14話 精神力テスト

 あのクソな生活からはや1週間が経っていた。


 とりあえず分かった事を教えよう。あのゲテモノ料理ガチで身体にいい、なんか日々活力が湧いてくる。しかも美味いし!身体能力テストとか言う奴も修行だと思えば特に悪くない!しかも1日一回はシャワーが出来る!俺は段々とこの生活が気に入ってきてる!


 ん、別の事聞きたい?とりあえずアイツらが持ってる俺の情報だな。


 まず初めに俺への嫌がらせのつもりのゲテモノ飯やな。あれ多分ただの勘違いだ。あのクソ団子が「好き嫌いはないんでしょ〜」って煽ってくるから 常識的範囲の好き嫌いは無い って多分勘違いしてる。まぁ、流石に「好き嫌いはないよ〜」って言ったからって「土やゴキブリ食えるの!?」って普通思わんからな。


 今では嫌な表情を少しするだけで次も同じ料理持ってくるから扱いやすい。機嫌悪いふりするだけ同じ献立を持ってくる、つまり、好きな料理を厳選できるのだ!今ではもうゲテモノの中で美味いのしか運ばれてこないぜ。


 次に俺の性格や身体能力、特異体質の調べだな。これは多分、学校や俺の両親から仕入れてる。

 だから山での修行で俺が獲得したスキルやメンタルの強さは殆ど知っていない。

 そう仮定すると色々と俺についての警戒が弱い理由やや身体能力テストで手を抜いても特にバレた様子も無い(本当に限界かどうかの確認の電撃は毎回喰らうが……)理由にも辻褄があう。


 毒耐性を知っていたのはおそらく………西園寺の弁当だろう。彼女は弁当を作るの初めてと言っていた、初めてならば誰かと一緒に作った可能性が高いのは明白、ならば西園寺は誰を頼るか。

 金持ちなら使用人に頼む可能性も低く無いだろう。そして、頼られた使用人が俺が食べる弁当に毒を盛る可能性も低いどころかほぼ確定だろう。それで、へっちゃらだったら毒耐性バレるわな。


 えっ、両親はお前のこと何も知らないの?だってか?俺の両親は放任主義で小難しい事は理解できねぇから何も知らん。


 


 さて、皆の諸君。この状況を整理した時の俺の思考を教えよう。三食飯は必ず食えて(しかも美味い)、運動は自分の意思でやめれる(電撃喰らうけど)、寝るには硬い床だが寝込みを襲われる心配はない!しかも、切り札は相手に全く知られてない!!つまり、最高だと言う事さ!!!


「しかし、娯楽が少ないのが欠点か」


 持ち物全部取り上げられたし。まぁ、流石にあと数週間もすれば出れると思うからいいか。 理由はコイツらが西園寺家の使用人?召使?まぁ取り敢えず、仕えてる人間だからだ。

 だから西園寺がこの事に気付いた瞬間この生活は終わるのだ。

 どうやって1週間も気付かれないようにしてるか疑問だけどな。


「朝食を取り次第、テストを始めます」  


 そう言って俺は運ばれてくる朝食を顰めっ面しながら食った。完食してしばらく経つといつもと違う事に気付いた。運動器具が無いのだ。


「身体能力テストは終わりました。合格です」


 えー、終わったのかよ。楽しかったのに………つか、合格したんだな一体どんな基準か知らんが。


「続いて精神力テストに移行します」


 そう声が響いたと同時に黒服共がわらわらと数十人ほど出てきた。その表情は気持ち悪いことに、殆どがニヤニヤしていた。ブッサイクやな


「これから貴方には、彼らの言う事に従ってもらいます」


 あー、そう言う事。多分いじめだこれ。黒服共は無抵抗のストレス発散器を与えられたのだニヤニヤのブッサイクにもなる訳だな。あ、ブッサイクは元々か。


「と言うわけだ。犬のモノマネしろ」


 なるほどな、これが精神力テスト。多分最初から全く効いてませんよアピールは悪手だな、いじめが酷くなりかねん。ここは一つギャップを入れるか


「……今までもそうだが、今回のは特に度が過ぎてませんか?いじめですよねこれ」


「そうですが何か問題でも?」


「そうですかって………人の尊厳を踏み躙っていいと思ってるんですか!」


「人?」


 なるほどコイツらにとって俺は人じゃないらしい。


「当たりまぎゃああああぁぁぁぁぁ」


「いつまで待たせんだ。早くしろ」


 そう言って男はスイッチを推した


 電撃の主導権はババァ以外にも持たせているようだ。くそったれ


 こうして俺の精神力テスト(いじめ生活)始まった。だが、正確に描写するともはやギャグ作品にならないので俺の狙いだけを詳しく説明しよう。

 ギャップを入れる。つまり緩急をつけるのだ、人は誰でも緩急に弱い。今までクール気取ってたヒロインの急なデレによって落ちたり、

 悪役が勝利を確信した瞬間、急な主人公の起死回生の一撃によって敗北したり、逆に全ての戦いが終わったと思って気を緩めた瞬間後ろから刺されたり、人は緩急があると弱いのだ。


 そして今から俺がする緩急の付け方は簡単、最初抵抗するけど段々と抵抗が弱くなるアレだ。多分メス堕ちみたいなもんだ。(全く違う)


 そうする事によってのメリットを教えよう。まず最初はいじめる側が満足する、満足すれば何が起きるか、いじめが酷くなりにくい。


 最初から何も効いてませんよアピールや終始ガチの抵抗をし続けてみろ。コイツに一泡吹かせてやると躍起になるぜ、逆に最初から無抵抗だと、相手が満足しにくい。満足しにくいとはつまり、いじめが酷くなる可能性が高いのだ。


 次のメリットは相手が油断する、もうこれは言わなくていいだろう。圧倒的にアドバンテージだし


 とまぁ、この二つのメリットが俺の尊厳を犠牲に得られるわけだ。俺の絶対に譲れない所以外のプライドなんてゴミに捨てたし平気である!

 俺はコイツらを出し抜いてやるぜ!




 3日後




 そこには、屍と化した隼人の姿が………フハハハハハ!!!見ろこの演技力!目に輝きが無く襲いくる理不尽によって希望を無くし、ただひたすら無気力に耐え続けるオレ!!完璧では無いか!!ありがとう美月よ、俺はこの理不尽によって更に強くなれる!!

 

 いじめの内容は割愛させてもらおうギャグじゃなくなるからな!ただギリギリ、ブチ切れ無い内容ではあった。俺がブチ切れる内容は四肢の損失か性的暴行か食事制限や睡眠妨害………結構あるな、よく俺の地雷を踏まなかったものだ。


「精神力テストは終わりました。合格です」


 マジで合格基準が分からねえ、なに俺はボロボロになったら合格なの?


「続いて、最終テストに移行します」


 確か穂乃果お嬢様に相応しいかどうかのテストだったか?一番何やるか分からねえ。西園寺クイズでもやるのか?西園寺の事なんてヤンデレで俺の事が好き以外なんも知らんぞ?

 あ、まだ黒服が出て来た。


「酷い姿ね………」


 最終テストの試験官はどうやら美月らしい。何気に10日ぶりである。あ、今の俺は世界に絶望して壊れてる設定だから何も返さないぜ。返すとしても「うぅー」とか「あうわ〜」とかしか言わん。


「きっと私を恨んでいるわよね……」


 いえ、むしろ感謝してます。極限の状態で得られるスキル、経験は金で買えない貴重なものです。ありがとう。


「ごめんなさい………けど、許されようとは思ってないわ」


 ん?、美月さんや。薄々気付き始めてたがもしかして良い子ちゃんか?全然許すよ、周りの黒服達見てみろ特にクソババァ、アイツらに罪悪感なんて無いからな。謝ってくれるだけ感動もんよ。


「だから、これはただの自己満足。アンタにとっては復讐が出来るチャンスね………」


 そう言って美月は服を脱ぎ出した………は?


 俺のそのような疑問に答えるかのように、クソババァからテストの内容が聞かされる。


「最終テストの一つは、S○Xで相手を満足させる事です。とりあえず童貞は捨てて下さい」


 ぶち殺すぞ?

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