2万PV突破記念 番外編 大和vs優斗
「まさか貴方がこれほど愚かだったとは」
「テメェこそこんな馬鹿だと思わなかったぞ」
「僕が正しいと証明するしかありませんね」
↑胸派
「おう、白黒はっきりつけてやる」
↑尻派
「何やってんだコイツら?」
場所は移り変わり人気のない駐車場で
「実況は私、山田颯太が務めるっす。解説はこの方、佐藤義信ことカイトが務めるっす!カイトさん一体どっちがこの勝負勝つと思うっすか?」
「我は個人的に尻派なので大和に勝って欲しいが、恐らく優斗の方に軍配が上がるだろう」
「………お前ら何やってんの?」
「そうなんっすね。体格から見ると大和の方が圧倒的に有利に見えるっすけど」
「確かに素手なら大和はこの中の誰よりも強い事は確かだ。だが、なんでもありの勝負事だと話は変わってくる。特に大和は馬鹿だ不利と言わざるを得ない」
「へー、優斗はなんでもありだとそんな強いんっすか?」
「それは見た方が早いだろう」
「マジで何やってんの?」
――カーン――試合のゴングが鳴り響いた。
「まさか貴方とここまで分かり合えない日が来るとは思いませんでした」
「ハッ、それはこっちのセッ!?」
優斗は躊躇なく大和が喋っている瞬間、しかも瞬きの間を狙ってあらかじめ持っていたであろう砂を顔面目掛けてぶん投げた。
それにより大和は視界を封じられ防御大勢に入らざるを得ない。
「貴方が馬鹿で助かりました」
優斗はどこからとももなく鎖と小さな鉄塊を混ぜ合わせた武器を取り出し振り回した。
「いきなりピンチっすね。あの武器なんて言うんです?」
「鎖分銅だ。昔忍者が使用した武器の一つで主に攻撃や防御、敵を拘束するのに使う。」
「なんで知ってんの?」
そして優斗は距離をとり遠心力を使い大和の頭目掛けて鉄塊を投げた。対する大和は避けきれずに受けてしまった。
――カーン!!――鉄塊が二つに割れた音
「は?ちょっまっ!?」ドカァーン!!!
まさか鉄塊が割れるとは思わなかったのだろう。大和は額に少し傷を負っただけだった。
そんな隙をみすみす見逃す大和では無い。全力のタックルを仕掛けて優斗を数メートル飛ばした。
「一体どうゆう事っすか!?何故鉄塊は二つに割れたんっすか?」
「恐らく安物の鎖分銅を使ったのだろう。一般人相手じゃ死んでもおかしくないが、大和の頭蓋骨の硬さと厚さは常人の倍以上。そんな相手に安物の鎖分銅の鉄塊では鉄塊の方がダメになるのは道理」
「鉄塊が骨に負ける道理とは?」
飛ばされた優斗はすぐさま受け身をとり体制を立て直した。
「チッ」
大和の舌打ちとともに両者一度大きく距離をとった
「えっ、優斗結構飛ばされたのに対してダメージが無いっすね」
「たわけ、今のは優斗自ら飛んだのだ。衝撃を受け切るために。体重100㎏のタックルなどまともに受けたら骨折するわ」
「車が低速でぶつかった時と同じくらいだしな」
距離を取ってしばらくして、先に仕掛けたのは優斗からだった。風がちょうど大和の方へ向いた瞬間、煙幕を焚いたのだ。多分花火の一種だと思う。
だが大和は煙幕に向かって直進した。煙幕で完全に見えなくなる前に仕留める為だろう。だが相手は優斗だ。
「グハッ!?」
煙幕を焚いた瞬間、ヤマトが突っ込んでくると予想していたのだろう。綺麗に警棒をみぞうちに当てやがった。
「おっと!いつの間にか大和に大ダメージ!!どうゆう事っすか!!」
「大和ががむしゃらに突っ込んでくると予想してのカウンターだな。流石と言った所だが、少々博打がすぎるな。………やはり最善の手とは行かなかったようだ」
「えっ?なんで」
カイトがそう言ったとたん優斗の悲鳴が聞こえた。
「いってぇ!!!!」
左手首を抑えている。どうやら警棒をみぞうちに打ち込む瞬間、大和力が強すぎて手首を捻ったようだ。
けどこれは優斗にとって痛いな、大和もみぞうちを打たれて動きが止まっているが、倒れてはいない。しばらく経ったら動けるだろう。そうなれば左手首を痛め武器を扱いにくくなった優斗の軍配が下がる。
「ふん!」
「チッ!」
回復した大和が時間を与えず優斗に殴りかかる。対する優斗は即座に使えない左腕に自分の上着を巻き盾代わりとする事で大和の猛攻を受け流している。
「おっとー!!優斗選手押されている!!もうこれは勝負は決まったといいんじゃないっすか!!」
「相手が俺や隼人なら決まっていただろう。だが大和だ、攻撃が単調過ぎて今だに受け流されている。大和の頭の悪さを考慮すると勝敗を決するには早計すぎる」
「けど俺アイツより席次下なんよ」
「奇遇だな。我も下だ」
「どうやって高校受かったんっすか?一応そこそこ偏差値高いっすよ」
「我は苦肉の策で、受験時の名前を佐藤義信と書いた」
「俺はカイトの答案をモールス信号で教えてもらった」
「ヤバいっすね」
――ボッン!!!――
凄まじい音が駐車場内に鳴り響く。いくら攻撃が単調だからと言って全ての攻撃を避け切り受け流すのは不可能だ。
大和のデカい一撃を左腕にまともに喰らった優斗は3メートルは吹っ飛んだ。
布で巻いて防御を上げたとはいえ左腕はもう使い物にならないだろう。
「終わりだ!!!死ねおっぱい!!!」
「クッ、ここまでですか………なんてな!!」
驚くべき事に、優斗が右腕を振りかぶって突っ込んで来た。まさか接近戦を自分で選ぶとは、俺も予想外。その意表をついた行動に大和も一瞬硬直する。だが、
「いッ!?」
遅い、ただそれだけ。それだけで簡単に腕を掴まれてしまった。
作戦は良かった。実際一瞬硬直したし、けどその一瞬で勝負をつけるには相手と同じ身体能力………いや、9割か8割の身体能力が必要だった。
「優斗選手!博打に出るがチャンスを掴めず大和選手に腕を掴まれた!?絶体絶命もう勝負はついてしまうのか!!それとも、ここから挽回できるのか!!!っす!!」
「…………勝負はついたな」
「ああ、大和勝ちだ」
――バタン――
大和が倒れた音だった………
「「え?」」
「なんで二人とも驚いてるんですか?このバカに僕が負けるとでも?それともあなた方も尻派ですか?全く品性のかけらも無い感性をしていますね」
いや、そんな事より。何が起こった?勝負はついたと思って最後の方をちゃんと見てなかった。
そんな理解が出来てない俺と颯太にカイトが説明した。
「簡単な事よ。左腕で大和の顎を打ったにすぎん」
「えっ、でも左手怪我してじゃないっすか」
「嘘に決まってるじゃないですか。痛がってる振りですよ。そのおかげであのバカは全く左からの攻撃を意識してませんでした」
「だが、吹っ飛ばされた時左腕で受けたろ。そんなすぐ動くか?しばらく痺れが取れんだろ」
「たわけ、腕に巻いた外衣を注視せよ」
俺はカイト言う通り優斗の左腕に巻いた服を見た。よく見てみると少し膨らみがある。
「アームガードを自分なりに改造した奴です。服と一体化になっていて日常生活でも使えます。ちなみにメリケンサックもついてますよ。5万で売りますけど買います?」
「うん、いらない」
「しかし見事だ優斗よ。我も途中まで騙されていだぞ」
「途中までしか騙せないのですか………。隼人は気付かなくても野生の勘があるので、効果があるのはあのバカだけ………まだまだ改良が必要です」
「俺はどうっすか?」
「「「論外」」」
「ひどいっす………あ」
「どうした颯太………あ」
「ん?………あ」
俺ら3人はそう言って優斗の方向を見た。
「どうしましたアホ面並べて僕の方を向いて?………あ」
優斗も気付いたのだろう。俺らの視線が優斗の後ろに向いてる事に。
そう、大和が白目を向きながら立っていた。
「Let's fall into hell together.」
「ぎゃあああああああ!!!!」
勝敗、引き分け。
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