29話 久しぶりの学校にて
これはどうゆう事だ?おかしい、まるで時間が切り取られた感じだ。俺は確かに見たはずだ。二度寝する前のスマホの7時を、だがどうしてだ?一瞬だ一瞬だけしか目は閉じなかったはずだ。なのにこの時間帯はなんだ!?
――12:00――
「あ、おはよう隼人くん。ようやく起きたね。もうご飯は出来てるよ」
西園寺が昼食を用意していた。
「チックしょぉぉぉぉ!!!!!!!!!朝食食い損ねたぁぁ!!!」
「大丈夫、佐藤くんが作っておいた朝食と私が作った昼食、両方あるから」
「えっ、マジありがとう。サンキュー」
◆昼食後
「なぁ西園寺、カイトどこ言った?」
護衛として頼んだのに、近くに居ないとは………うんこか?
「佐藤くんなら学校に行ったよ。私は隼人くんの面倒見る必要があるからここに居るけど」
「なるほど、え、マジ学校?」
マジかよアイツこの状況で学校行ったのかよ。けどまぁ、戦力集める為には学校の方がいいか。とりあえず優斗、最低でも大和レベルじゃねぇと安心は出来そうにないけどな。
「そう言えば隼人くん、私のスマホ知らない?」
「知らない。西園寺俺の制服今持ってる?」
とりあえず、学校に行くか。穂乃果お嬢様親衛隊あたりを味方につけたい。
「うん、持ってるよ」
………自分で聞いといてアレだが、マジでなんでコイツ俺の制服持ってんの?
◆学校校門前 昼休み
「こんな時間から学校行くの何気に初めてだ。変な気分」
「ふふ、隼人くんでもそんな普通の感想持ってるんだね」
何こいつ煽ってる?時たま本当にコイツ俺の事好きなん?って思うんだけど………
「あ!見つけました」
そう叫んだのは、いつかの穂乃果お嬢様親衛隊の総隊長だった。名前は知らん。覚える気は無いが戦力増強に丁度よい人材だ。
「ああ、俺も話が………」
――ピピーッ!!――
そう勢いよく笛を総隊長が吹いた瞬間、わらわらと親衛隊の連中が集まって来た。えっ、何これ?
「速水隼人、貴方を絶対に許しません。ええそうです。絶対に許しません。大事なので2回言いました。珍しく3回目を言いたいくらいです。絶対に許しません」
「おい、西園寺。なんとかしろ」
「ももちゃん。ダメだよ。メッ」
いや、それだけ?あれはどうしたの?ヤンデレオーラ的なあのヤバい圧は?
「うっ、う、穂乃果様を使うとは卑怯です!」
「ちょっと効いてんな」
俺が一体どうゆう状況か考えていると、女子達のスカートの下から颯爽と立ち上がった一人の青年がいた。
「ふっ、説明しましょう」
てゆうか、優斗だった。優斗はそのまま説明出来ずに複数の女子にボコボコにされた。マジで何こいつ?これほど時間を無駄にしたと思った事ないわ。その代わりに総隊長が答えた。
「速水隼人、聞きましたよ。穂乃果様の弱味を握り!嫌々従わせてると!」
「な、なんだと!?」
コイツにそんな事出来るのか!?是非とも教えて頂きたい!
「ももちゃん?誰がそんな事言ったの?」
おっと、ようやくヤンデレオーラ出しましたか、けど、ももちゃんがびびって涙目になってるのでやめなさい。
俺の悪い噂なんてアホみたいにあるし犯人探しなんて疲れるだけだぞ。だからやるなら犯人だと思う奴の噂を適当に流すんだ。数打ち当たれ精神で復讐もいつの間にか終わってる。
犯人じゃ無かった奴らはどうするかって?疑われる奴が悪い。
「僕がそう言ったんだよ」
透き通るようないい声がした。声の主を探そうと目を動かすが、その必要が全くない程一人の男に全員の視線が向いた。イケメンがいた。しかも金髪碧眼の西洋風イケメン。まるで物語の王子様だと言われても納得するくらいの美貌だ。不覚にも男の俺が一瞬、見惚れてしまった。
「………ジフ・ベルク」
西園寺が鬼の形相で睨みつけていた。どうやら知り合いのようだ。ヤンデレオーラと合わさって超怖いのでちょっと離れる事にする。逃げたらダメかなぁ〜。
「ジフ・ベルク!?」
「おう、なんだ生きてのか優斗。知ってんのかゼル・べブブ」
「べしかあってませんよ。ジフ・ベルクです。世界でも五本の指に入る金持ちベルク財閥の御曹司です。身近で言えばあなたが使ってるスマホもベルク財閥の関連企業が作ってます。その他にもコンピュータや家庭用電化製品にも幅広く手がけています。今特に目立ってるのは宇宙開発プログラムですね」
なるほど分からん。とりあえずすげ〜金持ちって事だけ分かればいいか。
「そんなクソ金持ちがなんのようなんだ?」
「フッ、こうゆう事ですよ」
優斗はそう言って俺にスタンガンを当ててきた。けど電気耐性ついてる俺には無意味だった。
「えっ、あれ、あれれ?おかしいな」
「電源ついてないんじゃないか?自分で試してみ?」
「そうですね試………」
「うっし、馬鹿一人撃破。というわけで元凶に聞いて見ましょうベルクさんとやら」
俺はそう言って金髪イケメンに向き直った。正直、これ以上近付きたくない。野生の勘が働いてやがる………ただもんじゃねぇぞコイツ。
「へー、君が速水隼人くん?やるね。まさかスタンガンが効かないなんて思わなかったよインシュレーターでも着込んでるのかい?」
「フッ、まぁな。(い、いんしゅ、飲酒レーダー?何それ)そっちは何も着込んで無さそうだな、そんな余裕があるのか?」
俺は野生の勘に従わず、金髪の懐に入った。理由はなぜこの勘は今働いたのか見極める為だ。幸い近くに西園寺、学校にはカイトがいる、だったら多少のリスク覚悟で情報が欲しい。
「隼人くん!だめぇ!!!!」
――バンッ!!――
「ッ!?」
俺はその場で倒れ込んだ。
なんだ?何をされた?なぜ今たてなくなった?その疑問に答えるかのように激痛が怒涛に襲ってきた。
「あ、あ、あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
右足の太ももが狙撃たれたぁ!現状確認!幸い骨には当たってねぇ!貫通したから銃弾の除去はいらねぇから血を止めるだけ。雑菌は俺の免疫で普通に死ぬからほっといても問題無し!俺は自分の服を破き包帯変わりにして止血させた。よし、多分血は止まった。
「へぇ、激痛に襲われながらも冷静な対処が出来るなんて関心関心」
はっきり言おう。油断した。俺は驕ってたのだ相手がスナイパーを使う可能性を排除し考えてた。その結果がこれか、ザマァねぇわ。言い訳はしない俺の驕りによる選択ミスだ。………けど、やっぱりスナイパーは無いと思うの。
「ジフ・ベルク!!!!!」
西園寺が今にも飛び掛かりそうなくらいにキレやがった。けど、怒りに身を任せてはダメだ。
「下がれ西園寺!!!!!!!!!!!!」
俺は西園寺の怒りよりも大きな声で静止させた。その怒りが義憤であったとしても物語のようにいかないのが現実だ。冷静さを失った方が負ける。
「………相当俺を警戒してるな。でも今見てみろ銃で撃たれて身動きが取れない。警戒する理由が無くなったぜ、ゆっくり話し合おうや」
「驚いたな。まさか撃たれたこと逆手にとり交渉を持ちかけるなんて。僕の部下に欲しいくらいだよ」
「サンクス、けど特に恨みも無い相手を撃つ野郎の下につくつもりはねぇよ」
「ん?……ああ彼女から聞いていないのか」
イケメンがそう言った瞬間、俺の髪を鷲掴みし顔を近づけた。その時、俺は気付いた。にこやかに笑っている、その瞳奥の憎悪を。
「僕は彼女の婚約者だよ」
うんちぶりぶり共和国
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