第2話 昼休み

 キーンコーンカーンコーン


 昼休みの鐘が鳴り響く中俺はすぐさま地面にしゃがみこんだ。そうした瞬間さっきまで俺がいた所に大和の蹴りが飛んできた。


「甘いわ!そんな殺気ダダ漏れで避けてくださいと言っているようなもんだぞ!」


「はっ、これは陽動だ!バーカ」


「何!?」


 大和がそう言った瞬間、殺気を隠して近づいてきた優斗が俺の目の前にいた。


「悪いね、死んでくれ隼人」


 そう言って優斗は腕力の無さを補うメリケンサックを付けて殴ってきた。


 カーン


 そんな金属音が教室中に響き渡った。


「な、なんだと!?」


「常日頃から恨みを買われてるんでね、腹に鉄板を仕込んでるのは日常よ!」


 俺はそう言って優斗の腕をつかみ大和めがけて背負い投げをし二人をぶっ飛ばした。はっ、体が小さく腕力が無い優斗を攻めに使ったのは悪手だったな。さて二人を倒したことだし一番の問題をなんとかするか


「隼人くん!大丈夫だった?私の隼人くんを傷つけようとするなんて……消す?」


「いや別にいい。あんなもん男同士のじゃれあいだ。俺もあいつらもアホみたいに丈夫だから心配せんでいい」


「そう?でも辛い事があったら遠慮なく私に言ってね、いつでも力になるから!」


 現在進行形でその原因が目の前にあるんですが


「あーうん。うんじゃ、ちょっと二人で屋上に行かね?」


「えっ、二人でってそんな……エッチですよ」


 この脳内ピンクは何を言ってるのだろうか?


「いや、一緒に昼食食おうぜの誘いなんだが?」


「あ、そっちでしたか。でしたら私隼人くんの為に弁当作ってきたの!よかったら食べて」


「おう、サンキュー。そんじゃ行こうぜ」


「はい♡」


 ◇ 屋上ーー!!


 俺は屋上に行き、西園寺の手作り弁当を食いながら思考を巡らした。この手作り弁当、普通に美味いが問題がある。所々に髪の毛が見えないように入ってるのだ。それと若干薬品の匂いがする。危険な香りしかしないが普通に美味いからやっぱどうでもいいや。


「ふふ、美味しい?」


 俺は一瞬だけ西園寺に視線を向け少し頷いてまた食事を再開した。正直話しかけないでほしい俺は食事は静かに楽しみたい人なのだ。話しかけられると集中力が下がり食事の細かな違いや変化を見逃すからだ。


「そんなに夢中になって、えへへ♡」


 だから話しかけんじゃねーよ。俺は寝起きと食事中は機嫌が悪くなるんだよ。そして、しばらくして飯を食い終わった俺は覚悟を決めて話始めた。


「なぁ、西園寺……俺お前のこと振ったよな」


「うん、そうだね」


「なら、なんで付き合ってるって噂流してんだよ」


「え?付き合ってるんだから当たり前でしょ」


 おっと、目のハイライトが消えました。この方面で話を進めればBAD ENDが確定ですね。えぇぇ!ここから入れる保険は無いんですか?くたばれ。


「いや、でも俺好きな人がいるって振ったよな」


「ふふっ、それ嘘だって知ってるよ」


 なんてこったい、今まで正直に生きて信頼勝ち取った時の相手を出し抜く一番の切り札の嘘を使ったのに見破られただと!?え、そもそも信頼もクソも無いだって?うるせぇ


「な、なんで?」


「だって〜、隼人くん女っ気0だもーん。うちのクラスの女子の名前と顔、半分も覚えて無いでしょ。それにスマホの異性の連絡先、お母さんくらいしかいないし、小学生の時は男女の違い殆ど分からず赤ちゃんはキスで出来ると思っていたり、中学生の時は厨二病を発症して女子から距離を取られていたりしている中どうやって好きな人が出来るの?」


 うわ、やっべー。俺の個人情報どないなってんだ?こいつ高校から出会ったよな怖。けど甘いぜ西園寺、好きになる理由なんて人それぞれ、この一手を下してやろう。


「一目惚れしたんだよ」


「それは無いわ」


 なんでー?有無も言わさず一刀両断されたんだけど、しかも俺の事でだよ俺の内情の事でだよ俺にしか嘘か本当か分からないこと否定されたんだけど……


「もし一目惚れするくらいに軽い男なら私の告白を断ったりしないもの」


 あらやだ、ムカつくことに納得しちゃったわ。こいつスッゲー美人だもん。芸能人や女優とか目指してトップ狙えるレベル、しかもおっぱい大き!?


「なんだこれは!?俺の思考の中に情欲が入りこんだだと!?常日頃から精神を鍛え賢者タイム常中を取得したこの俺が!?ありえ……ハ!?西園寺貴様!飯に何を入れた?」


「え、隠し味に結構な量の媚薬と私の髪の毛と爪……きゃ!言っちゃった♡」


『きゃ!』じゃねぇよ『きゃ!』じゃ、なんつうもん食わせてんだ。まさかコイツ、ハニトラを狙ってやがるのか?ふざけやがって


「もし俺が昔山に籠って修行をして無かったらどうなってるか分かってんのか?」


「えーと、ご馳走様でした?」


 頭沸いてんだろこいつ、いや沸いてるからこんな事してんのか。いやもうそんな事はどうでもいい久方ぶりの情欲、精神統一しなくては


「根性!!!!!よし解毒成功……なんの話してたっけ?」


「えっ///、隼人くんが私に対してエッチしたいって話♡」


「あーうん、どうでもいい事だったから話変える。一番気になってた事聞くわ。………お前なんで俺のこと好きなん?」


 俺にとって1番の謎であり1番の疑問でもある。ぶっちゃけて言うと俺はモテない、確かに身長は178cmで常日頃恨みを買ってるので身体はよく鍛えてあるが、モテるポイントがそこしか無い。

 モテないポイントいくつかあげよう、まず不潔である。髭は気が向いたら剃ると言う習慣で今では全く手入れされていないボーボーである。髪も同様切るのが面倒くさいので肩まだ伸びてボサボサ、普段はシャワー5分しか浴びず風呂は月に一度でも入ればいい方。顔はせいぜい磨けば光る程度だ、つうか大体の奴らそうだろつまり普通、せいぜい二重なのが良い点。

 そしてこれが1番の理由だ。それは性格、ここまで読んだ奴はもう気付いていると思うが俺はどうやら一般人にとって変人らしい。何故らしいかって?そりゃ俺視点で見れば周りの奴らの方がおかしいからだ。けど残念ながらこの世界は多数決で決まる。認めてはいないが甘んじて多数派を受け入れた結果、周りから見て俺がおかしいのは事実。つまりだ普通、頭のおかしい奴に惚れる事は無いのだ。だからこその一番の疑問

 

「えっ、分からないの?」


 おっと、目のハイライトが消えました。地雷踏みました。はい終わりでーす死にまーす。


「……本当に分からないんだ」


「西園寺よ。……空が綺麗だな」


「くもりだよ?」


「………先手必勝!逃げるが勝ちだぁぁ!!」


 俺はそう言って一目散に屋上から逃げた。はっきり言おう、あいつと話し合っても無駄や、なんなら命まで取られかねん。ならする事は一つ、数時間後の俺がなんとかしてくれるさぁ!!


 ◇ 隼人が去った後の屋上ぉぁぁ!!!


「ふふっ、ちょっと意地悪しちゃったかな。けどごめんね隼人くん今はちょっと恥ずかしくて言えないけど、いつか必ず」


 彼女はそう言ってイルカのキーホルダーを愛おしそうに両の手で握った。






●あとがき

 は?おかしいんだけど?適当な殴り書きで書いた小説が、めちゃくちゃプロット練った俺が別に書いてる小説「救国の英雄」よりフォロワー倍以上に増えて一話のハートの量とPVも超えて、尚且つ星の数まで超えやがった………

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