第28話 ヒモ男、第三王女のラッキースケベ?


中々戻ってこないクレイを探しに行ったら、何故か泣いていた?


なぜかえらく驚かれたが、女が泣いてたらそりゃ雰囲気で分かるよね?


例え甲冑で顔が見えないとしても、こうさ……?

それを言ってもクレイはピンと来なかったみたいだけど。


本人曰く、目にまつげが入っただけらしいけど、なんか色々引っかかるよね。


ほんと謎が多い、クレイ。

連れて部屋に戻ってくる。


皆一斉にこっちを向いてくる。

え、なになに。俺なんかした?


なんかこういうの嫌だよね。

魔法学園に入学してた時期あるんだけど、遅刻して教室の後ろから入ったら、ドアをがらがら開ける音で皆ばっ……! ってこっちみてくるやーつ。


けど特殊だったのが、一人の女だけ何故か席を立ってわざわざ俺の元にやってきてたんだよな。


「おはよっ! ノアくん」 つって。

結局俺が辞めるまでずっと付きまとってきていた記憶しかない。


クラスのやつらにも不思議に思われてたみたいだけど、俺が一番不思議だよ。


とまぁ、そんな俺のどうでもいい昔話はいいとして。


「よくないです! 」


「また女ですか。ダメ男さん、意外と昔からモテてたんです? 」


「えっ、気になりますー! 」


えぇ、なんかこいつら目を輝かせてるんだが。


「いやほら、案内人の人待ってるから。また今度」


「え? まだスチャオさんいないですよ? 」


スグハが言う。


「ノア殿よ、案内人の方がこられるまででもいいから、してやってくれないか? 」


国王まで俺の昔話を聞きたがってるけど。

俺はドアを指さす。


「いるよ? すぐ向こうに」


それと同時にガチャリとドアがあいた。


「よく分かりましたねぇ、ノア様」


なんでわざわざ【気配を消していた】のか分からないが、そんくらい赤子でも見破れるだろ。すんげぇ雑〜な魔法だったし。


「では、案内しますので……国王様方は毎年のことなのでもう目新しさもないでしょうが、そちらの方は初めてとお見受けしますのでぇ、2グループに別れて案内しますかねぇ。ワルクミ、ノア様方の案内をよろしくお願いしますねぇ」


えぇ、別に案内しなくていいんだが。

国王たちと一緒にさっと回って、帰りたい。


スチャオに連れられて国王たちは歩いていった。


何か嫌な予感がした。

まぁなんもないとは思うけど、一応国王たちに魔法付与しとくか。


【絶対防御】【反射】くらいでいいかな。

これでもし何かあっても国王たちは無事なはず。


俺たちを案内するのはワルクミと呼ばれた男。

スチャオもなんだけど、どこか不気味さがあるんだよな。いや、顔ってよりは……存在?


ヘラヘラと笑っているが、俺はこいつの言動一つ一つに注意を払いながら、説明を聞いていった。


「わあああああ……!! ひろいー!! こんなところで剣の打ち合い、魔法の放ち合いをするんだー。迫力あって楽しそう」


色んなどうでもいい部屋の説明がようやく終わり、やっと闘技場の内部がお披露目となる。


ルミシアが目をキラキラと輝かせて、はしゃいでいる。

こいつ、魔法とか好きだったんだ。


ふむ、確かにルミシアの言う通り、ここでのバトルは迫力も見応えもありそうだ。


例えば……。


「ダメ男さんも興味を引くとは以外です。どうせ、人が戦ってるとこなんてみてもつまらん。とか思ってるのかと」


「お、よく分かってるなバカメイド」


「バカメイドじゃないです。私はそう、完璧で究極の」


え、なに。

何かを期待してるような眼差しで俺を見てくる。


言葉の続きを言えってことか?

ばかめ、答えは同じだ。


「バカメイド♪ 」


「はぁ……やはりご主人様はダメ男ですね」


勝手に期待して、勝手に落胆するバカメイド。


「冗談はここまでにして、ではなぜ見応えがある……と? 」


「そんなの決まっているだろう。ワルクミ、この大会って性別限定されてたりしないよな? 」


「……? そうですね。王国中から腕自慢が集まるので、当然女性の方もいるかと」


ぴょんとジャンプして、闘技場の地面に降り立つ。


「それだ! 繰り広げられる激闘! 接戦! 吹き荒れる風によってめくれ上がるーーー」


「ノ ア 様 ? 」


スグハが今まで見たことないようなどす黒いオーラを背に纏って、ずしり…とこちらに歩いてくる。


魔王か何かですか!?


「そんなに女性のパンツが見たいのですね? 」


こくり。

頷くとスグハの黒オーラがふっ…と消えた。

そしていつも通りの笑顔に戻る。


「もうっ! 言って下されば私はいつでも見せてあげるのに! 」


そう言って、ふわりとスカートの裾を持ちたくし上げーーー


ーーーあと少しで誰もが夢見た第三王女のパンツがあらわに……ならなかった。


「なっ……!? バカメイド、ルミシア、裏切ったのか……!? 」


「ラスボス戦前に実は仲間が全員敵のスパイだったみたいな悲痛な顔しないでくださいー!? 」


「まず味方でもなんでもありませんので裏切ってません。……スグハ様、幾らこのダメ男が好きでも、王女ともあろうかたが、世間様にパンツを見せるものではありません」


「ぐわああああああああ……!! 」


俺は右目を手で抑えて、叫ぶしかなかった。


こらそこ、厨二病とか言うんじゃありません。


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【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! 作者のフォローも是非是非お願いします!

王女様のラッキースケベは遮られてしまったとさ、めでたしめでたし。

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