32話 ええ、そうです僕がMVPです。

「催涙弾!」


 優斗はガスマスクを付けて躊躇なく群衆の中心でぶっ放した。それにより群衆は阿鼻叫喚、パニック状態となる。


「催涙弾!催涙弾!催涙弾!あーヒャヒャヒャ!!!!!!」


「いくつ持ってんだよ。けど助かったあんな群衆、まともに相手に出来ねぇからな」


「アホか大和。逃げないと巻き込まれる。行くぞ」


 俺はそう言って、大和に肩にまたがった。


「………なんで俺がお前を肩車しなければいけないんだ!殺すぞ!」


「怪我してんだぞ!無理に歩かせるんじゃねぇよ!報酬は西園寺がなんか用意するよ!」


「それでも俺のプライドが許さねぇんだよ!死んでもお前の下になんかつくか!」


「そんなプライド捨てやがれ!今の状況考えろ!」


 ギャーギャーギャーギャー


 ――ドカァァァンンンンン!!!!


「「ギャアアアアア!!!」」


 催涙弾が切れた優斗が手榴弾を投げてきた。マジでなんなんコイツ?


「二人とも何してるの!隼人くん歩けないなら私が肩貸すよ」


「ああ、ありがとう」


 俺はそう言って西園寺に肩車された…………


「いや、肩ってそっち!?」


 ◆優斗視点!


 ふふふふ、来ましたよ!来ました!どうもご機嫌麗しゅう童貞弱者男性の皆さまリア充の優斗です。

 今日は僕が記念すべき、僕リア充化記念日です。経緯や過程は知りませんがそんなのは些細な事!僕は目覚めの時聞いたのです。


「愛する私の優斗様起きてください。私達二人の愛を引き裂く悪者が沢山いるの、やっつけて!………そして、全てが終わったら私と結婚しましょう!」※幻聴


 と、あの西園寺穂乃果が言ったのです!


「ですから有象無象のモブ共!僕と穂乃果との愛を邪魔しないでください!アッヒャヒャヒャ!!!!!!!!!」


 おや?催涙弾、閃光弾、手榴弾、煙幕弾、音響弾全て使いきってしまったようです。隼人を倒す為に結構準備してきましたが足りなかったようですね。


「まさか6名も残ってしまうとは親衛隊の隊長の皆さん」


 僕はそのまま、いつでも鎖を取り出せるよう準備をする。

 隊長の一人、知的でクールなメガネさんが一歩前に出た。


「山下優斗、2年5組、身長162cm、体重54kg、身体力テスト50位以下の番外、唯一、長座体前屈で5位を取得、席次では常に10番内に入ってる秀才………ここまでのデータからお世辞にも強いと言えませんね。所詮道具頼りの凡人です。」


 身長体重は分かりませんが、その他は学校で全て張り出されてるデータですね。身体力テスト中間期末テストは上位50名しか張り出されないので納得です。しかしそれでも


「どうして分かるんですか?僕のこと好きなんですか?ごめんなさい………僕にはもう穂乃果って言う「自惚れないで下さい。鏡見たことあります?」…………」


「私は穂乃果様に次いで学年2位の天才!全ての学生の情報は一度見ただけ覚えます。ああ、そんな私より天才な穂乃果様ったらステキ!………貴様如きゴミクズが呼び捨てにしていい人ではないのです」


 彼女はそう言い終わると何処にしまっていたのかトンファーを構えました………なんでゴリゴリの近接武器なんですか?


「涼子、お前らは穂乃果様を追いかけろ。こいつはアタイがやる」


 そう言ったのは日焼けが目立つ大柄のおっぱいおっぱい。はっ!?ダメだ僕には穂乃果が………畜生!目が離せない。これが万乳引力の力ですか!なら仕方ないですね法則は変える事が出来ないですから諦めてガン見します。


「陽葵大丈夫ですか?舐め回すような気持ち悪い視線向けられてるけど」


「ヒッ!?で、でもアタイの頭だとクズの大和と破天荒の隼人相手だと足引っ張るし、き、気持ち悪いけど………頑張る」


「そうですか、くれぐれも気をつけて」


 そう言ってそれぞれの隊長達は先に進もうとします。ですか隊長達そう簡単に僕が行かせると思うんですか?


「全方位縛鎖牢獄!」


 僕はそう言い鎖を使ってそれぞれの隊長捕えようと試みた。


「「「「な!?」」」」


 6人中4人ですか、腕が落ちましたね。


「こんなもの1分もかからずに抜け出せる!」


 ええ、そうです。ですがそれだけあれば充分です。


「「「「ぎゃあああああ」」」」


 鎖にスタンダンで電気を流す事なんてね。あ、ちゃんと僕はゴム手袋してますよ。


「は、半分以上やられちゃった!無理だよ怖いよ逃げようよ」


「先ほどのデータに完全に惑わされました。涼子五番隊隊長には後で仕置きが必要ですね。とびっきりの仕置きが必要です。大事なので2回言いました」


「残ったのは貧乳二人ですか?やはり機動力がありますね」


「殺しますよ?本当に殺しますよ?ブッコロ確定です。」


「ひいい、ももちゃんが3回も同じ事言ったよぉぉ!!」


 そんな中、倒したはずの4人のうち一人が立ち上がる。


「ア、アタイの事………忘れるな!!!」


 おっぱいだった。


「馬鹿正直に叫びながら突っ込みますね。叫ばず背後から奇襲すれば勝機はあったのに」


 僕は殴りかかってくるおっぱいのパンチを避けてスタンガンを当てた。流石に2回連続喰らえば動かなくなるだろう。

 だが、僕の予想が甘かった。脳筋との戦闘は初めてでは無いのに油断してしまった。


「オラァァァァ!!!!」


 真正面から電気を喰らったのに殴ってきたのだった。しかも狙いはスタンガンを持つ腕、そのせいで僕はスタンガンを落としてしまった。


「ッ!?やりますね」


「ハッ、あたりまえ…………」


 そう言って、おっぱいは倒れた。………やられました相当な痛手です。何が一番の痛手かと言うと落としたスタンガンが


「陽葵、ありがとうございます。本当にありがとうございます。大事なので2回言いました」


 総隊長に渡ったことです。

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