第8話 ヒモ男、隠し部屋?を見つける
いやー色々と城の中を案内してもらったんだが。
……広すぎる。
これは絶対迷子になるやつだ、間違いない。
「そうですよね〜私なんて未だに迷子になっちゃいます。けどここのメイドの皆さんは優しいので大丈夫ですよ! 」
いや、これほど広いとはいえ生まれてから十数年過ごしてきて、未だに迷子になれるのはもはや才能だろう。
とは言わないでおいた。
しかし、俺の顔から何かを感じとったのか。
「あ、その顔は私をぽんな子だと思ってますよね! ふんだ! ノア様が迷子になってもしーらない! 私もう帰ります。ノア様はおひとりで自分の部屋まで帰ってくーださいだ! 」
あちゃあ、怒らせちゃったか。
ぷんぷんと頬をふくらませながら、来た道を帰っていくスグハも可愛いなぁ……。
あれ? なんか振り返ってこっち見てきた。
「知らないんですからね! 」
「お、おう……? また明日な」
「ふん! また明日」
その後も何回か振り返りながらも、10回後くらいを最後に姿が消えた。
なんだったんだろう。
さて、俺は置いてけぼりにされてしまったわけだが。
部屋も道もなにせ多すぎる。そして俺は今日ここに来たばかりで、スグハに色んなとこを案内してもらったので、俺の部屋からはかなり離れている。
それが指す答えは一つである。……迷った。
しかもこういう時に限って、メイドさん誰もすれ違わない!
近くの窓から見える景色は、星空が綺麗だった。
うん、もう夜になってしまった。
どうすんだこれ……。
かれこれ30ぷんぷんは歩き回っているが……。
「あれ? この部屋なんか魔力が濃いような」
歩いていると、一つだけ魔力が部屋の中に詰まっているような感覚のする部屋に遭遇した。
うーん、入ってみっか?
ドアノブに手をかけ、ひねろうとすると手にとてつもない量の魔力が流れてきて、身体に侵食しようとしてくる感覚に陥る。
これは……ただの部屋ではなさそうだ。
部屋そのものが侵入しようとしている者を拒んでいるようだ。
だがな、この俺にゃこの程度の魔力じゃきかない。
俺の家の方がもっと酷い。
「ふんっ! 」
魔力を思い切り押し流す。
パキィィンンンン
「ふぅ……こんなもんか」
これでやっとドアを開けれた。
中は明かり一つついておらず、窓から差し込む夜空だけがたよりだ。
【暗視】があるから、俺ははっきり部屋を捉えれるが、暗視の無い人間には、この暗闇ではほぼ何も見えないに違いない。
中は埃被っており、何年も人の出入りがないことが伺える。
「あ? なんだこの階段……とりあえず降りてみるか」
なんかヤバそうな雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
階段を降り終わると、また部屋があった。
だがひとつ違うのは、何十にも結界が張り巡らされており、並の人間じゃあ、結界があることすら気づかないほど精密で、効果も強い。
パリンッ
まぁ、俺には手をかざすだけでこわせてしまったんだが。
……あれ? これ大丈夫なやつ?
よくよく考えたら、最初の入口にもとてつもない量の魔力で施錠されてて、階段への道も魔法で閉ざされてたわけだ。……その魔法に至っては存在に気づかず、歩いただけで解除してしまった。
そしてこの部屋には、これでもかと結界があった。
……そこまでしてなお何かをしたかったわけだ。
「あー例えば封印されてるやばいやつが出てきそう」
しゅうううううううううううんんん。
あ、フラグぅぅ……。
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