第29話 ヒモ男、国王の危機を助けていた


「ちょっと目抑えてどうしたの……!? 」


「ぱ、ぱんつ……俺の……」


「絶対見せないよー!? 」


「もうバカなこと言ってないで、休憩室に戻りますよ。国王様たちももう戻っているはずですし」


「ノア様……やはりそんなに見たいのでしたら私の……」


「ダメですスグハ様! 絶対に! 」


俺の次のハーレムメンバー候補は決定した。

え、なにかって?


そう、パンツを見せてくれる子だ。

そう易々といてたまるかって話かもしれないが、探したら1人くらいはいるでしょ。


「……良からぬこと考えてますね」


「すっごく悪そうな顔」


どうやら顔に出ていたらしい。き、気をつけないと。

と、ここまでずっと放置されていたワルクミはぽかんとしていたが、何見てんだと睨んだら慌てた様子。


「も、戻りましょう」


「そうですね、戻りましょうか……ノア様ー? どうしたんですか、突っ立って」


「あ、うん……すぐ行く」


地面に触れた瞬間からなにか違和感があったが、気のせいだったのだろうか。


地面に手をやってみるが、特に何もない。……うーん、何だったんだろう。


「もう、まだですかー! 」


「はいはい」


せっかちなやつらだ。

ま、気のせいだろ。急いであいつらの後を追った。


休憩室に戻ると、何やら慌ただしく空気がピリついていた。

正確には国王サイドというか……クレイが、スチャオに詰め寄っている。かなり怒っている様子だ。


「な、何があったんですか……!? 」


スグハたちも驚いている。

俺たちが入ってきたからか、クレイはスチャオを離すとこちらに向き直り、説明してくれた。


状況はこう。

道の途中には屋根がない通路があるみたいで、(俺たちはそこには特に紹介は要らないだろうと案内されていない)そこを歩いている最中に矢が国王目掛けて飛んできたらしく、クレイが咄嗟に気づき庇おうとした。


だけどその矢は、国王にもクレイにも当たらず、あらぬ方向に飛んで落ちていった……。


おいおいまじかよ……。

念の為国王たちに【絶対防御】かけておいて正解じゃないか。


俺、優秀だなぁ。これは国王を助けた英雄として王国中のかわいい女の子たちを紹介してもらうくらいの褒美があっても良いだろう。


つーか、なんでよりにもよって俺が駆り出されてる時に、そんな面倒事起こすんだよ。どこのどいつだか知らないが、俺のハーレムスローライフを邪魔しようってなら、許さない。


「ワタシが見た限りだと、見えない壁に矢が反射したようなんだ。誰かが守ってくれたのだろうか」


「さぁー? クレイに惚れた精霊とかが助けたんじゃないの? 」


「馬鹿言うな。もし精霊がいたのならノアたちについて行ってるだろう。何を好き好んでこんなワタシなどに」


「少なくとも俺が精霊だったら助けるよ? 」


「ふふっ、ノアならな……ん? もしかしてノアが? 」


「はいはい、クレイの考察はこの辺で。それよりも国王が暗殺されかけただなんて大問題じゃん。……なんでそんなに平静としてられるの、スチャオさん? 」


「わ、私だって驚いてますよ。えぇ、もちろん」


「驚いてるのは、そうだけど。俺たちとは別の意味のじゃない? 」


「はぁ? 別の意味? 」


「暗殺に失敗して驚いてる……とかね」


「そんな訳ないでしょう! 国王様を暗殺してなんになるんですか! だ、第一そんなこと企てる意味なんてないでしょう。私を疑っているのかぁ!? 」


暗殺をしてなんになるのかって、そりゃ知らんけど。

胡散臭いお前が悪い。


「こ、国王様! 全てこの青年が勝手に言っているだけです! お言葉ですが、国王様も身近に置く人物はよく考えた方がいいかと……。今日の出来事はこちらで調べ、報告を差し上げます。今日のところは一旦お帰りになられた方がよろしいかとぉ。大会本番はこのようかことがないよう、厳重に警備を配置させます」


青年……青年?

おい君らまで不思議そうな顔するんじゃない。俺がおっさんだっていいたいのか。


「うむ……。お前たち、時間をかけさせたな、帰るぞ」


「国王……! あいつを即刻切り捨てる許可をください……! 」


「い、いやな……証拠も無いのにそれは駄目だ。それにワシはスチャオは違うと思っている。何年も交友があるしな」


「そ、そうですけど……どうしても許せないことがあるんです」


「なんだ……? お前がそこまで感情的になるのも珍しい。聞こうじゃないか」


「ワタシの友人……ノアを侮辱したことが何よりも許せません」


え、俺……?

てか、侮辱なんてされた覚えないんだが。


友人だとおもってくれたのは嬉しい。なら尚更クレイを止めないと。


「クレイ、俺のために怒ってくれてありがとう。けどあいつを切り捨てちゃったらクレイが悪くなってしまう。それは嫌だから……どうか気持ちを抑えて欲しい」


「ノアがそう言うのであれば……」


渋々って感じたけど、納得してくれた。

こうして休憩室を一旦後にした。



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【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! 作者のフォローも是非是非お願いします!


最近モチベが0です。かれこれ数日1文字もかけてない。夏休みがあけて学校が始まるからかなぁ……。


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