41話 終わりと始まり

 全治2ヶ月、俺の診断の結果だ。多分これは夏休み丸々潰れたな………毎年の日課が出来なくて悲しぃ


「だが、一番の問題は暇だ!な、カイト」


「そうだな〜暇だなー」


「厨二病はどこにいった?」


「24時間、毎日発動してると思うなよ。アレは趣味やってるんであって疲れたら辞めるわ」


 え、厨二病って趣味でやるの?ただ思春期の不安定さからくる黒歴史じゃないの?コイツもしかして正気で厨二病やってるの?怖。


「やっぱお前底知れないわ」


「ん?ありがとう?」


 俺とカイトが談笑している時、戸が開いた。西園寺と、なんかデカい外人がいた。何あれ?モデル?まぁ、何にせよ3日ぶりだ。


「よっ、お疲れ」


「は、隼人くん///」


 俺が労いの言葉を投げかけると顔を赤くしモジモジし始めた………なんだコイツ?今更何を恥ずかしがってんだ?


 ※隼人の好きなタイプを知ったからです。


「え、ちょっ、アリサ!痛い!痛い痛い!って歩かせるな!?」


 声の方向を見てみるとカイトが髪の毛を掴まれ病室から出てった………あのカイトが女に好きなようにされるなんて………世界は広いな。


 俺は珍しい光景を左足で写真を取り、西園寺に向き直った。


「それで、もう大丈夫なのか?」


「うん、ジフ・ベルクとの婚約も完全に無くなったよ。もうこんな事件は起きないから安心して」


「起きないって、どうやって?」


「警察や政治家を手中に収めたから少なくとも日本であんな実力行使は出来ないよ」


「え、あ、そう」


 何コイツ化け物?実質日本を支配したみたいじゃん。………けど、


「良かったな。………全てが終わって」


 これで心配事は全て無くなった。ようやく気持ちよく寝れるというわけだ。めでたしめでた


 ――ガチャン


 俺の手足に鎖が繋がれた………


「うん、これでようやく私達二人の物語を進められるね♡」


 あ、なんも終わってなかった。


「ふざけんなクソアマヤンデレ女!病人にだぞこっちわ!」


「隼人くんをここまで追い詰めた点だけ、あのナルシストに感謝かな〜」


「西園寺!お前に真実の愛は掴めやしない!」


「なーんてね」


 そう言った西園寺は俺の繋がれた鎖を解いた。


「私、欲張りだからさ。隼人くん自身だけじゃなく心も欲しくなったんだ」


「俺の心は俺だけのものダァ!」


「だから」


 西園寺は俺の適当な言葉を笑顔で受け流し、少し間を置いて言った。


「隼人くんを惚れさせて見せるよ」


 その真っ直ぐな覚悟を持った瞳に俺は気圧された。………そうだなコイツは本当に手強い。ただひたすら真っ直ぐで折れない点だけ認めよう。


「ハッ、やってm」


 俺は衝撃的な事が起こり、言葉が止まる。油断した訳ではない。むしろその逆警戒しかしてなかった。ただ、思ってた所じゃなかった。


 ――西園寺が俺の頬にキスをした。


 カァーー\\\\\


 クソったれが


 俺は少し頬が赤くなった自分にイラつく。そして勘違いしないように口をさす。


「一応言っとくが、頬にキスは無しだからな。マウストゥーマウスじゃねぇと。俺は約束を守る気はない」


「ふふ、ちゃんと分かってるから安心して。けどこれは宣戦布告でもあるよ」


「宣戦布告?」


「これから先、本気で隼人くんを惚れさせにくるから。逃げないでよね」


 そう言った、彼女の笑顔はヤンデレとは思えないほど、太陽のように明るかった。


 逃げない………か。





 ◆夏休み





 焼けるように暑い日差しと波の音が聞こえる。砂浜は真っ白に輝き、足元からじわじわと熱が伝わってくる。遠くにはエメラルドグリーンの海が広がり、太陽が容赦なく照りつけている。潮の香りが鼻をくすぐり、海から吹くそよ風も、焼けつく暑さを和らげるには少し心もとない。


「逃げない………か。そしたらこの作品終わるやん」


 俺は泳いで一人で沖縄に来ていた。




 次章 夏休み編 



あとがき

 息抜きに別作品を何も考えずに、また作りました。

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