第24話 ヒモ男、ゴブリンの襲撃にも余裕(?)

馬車に揺られている。

ルミシアを誘ったのには一つわけがある。


スグハとミナはいるのにルミシアだけ連れていかないのは、なんだかハブいているみたいで可哀想だと思ったからだ。


それに、こうして全員が初めて顔を合わせれるいい機会だ。


しっかし、こうしてみると、この4人がけの馬車で隣も前も全員俺の女。しかも全員可愛いし、俺の事を好きでいてくれている。


俺、王国に来て良かったよ。


ルミシアが緊張でカチコチになってしまっているので、俺は昨日のことを言った。


ミナには朝伝えたが、スグハには伝えていないからな。


「まぁ! もう3人目を……! 」


「うぅ……王女さまと同じ方を好きになってしまいました。寛大なお心に感謝です……」


「ノア様への愛に身分は関係ないですよ! それにノア様はハーレムに入るものを拒まなそうですし! お優しいですからね」


「失礼ですがスグハ様、このダメ男、部屋ではとことんダメダメですからね」


「えぇっ!? ダメ男なんかじゃないですよノア様は。キリッとしたお顔で、あの魔物に勇敢に向かっていったあの後ろ姿は今思い出してもかっこいいです……! 」


「……一度、スグハ様はこの人と一緒に寝てみてください」


「ね、寝るって……!? わ、私がノア様と……!? きゃ〜!! 」


スグハ元気だなぁ。

出発した時はハーレム馬車だ、ひゃっほい! だったのに今では三人の女子会が始まり俺は置物状態。


話に入ろうにも隙がないったらありゃしない。

仕方なく、窓から見える外の景色に目を向けている。


ん……?

なんか前方にあるような。


キキーッッ! と先を走っていた国王チームが急停止する。

こっちの馬車も止まった。


「きゃっっ……!? 」


「わぁっ……!!? 」


「……」


急に停止したからか、前の二人が衝撃で俺の方に……。

それに合わせてしれっと抱きつく隣のミナ。


俺もとっさの出来事で受身を取れなかったが、三人に挟まれる形となったため、放り出されずに済んだ。


しかし事故とはいえ三人がくっついてきている状態なわけで、皆の体温を肌で感じた。


「大丈夫か? 」


一応声をかけた。


「なんとか……」


「ノアさんが守ってくれたからどこも怪我してないよ」


守ったって、君らが抱きついてきただけなんだが。

念の為全員に【回復魔法】をかけて、俺は馬車を下りる。


「三人は念の為まだ馬車の中にいてくれ。俺は何があったか聞いてくる」


「「「はーい! 」」」


まさか国王ケガとかしてないだろうな。

未だ誰も出てこないことに一抹の不安を覚えながら、前方に行き、顔をのぞかせる。


「おーい国王、無事? 」


「無事だ。ノア殿たちの方こそ無事か? 」


「俺たちは全員無事だ。……あいつら俺をクッションにしやがった。誰も怪我はしてなさそうだが、念の為回復魔法はかけてやったんだが、国王にもかけるよ」


ぽわぁぁぁ……!

優しい光が馬車を包み込み、全員回復した。


「ノア殿ありがとう」


「例を言うのはまだ早い。何かあったから急停止したんだろう? 」


何があったんだーーー


ーーーグギャァァァ!!!


はぁ……ゴブリンかよ。

馬車の前方にゴブリンが数匹。


ひーふーみー、4匹。

よく見たらお馬ちゃんが攻撃を食らってる。


一瞬見えたアレは、こいつらだったか。

お馬ちゃんにも回復魔法をかけてやって、俺は守るようにして前に立ちはだかる。


ゴブリンたちは、なんだこのひょっろくて弱そうなおっさんは、と言いたそうな顔をして仲間と笑いあっていた。


なんだこいつら。

俺に喧嘩売ってんのか。


「だるいから消えてくれ」


アイテムボックスから剣を取り出す……あれ?


「ギャギヤギャ! 」


襲いかかってくるゴブリン。

すぐ近くまで迫っているのに、何もしない俺。


いや、正確にはしてるんだが。


「の、ノア殿ぉ!? 」


「ノア様……!? 」


「ダメ男さんーーー! 」


「ノアさん何やってるんですか!? 」


やれやれ。俺はため息をつく。

どうやらアイテムボックスに色々ぶち込みまくったせいで、剣がどっかいったようだ。


もうゴブリンは目の前。

俺は拳を突き上げた。


ぼこっ! と穴があいて、びちゃりと色々その場に落ちる。

うわ、ばっちぃな。


あんま見たくないし、目瞑っておこう。

【探知】でゴブリンの位置を把握して、1匹ずつ始末した。


さて、やっと終わった。

ふぅぅ、と一息吐きながら、目を開ける。


地面はとんでもない事になっていた。

うぇっ……。吐きそうになり、口を手で抑えようとする。


ん……? 俺の手こんなに緑だったっけ。

ーーーあいつらの体液……!


「うぇっぇぇぇぇぇ……」


もう考えるのはやめだ……!

フルスロットルで頭をリセットするべく、嫁たちが待つ馬車へと歩く。


「ノア殿、魔物を倒してくれて感謝する。馬まで回復させれるとは実に凄いお方だ」


「あ、うん……じゃあまた後で」


早く嫁たちに癒してもらうんだ……。



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【あとがき】

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