第4話 ヒモ男、第三王女に抱きつかれる
「……? そわそわしてどうしたんですか? 」
「新しい従者と出会った時はハグするのが世間一般なんだよ? 」
嘘である。ただ俺がスグハに抱きついてみたいだけだ。
ま、流石にこんなバレバレな嘘には、流石の王女サマでも見抜いて指摘してくるか。
あれ? なんだか顔が赤いよ?
ゆっくりとこっちに歩いてくる。ばっ! と顔を上げたスグハは意を決した様子。
「お、王女様!? その男が言ってることは、全くーーー」
ぎゅ〜〜~~〜~~~〜~~!!!!!
はぇ……? この子、まじで抱きついてきちゃったよ!?
意外とこういうの慣れてるのかな……?
いや、耳まで赤くしてるし、身体越しに心臓の鼓動が伝わってくるけど、めちゃくちゃ緊張してる。
これは……俺の言葉を真に受けちゃって、頑張って抱きついてきたんだろう。
見るだけでも分かるほどめちゃめちゃデカかったそれがむにぃと押し付けられているわけで。
助けてよかったなぁって思うのだった。
リーダーおっさん(勝手に名付けた)は、娘を見るように微笑ましく笑っていたが、他は誰一人笑っていなかった。
これ以上はまずいと判断し、スグハを離れされる。
その際、名残惜しそうな顔をしていたのを俺は見逃さなかった。
なんか脈アリみたいな?
いぇーい、第三王女サマとの甘〜いイチャラブ生活がおとをたてて、そこまでやってきている!
「お、王女様。悪夢の森とはいえ、異性と抱きついている姿が民に露見したら、大事になりますので、お控えいただきますよう……ノア様も、お願いしますよ」
「わ、わわわわわわ……」
「へーい。……スグハだいじょぶ? 」
「……初めて、男の方と触れ合ったので」
反応を見るにそうだろうとは思ったが、第三王女のハジメテをGETしてしまったらしい。
こりゃ素晴らしい。
「ねぇ、この馬車スグハと後誰乗るの? 」
みたところ4人くらい乗れそうだが。
リーダーおっさんが答えてくれた。
「行きしはワシと、そいつとそいつだったが。そうじゃな、ワシらは全員帰りは乗らないとしよう。ボウズが乗ってやれ」
「え、いいの? ありがとなリーダーおっさん! 」
「リーダーおっさんて……ワシはガルド・ドミオンズだ。ボウズにならどう呼ばれても構わん」
その言葉に周りは驚く。
「なっ……あの隊長が名前で呼ぶのを許した……!? 」
「それほどまでに、あのノアって人を気に入ったのか……俺にはただのダメ男にしか見えないんだが」
へぇー。反応見る限り、名前で呼べる人は限られてるのか。
「けどねー、俺的にはおっさんって呼びがしっくりするよ? 」
そう言うと、ひとしきり笑ったおっさん。
「周りが言ってる通り、ワシの名前を呼ぶのを許可しているものはそう多くないのじゃがな。ボウズがそう呼びたいならそう呼ぶがいいわ。ワシがボウズのことをボウズと呼ぶのと同じか! かっかっ! 」
「おー! おっさん、やっぱ気が合うな! 」
「この歳にして、まさかこれほど気が合うダチが出来るとは思わんかったわい! 」
うぇーい! とお互い拳をあてて、笑いあったあと、馬車に乗り込んだ。
「ほらっ」
スグハに手をやると、俺の手を握って馬車の中に乗り込んだ。
座ってみるとふっかふか。流石王女様専用の馬車だ。
「あの……いつまで手を握って……」
「んー馬車つくまで」
「……いいですよ! 」
凄く恥ずかしそうに下を向きながらも、離すことなく繋いでいてくれた。
王城へと出発した馬車の中は、出会ったばかりのSSSランク級美少女スグハと、二人だけの空間だ。
こんなに可愛い美少女と、三代クズ属性を全て兼ね揃えた俺の2人っきり。何も起きないはずもなく……。
ってなるかアホ。流石にせんわ。
二人っきりとはいっても、前に御者さんいるし、おっさんたちも近くにいる。
手を繋げてるだけでも、良しだろう。
隣を見るとスグハもこちらをみてきた。
「えへへ、近くでみるとノア様のかっこよさが1000倍です! 」
「遠目で見た時から綺麗だなって思ってたけど、こんな至近距離でみたら尚更可愛いな? 」
「あーもうノア様ったら! 私たち出会ったばかりなのに! 」
出会ったばかりとは思えないほど、意気投合した俺たちは、あーだこーだ言いながら馬車に揺られたのだった。
「ぺくしゅ! ……はぁ。ノアさん元気にやってるかな……こんなとこ抜け出して、早く会いに行きたいのに……あの人には私がいないと ダメなんだから」
くしくもノアがスグハとイチャついてる最中、アリサはノアを想っているのであった……。
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【あとがき】
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