第34話 ヒモ男、女騎士もハーレムに加える
なんか休憩室(あれなやーつ)に連れてこられたかと思ったら、まさかの告られちゃったよ!?
真面目で悪が何よりも嫌いな女騎士だよ。
俺と正反対な。なんなら嫌われてそうだなーってなるような?
聞き間違い? って思っちゃうけど、クレイは至って真面目で?
真面目だから真面目……?
実はドッキリ?
女騎士がヒモを連れるって、大丈夫なの?
? が沢山ついちゃうよ? ……みたいな?
でもでも冷静に考える。
もし少しでも行動間違えたら、パーになっちゃうかもしれないし。
一つ一つ状況を整理していこう。
さっきクレイはこう言っていた。
心から好きな人が現れるまではお顔は見せないよって。
で、それを見せた。……俺に。
好きな人が今日現れたから、ノアにも見せちゃうよってオチだったりして?
いやいやそんなことないか。
なによりノアが好きって言われちゃったもんね。わはは!
返事を待っているクレイは、ずっと緊張していてなんだか可愛い。
こうやって初めてお顔を拝見したわけだけど、やっぱり俺の見た目通りだね?
こうちょっとキツい感じだけど、今はそんなけは全くなくて、恋する乙女な顔してて。
それは俺に対してで……。
うへへ、女騎士が俺にだけ見せる女の顔。あ、いやまず普通の顔すらも知らんのか。
一人でテンション上げまくりしてると、返事がないからかクレイはそわそわしてて。
ああ、返事しないとね。
「俺は来る者拒まずだ。美少女であれば問題ナッシング! 」
ぐっ! と親指を立てる。
「もっとこう……恋愛小説みたいな返答を……だな」
「はて、俺は恋愛小説なんて読んだことがなくてな。なんか言って欲しいことあるならもっかいやるよ? 」
「じゃあーーー……な、なんかノアとこの登場人物のセリフは天と地の差があるな……? 」
何個か付き合わされた挙句、出てきた言葉はこれである。
「なんか二人がノアに言っていた気持ちがわかった気がするな……ノアは典型的なヒモ男? 」
「なんだよー不満かよー」
へ! 恋愛小説に出てくるようなキッザイイケメン男がいいんでしょ! 女の子は! もうまったく!
「まあそんなノアを好きになったのだからな。これからよろしく頼む。こんな不束者だが……ノアの世話を頑張るぞ♡ 」
こうして新たにクレイが俺のハーレムに加わったのだ。
俺、王国来てからほんとに人生変わったよな。
ここまでモテるんだったら、もっと早くきたらよかったよ!
「ではそろそろ出ようか」
「えっ? 」
俺は思わず声が出た。
ちらっと時計を見る。確かにもう時間ないけど。
休憩室だよ? 意味深だよ?
しかも今の今嫁になったようなやり取りしたんだよ?
帰るのー!?
不思議そうに首を傾げるクレイに、引きづられながら部屋を後にした。
帰り、おばあちゃんはニッコニコ。
「クレイちゃんさっきはごめんねぇ。その男の人も。よくよく考えたらクレイちゃんが本当の意味でこの場所を使う訳が無かったもんねぇ。……純粋過ぎるのも困ったものだね」
あれぇ……?
このおばあちゃんの口ぶりから察するに、もしかしてクレイはこの場所の本当の意味を知らない?
真っピンクな看板に休憩室! とでかでかとした文字。
文字通りの休憩室と勘違いしていらっしゃる。
「そ、そのだな……この男……ノアの女に……」
「あら、まぁ……! わたしの目に狂いは無かったんだねぇ。ふむふむ、男も優しそうな顔をしておるのぉ。ノア……といったか。クレイちゃんを頼んだよ」
いけ好かないだの冴えないだの地味だの、初対面の人にすらめちゃくちゃ言われてきた俺だが、初めて優しそうとか言われちゃったよ?
なんか彼女の実家に行って挨拶する男みたいな雰囲気になっている。
「こ、こちらこそ? 」
そして握手して、この場から立ち去った。
……クレイと手をつなぎながら。
因みに顔を隠す甲冑はもう外している。
なんでも、俺という存在が出来たからもう顔は隠さなくてもいいんだって。
めちゃくちゃ美人だから、すれ違う人は目で追ってるし、前方にいる人は足を止めて見入っている。
そんな彼女は、俺が見ていることに気づくと。
ふふっと笑い、腕を組んできた。
柔らかいものの感触……はしなくて、代わりに硬かった。
まぁだって外したのは顔のとこだけだしね。
クレイと触れ合えるのは夜のお楽しみだ。
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