3万PV突破記念 番外編 出会い
◆遠足
4月の遠足、それは高校生にとって青春のイベントの一つであり高校一年生の場合、友人を作るための交流会みたいなものである。
今回俺達の高校はよく分からん自然公園、まぁ森に来ていたのだった。バーベキューやって自由行動だけの楽な行事である。
「しかも、食料は沢山あるしな」
俺はその辺のキノコや虫を捕まえて適当に間食をしていた。
「え、お前何食ってんの?」
俺は丁度、食べ終えたのでその疑問を問いかけた奴に返事をする。
「その辺にあった虫とキノコ。お前も食うか?不味いけど」
「不味いのかよ。お前その見た目通りの野人なんだな。………実はお前に頼みがあるんだ」
「ほう、入学そうそう浮いてる俺に話しかけた時点で何かあると思ったが。要件を聞こう」
ああ、懐かしいぜ(3週間前)俺の高校生デビュー。初めは友達作りの為にいろんな奴に話しかけたな。全員「あ、え、うん」とか「は、はは」みたいな反応しかしなかったけど。
「なかなか話が分かるじゃねぇか。要件は簡単だ。あそこでキャッキャウフフしてる女共がいるだろ」
俺はそいつが指差す方向を見る。確かに5名ほどの女子達がバレーボールを使って遊んでいる。
「その中にいる一番の美人。西園寺穂乃果さんを襲え。そしたら俺が颯爽とお前に立ち向かうからお前はやられた振りをするんだ。そうする事によって穂乃果は俺に惚れる」
何を言っているんだろうコイツ?俺は自分が変人だという自覚はあるが、それでも言いたい。頭沸いてんのか?
「断る」
俺はまた他の食料を調達する為、森に入ろうとしたが肩を掴まれた。
「まぁ、待て。お前にとっても悪くない話だ」
「どこが?」
「もしこの作戦が上手く行ったら。お前に女や金をくれてやる。なんてたって相手は西園寺財閥のご令嬢だ。惚れた俺が頼めばこの程度の報酬、いやそれ以上が期待できる!」
「………なるほど分かった」
「おお!話の分かる奴じゃねーか!俺は北条大和よろしくな!」
俺はそのまま女子達の元に向かいながら、大和の言葉に手を上げて返事をした。
「あのーすいません」
「え、あ、なんですか?」
女子4人がさ、さ、………1番の美人を守るように立ち塞がった。どんだけ警戒されてんだよ。とりあえず俺は、百聞は一見にしかずにならわず百聞を聞かせた。
――スマホの録音によってね。
今までの俺と大和の会話を聞かせたことにより女子の中の日焼けとチビ二人が大和がいる方向に向かって行った。
「ギィヤァァァァァァ!!!!!」
何者かの断末魔が森中に響き渡った。
「うっし、森に入るか」
◇
「お前何してんの?」
俺は森の中でカメラを構えている奴を見かけて思わず声をかけた。
これが、普通に自然を撮っているだけなら俺は何も言わなかった。けどね、撮ってるのがね。
「西園寺穂乃果を撮っていますが何か?今は丁度汗をかいて下着が少し見えるんですよ。撮らない理由あります?」
撮らない理由しかないが?ここ結構な進学校なのに馬鹿しかいないの?アホなの死ぬの?
「………そうか」
俺はこれ以上関わりたくないので逃げる事にする。おかしい、まるで俺がまともに見える。
「待ってください」
そう言ってまた肩を捕まれた。なにこのデジャヴ?嫌なんだけど。
「分かります。分かりますよ。あなたのその顔。変態ですね」
「張っ倒すぞお前」
「ですから貴方にお願いがあります。彼女、西園寺穂乃果の服を破いてきてください。その瞬間、自分は絶対にTKBを撮ります。もちろん貴方にも差し上げます」
「………なるほど、分かった」
「おや、話の分かる方ですね。僕は山下優斗です。どうぞ今後ともよろしくお願いします」
俺はそのまま女子達の元に向かいながら、優斗の言葉に手を上げて返事をした。
「あのーすいません」
「あ、また貴方ですか?」
俺はそのまま優斗の方向に指を指していった。
「あの森の中レンズの光分かります?盗撮されてますよ」
先程の女子二人がまたもや向かって行った。
「ギャアァァァァァァ!!!アッ!?イイカモ」
またもや誰かの悲鳴が森中に響き渡った。
◇
おかしい、なぜ今日の遠足はヤバい奴にしか会わんのだ。今日は厄日なのだろうか?
俺はそう思いながら。バーベキューを楽しんだ。意外なことに学生が作った割に焼きそばや肉が美味い。焼き加減が絶妙で食が進む。
「おいテメェ、俺に変われ。飯が不味くなる。おい女、焼きすぎだ焦げるだろうが!」
どうやらこれはヤンキーが作ったようだ。感謝して食べよう。
そして俺は一通り食べ終わった。
「ご馳走様」
「見た目の割に礼儀正しくてキモいですね」
「テメェ良くも俺を裏切りやがったな」
「なんかいる」
いつの間に湧いたのお前ら?
「少し聞きたいことがありまして同席したまでです。ついでに貴方にも聞きます。山下優斗ですお見知りおきを」
「なんか巻き込まれたんだけど……北条大和だ。よろしく」
「ねぇ、どっか行ってくれない?」
関わりたくないんだけど。
「僕の質問が終わるまで待ってください。……
………TKBの色は何色が好みですか?」
「死ね」
「はい解散」
俺と大和はそれぞれどっか行こうとしたが、鎖で止められた………なんで、鎖持ってんの?
「待ってください。確かにアホな質問なのは理解してます。ですがこれには訳があるんです」
「どんな訳でTKBの好み聞く奴がいんだよ」
「待て、一回は信じてみよう」
「マジかよお前」
俺の言葉により大和は不服ながら黙った。まだ俺は優斗の事を何も知らない。例え変な話でも一度は信じるのが俺の漢気だ。
「自分、初め王道の薄ピンク色が好きだったんですけど、先程運良くにわか雨でとある女子生徒の制服が透けてTKB見えたんです。……それ以降茶色が好みなったんですがこれは自然の摂理なんですか?」
俺はこれ以降誰でもかんでも信じるのをやめようと誓った。
「待て…………見えたって事はノーブラって事か!?」
「フッ、気付きましたか」
「えっ、続けるのこれ?」
大和の突然の裏切りによって俺は一人になった。い、嫌だ。早くここから抜け出したい!
「しかし何故つけていなかったのか?」
「貧乳だからじゃないですか?」
「おいコラさっさとこの鎖外しやがれ!クソゴミ共が!」
これが俺の大和と優斗の最悪の出会いであった。
あとがき
88キロのハンドグリップ買いました。………動きません。手のひらに青あざ出来ました。
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