第22話 ヒモ男、門番のルミシアとデートする。そして結ばれる②

「ほんっとクズです! 」


俺は喫茶店でルミシアに怒られていた……。


「い、言うにしても……こう、あるじゃないですか。2人っきりのとき……とか。それはそれで雰囲気ぶち壊してやっぱ嫌です! ケツがでかいとか言わないでくださいー!! 」


「自分で言ってんじゃん……」


興奮しているのか高らかにそう伝えてくるものだから、近くで飲み物飲んでる人は噴水のように吹き出すし、隣の席や近場の席の人たち全員ルミシアを見ている。


ちらちらと下に目を向けたやつが、小声で一言。


「うわ、まじだ……でか」


その一言にブチ切れた人物が一人ーーー!

そう……俺。


「ルミシアのケツ眺めていいのは俺だけなんだよ……誰の許可得て見てんだ? 」


「アホですか! ノアさんにも許可してませんよ!? 」


そんなことは置いといて。

俺は立ち上がると、そいつの元へ行く。


「なんだよてめぇ、やんのか? 」


「ルミシアとはやってもお前とはやらんわ」


誰がこいつなんかとやるんだよ。

気持ちわりぃなこいつ。


なんだかこいつを見てると寒気がしてきた。ケツ……そして俺を見るや、やんのか。


ひ、ひぃぃ。き、気づいてしまった。これは俺のお尻が危ないかもしれない!


気絶させて、さっさとこんな場所から逃げ出してしまおう。

拳に魔力を貯めていく。


しゅぅぅぅぅんん……!!

どんどん魔力が膨れ上がっていく。


「ちょ、まっーーー」


ぶんっっ!!

拳が頬にめり込み、男は吹き飛んで行った。


これで俺の大事なとこは守られた。

ふぅ、と一息吐いて、酒をぐびっと飲み干す。


ルミシアも飲み終わっていたので、会計をしようとするともう終わってるとのこと。


ちらっと横を見ると、顔をそらされた。


「あんがとな」


「別にノアさんのためじゃないから。これはただ、今日一日好きにしていいって約束だから払っただけ」


好きにしていいのと、払うのは関係ないんじゃ。

けどそれを口に出すのも野暮か。


「……それにノアさん、お金ないでしょ」


「そうだな」


実はスグハから、かなりの金額のお小遣いをもらった。

何気ない会話で、金がないとぶっちゃけたらかなりの金額をぽんっと渡してくれたのだ。


本人曰く、

「私はあまり買い物をしたりしないですから、結構溜まっちゃうんです。溜め込むくらいなら、ノア様にあげるので、好きに使って貰えたらと」


嫁の王女に金をもらって、その金で別の女と遊ぶ。

普通なら死刑になっていてもおかしくない。


帝国は重婚とかハーレムとかOKだけど王国はどうなんだろうとそれとなく聞いてみたら、こっちでも全然OKらしい。


それでも王女がハーレムだなんて事は今まで無かったみたい。


国民にも噂はもう広まっていってるらしい。

まぁ、昨日二人でデートしたし、その時近くにいたやつらがいい広めていったんだろう。


ルミシアの行きたいところについて行って、買い物をしたりしているともう夜になった。


二人で手を繋いで歩いていると、すたすたと城とは違う方面に歩いていこうとするルミシア。


まだ寄りたいところがあるのか。

そう思っていると、立ち止まった。


「その……ノアさんはルミシアのこと、どう思ってる? す、好きか嫌いだったら……どっち、かな? 」


「その二択だったらそりゃ好きだろ」


「か、かくにん……だよ? 王女さまとはもう付き合ってる……の? 」


「あ、ああ。昨日から」


「ミナさんとも……だよね? 」


「そうだな」


「……最後の確認だよ? 王女さまはハーレムOKなんだよね? 嘘じゃないよね? 」


「ああ、何人居てもいいつってた。けど、スグハが第一夫人なのは絶対だと」


「よかった……ルミシアね? ノアさんのこと、好き。クズだし、デリカシーのカケラもないけど、そんなとこも含めて好きになっちゃった……だからルミシアとも付き合ってくれないかな」


えぇ!?

なんか今日やけに雰囲気違うし、口数も少ないなと思ってたら……。


こいつにしたことって、胸とケツ触ったのとこいつの上に座ったくらい……だよな。


ど こ に 惚 れ る 要 素 が あ っ た ん だ 。


冗談か何かか。

きっとそうだろう。本気にしてるのー!? とか言ってくるに違いない。


ルミシアは足を震わせながら、ずっと下を見ていた。


「やっぱり……だめ、だよね……そうだよね。だって……ルミシアなんて、ただの門番だもんね……王女さまでもないし、何でもこなすメイドさんでもない。ご、ごめんね! やっぱり忘れてーーーふぇっ……!? 」


「俺のハーレムに立場なんて関係ねぇよ。……俺を好きになってくれた女を拒んだりはしない」


「ノア……さん……! ルミシア、門番の仕事であまりノアさんの部屋で一緒にいれないけど……休みの時は一緒にいてね!! 」


「なんなら俺の部屋で寝泊まりしていいぞ? まだ何人も入れるスペースあるから」


多分、国王は俺のハーレムを見越して、あのでかい部屋を俺にあてがってくれたのだろう。


毎日一緒にいれる時間が出来たことを嬉しそうにしている。

ぎゅ〜〜〜と抱きついてくる。


「ありがとう! ルミシアのノアさんっ! 」


「お、おう……俺のルミシア」


「えへぇ〜♡ 辛い日もあったけど、門番続けてきてよかった。だって、ノアさんと出会えたんだから! 」


月明かりが新たなハーレムを祝福するように俺たち照らすのだった。


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【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」「連日可愛い女の子と結ばれるとか……羨ましいな!」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! 作者のフォローも是非是非お願いします!


お久しぶりの登場、らぴなです。

クズ男と残念娘ってシナジー効果バツグンですよね。動かしやすくて、書いてて楽しいです。

余談ですが昨日本作の50話目の執筆が完了しました。1章分です。お楽しみに


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