見ていた。
「ノア……ありがとう、助けてくれて」
やばい……! そのありがとうは封印を解いてくれて的なやつだ!
俺は剣の鞘にてをかけようとして、辞めた。
俺にこんな少女をきれるはずがない。
「お前はなんでこんなとこにいたんだ……? 」
「ネシア、見ての通り魔族。けど、魔界での記憶ない。気づいたらこのお城の庭に倒れていて、城の人が見つけた。そこから城の人たちがずっと喋ってた。魔族なのだから殺すべきだって言われて、ネシア怖くなって、逃げようとしたらスグハちゃんって子が助けてくれたんだ。魔族だからってこんな女の子を殺すのはだめですって……でも、ネシアのことを城以外の人が見つけちゃって……」
「それで匿う訳にもいかなくなって、この部屋に匿われたってことか……でもそれならなんで封印されたんだ? しかも水も食料も……こんなことスグハが許すとは思えないんだが」
「……! スグハちゃんを知ってるの! ううん、匿われたわけじゃないよ」
目を見開いて驚くネシア。
「ああ、というかスグハのおかげで俺はこの城にいる。つーか、今日来たばっか。スグハに会いたいなら明日一緒に会うか? 」
その言葉に一瞬目が輝いていたが、すぐにしゅんとした表情になる。
「怖くて不気味な人に、ここに連れてこられて縛り付けられた。その時にお前はもう誰にも存在を知られることなく、そして死ぬことも無く一生この部屋に閉じ込められるんだよ。って言われた。だから、誰もネシア覚えてない」
ネシアが悲しそうに言ってきたその言葉に俺は俯くことしか出来なかった。
みんな、いい人そうに見えたけど、この城の中にネシアをこうした犯人がいるってことだ。
今日あった人たちにそんな悪い人はいないと信じたい。
まだまだ沢山人はいるし、その中だろう。
「ええとお前は魔族でいいんだよな? 」
「うーん……正確には悪魔」
「お前は……いやネシア。ネシアはスグハに会いたいか? こんな薄暗い部屋になんていたくないだろ? 」
「スグハちゃんにあっても……忘れられてるから……それにこうやって親切にしてくれたノアが、あの人にネシアと同じようなことされちゃったら嫌だ。だからネシアはここにいる」
「そいつは抜きにしてだ。ネシアがどうしたいかを聞きたい」
「……スグハちゃんに会いたいっっっっっ!!! ネシアなんかを庇ってくれたことにありがとうっていいたい!!!!!! それに、ノアと一緒に過ごしたいーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!! 」
そう大声で泣き叫んだネシアを俺は抱きしめて、泣き止むまで頭を撫で続けてやった。
「言ってくれてありがとう。行こうぜ、一緒に」
「け、けど……」
「なあに、その不気味な奴に俺がなにかされるのを心配してくれてるんだろ? 俺はヒモ男なんだ、だから安心しろ」
「ヒモ男って……なあに? 」
「働きもせずに、可愛い女の子に養われながら、その子のお金で自分は好き放題する人」
「……不安になってきた」
「まーまーそう言わずに」
「……確かに、ネシアの全力を持ってしてもこの鎖壊れなかった。ノアどうやったの」
「剣でこう、すぱっと」
「すごい……」
「こんくらい普通だぞ? あ、ネシア足元に虫が」
「いやああああああ!!!! 」
魔法で潰そうとしたらそれよりもはやくネシアが真正面から抱きついてきた。
……なんか背は小柄なのに、胸めちゃくちゃでかくないか。
ロリ巨乳な悪魔っ子(本当の意味での)か。
べりぐっ!
親指をたてる俺を、不思議そうに見ているネシアだった。
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