第17話 ヒモ男、お嫁さんが二人出来る

なんか当たり前のように第三王女がハーレムとか言い出した……。


いやまぁこうも快く公認してくれたのはありがたい話ではあるが。


ようやく拘束を解かれた俺は、スグハに昨日のことを聞かれたが、当たり障りのない返事をした。


「パチンコですか! 私も行ってみたいです! ノア様のお話を聞いていたら、そのピカピカ! って光る瞬間を私も見てみたくなりました。……どうしました? 」


「いや……スグハをあそこに連れていったら俺、多分〇されちゃうよ? 」


「そんなに危険な場所なんですか!? でしたらノア様も行ったらだめです! 」


「や、俺は大丈夫なんだよ……」


「ではどうして私だけなんですか? 」


「んー、立場?つーか 身分の問題? 」


昨日も店内はコワモテの兄ちゃんや、素行の悪そうな奴しか居なかった。


店に入って早々、ミナにナンパしに行く奴がいたくらいだからな。


もし王女だってバレたりしようものなら、大問題になってしまいそうだ。昨日は何気なくスグハと来てみようと言った訳だが、1日経って冷静になると事の重大さに気づいた。


ミナが止めてくれてなければ、危なかったかもしれない。


しかしスグハはあまり納得していない様子。

本人が行きたい場所には連れて行ってやりたい気持ちももちろんある。


目をそうキラキラさせてこちらを見つめてこられても困る。


俺が渋っているとスグハはとんでもない事を言い出す。


「お父様に聞きに行きましょう! 」


「やめとけ! 俺が〇される!! 」


「もうなんですか! 私とはお出かけしたくないんですか? 私、第一夫人なんですよ」


もうすっかり第一夫人の気でいるようだ。

俺、なんも返事してないのに。


「いえ、第一夫人です。私はノア様のお嫁さんです。嫌ですか? 」


「嫌じゃないよ。スグハみたいな女に惚れられて嬉しい限りだ」


ともかく勘違いを訂正する。


「いやいや。スグハと出かけたくないわけじゃないんだ。場所がマズイってだけで、他の場所ならいいと思うよ」


俺はギャン中じゃあない。

女性とのデート中にほったらかして、パチンコ打ちに行くような真似はしないからな。スグハとなら、そうだな。オススメの場所にでも連れて行ってもらおうか。


昨日行ってしまったのは……そこにパチ屋があったからだ。

初めての王都の最先端のギャンブル!

そんな場所に行かないではおけないだろう。


「オススメの場所……そうだ! 王都全体を見渡せる展望があるんです! 夜に行くと夜景や街の灯りが幻想的で綺麗なんですよ! 」


「じゃあ、夜になったら一緒に出かけるか」


「はい! すっごく楽しみです! ノア様との初デート! 」


そう手を握られた。

俺みたいなのとデートするっつーだけで、ここまで笑顔になれるものなのか。


「ふふ♪ 早く夜にならないかな〜」



一旦、自分の部屋に帰ってきた。

ミナとネシアの二人が出迎えてくれた。


「おかえりなさい」


「おかえり……」


「ただいま? 」


少し部屋を開けていただけなのに、そんな挨拶をされて少し戸惑った。


「スグハ様の部屋に行くといってから一時間ほどたったわけですが……やらかしました? 」


「してねぇよ!! 」


とんでもないことを言い放つバカメイドに俺は間髪入れず返す。


いや確かにスグハに押し倒されたし、キスもされたけど。

これはあっちがやったことであって、俺からじゃあない。


あーけど、スグハの第一夫人がうんたらかんたら……。これはちゃんとこいつに伝えないと行けないよな。


これを話すということは、こいつのことも認めなくちゃいけないわけで。


ちらりとバカメイドの顔を見る。

こいつも俺を見てきて、お互い見つめ合う。


こいつはバカメイドだけど、俺の事を思ってくれてる。

そして、昨日好きだと気持ちを伝えてくれた。


俺は「嫌いじゃない」とは言ったが、本音を言えばこいつのことが好きだ。


スグハはハーレムでOKと承諾してくれたが、ミナはどうなんだろう。


俺が迷っていると、ミナは気まづそうに言ってきた。


「昨日のこと……ですよね。本当は心の底に気持ちは閉まっておこうと思ってたんです。けど、抑えきれなかったんです。そのせいで困らせちゃってますよね。スグハ様がダメ男さんに惚れてるのは分かってたんです。わたしって最悪なメイドですよね。このお城にも、ダメ男さんにも仕える資格のないダメダメなメイドです……ごめんなさい……」


「えっと……実はなーーー」


さっきスグハと話したこと、第一夫人云々を思い切って伝えた。


「ーーーでな。だから、その……お前が最初に気持ちを伝えてくれたのに、スグハが第一夫人になる。それでもお前がいいって言うのなら……」


俺の言葉を遮るようにして、ミナは泣きじゃくりながら、大粒の涙を零しながら言った。


「いいです! 第2夫人で全然いいです! それにこれからどんどん女が増えようが構いません! ……だから!! 私もーーーダメ男さんの嫁になりたいです!! 」


そう言い切ったミナはないていた。

俺はその涙を手で吹いてやると、ミナは目を瞑った。

そして、唇を差し出してきた。


「どうせ……スグハ様ともしたんですよね? 私にもしてください。誓いのキスをっ♡ 」


俺からしたわけではいのだが……。

キスを待っている女の頼みを断るわけにもいかず。


これが誓いのキスなら、スグハにも後でしてあげないといけない。


まぁ、お互い嬉しいことだし、いっか。

ミナを優しく抱きしめて、してあげたのだった。


……ネシアは興味津々といった様子で、一部始終を見つめていた。


いっけね、忘れてた。



――――――――――――――――――

【あとがき】

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