26話 カイトの家

「ようこそ我が基地へ、衣食住の衣と食は外部調達になる。住も時たま無くなるが安心して暮らせ」


 そう言ってカイトが自慢げに紹介した基地は橋の下にあるダンボールハウスだった………


 とりあえず、なぜカイト家にまで行くことになったか回想、そう俺が華麗に不審者から西園寺を救い出した所から始まる。


 〜〜〜


「ねぇ隼人くん!これってもう私の事好きだよね!愛してるよね!はぁ〜♡幸せ〜♡」


 前言撤回、コイツ俺の事何も理解してねぇわ。何が勘違いもすれ違いも無いラブコメだよ。全然あるわボケ。


「オイ西園寺、お前いい加減にしやがれ。俺の行いは例えで言うなら、目の前に消しゴムが落て拾う程度の善意の行動だ」


「うん♡、あの消しゴムはあれ以来一切使ってないよ」


「………」


 ちなみに、かれこれ1時間くらいこんな感じだ。今現在俺たちは警察に電話し事態の収集が終わるまで安全な場所、適当に近くのカフェで時間を潰している。


「あんなに強い手練れを、掌で転がすかのように華麗に救い出した私の王子様」


 なんか歌い始めやがった。ポエムか?まぁいい、それより警察に連絡したのに違和感がある。


「流石に何も連絡も何も無いのおかしく無いか?」


 かれこれ警察に連絡して1時間が経ってる。強盗が入ったって内容でだ。それなのにパトカーのサイレン音やパトカー本体も見当たらん。

 カフェは西園寺の屋敷の門の手前側に位置していて全体が見渡せるのにだ。

 近くて危険と思うか?灯台下暗しって言うだろ、それと人がそれなりにいるから、ある程度安全は確保される。あと、いざとなっても俺が居るし大丈夫だ。

 話がそれた。つまり、警察が全く動いて無いように見える。


「私は囚われの身の、えっ……/////。あ、確かに」


 俺の質問によって現実に戻った西園寺が急に紅くなる?もしかして、あれ?心で思ってた事が口に出ちゃった的な?違和感感じんかったわ。


「………もしかして………いいえ、何でもない」


「おい、その言い方で何でも無いわけあるか。引きちぎった俺の髪やるから教えろ」


 西園寺はそれを黙って受け取り、何が入ってるか知りたくも無い内ポケットに入れた。


「………多分、黒幕のせいで警察が操られてると思う」


 西園寺は暗い表情でそう答えた。なるほど確かにこれは言いづらいわ…………………………

…………………………………………………………………………………………………は?


「は?えっ?」


「警察って言っても一人の人間である事には変わりないの。金や弱みに付け込めば簡単に操れるよ」


「いや、方法とかじゃな、えっ、そんなエグい方法あんの?」


「もちろん、誰でもって訳じゃ無いよ。借金を抱えていたり、賄賂や中抜きや事件の隠蔽とか後めたい過去を持つ人がターゲットだね。それに加え立場が上の人を狙うのがベストかな」


 うん、とても怖い。何が怖いって?それを平然と言ってのける西園寺本人が怖い。


「へー、怖。じゃなくて………お前」


 ――どうするつもりだったのか?


 そう問おうとする事をまるで分かってるかのように西園寺は微笑んで答えた。


「もちろん物理的に解決するつもりだったよ。安心して隼人くん。こう見えて私とっても強いの」


 また、同じ笑顔だ。覚悟を決めた笑みって言えばいいのか?多分コイツはまた立ち向かうのだろう。マジで意味が分からん。


「そんなにあんな家の当主に価値があるのか?なんで逃げる選択肢が無いんだよ」


 そうだ逃げればいい。西園寺だって身をもって知ってるはずだ。金や権力がどれほどあっても愛は買えないって事を。ならなんで立ち向かおうとするんだ?


「隼人くんを捕まえる為だよ」


 西園寺はそうはっきり、真っ直ぐ見つめて言った。ああ、そうだった短い時間でも分かる。コイツの行動原理はいつもいつも俺だった。

 そして、俺を理解してるからこそ、家を捨てた瞬間俺と付き合う未来の可能性が無くなることも理解してるのか。

 はぁー、まるで行かせたら俺のせいみたいじゃねぇか!俺が折れれば即ハッピーエンドなんだろうけどもよ!絶対折れないので別の手を考える。


「はぁー、分かった。お前の当主奪還?、俺にも手伝わせろ」


「え!?」


「勘違いするな。報酬は貰う」


 自分から手伝っといて報酬よこせとかめちゃくちゃな話である。けど無理矢理にでも貸し借りを無くさないとコイツ何するか分からんし、大義名分を作っといて損は無い。

 そして俺は5本の指を突き出した。そう!5万円である!高校生の小遣いでは破格の金額では無いだろうか!もはや、大富豪と言っても過言では無い!※過言です。


「5億円ね、隼人くん。もうちょっと欲張ってもいいのに。本当に優しい人」


「へ?ゴオク?」


 そんだけあったら何出来るの?食べ放題100回行けんの?ケツフクカミニシテモオコラレナイ?


「はっ!?」


 アホみたいな金額に正気を失ってたぜ。

 ※いつもです。


「まぁ、まぁ!金額は働きによって後々決めていくと言う事で!今は仲間を集おうぜ!!」


 俺はそう言って金額の話を有耶無耶にした。べ、別に罪悪感と戦ってたわけじゃ無いからな!



 〜〜〜そして今現在に至る。



「ようこそ我が基地へ、衣食住の衣と食は外部調達になる。住も時たま無くなるが安心して暮らせ」


「1番武力面で頼りになる奴の住まいがゴミだったァァァ!!!」


 マジで何こいつ?「家が無い」って昔聞いて適当に受け流したけど本当に家が無い奴があるか!





あとがき


 どうも渡辺です。気分転換に別の作品を作ったり。設定めちゃくちゃ練った「救国の英雄」のリメイク?書き直しとかもやってます。

 とりあえずノリで作った作品に負けないよう宣伝しました。けどコレ、ノリで作った作品の知名度利用してる時点で負けてね?

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