31話 役者登場
「学生相手にスナイパーを使うとはな。程度が知れる」
我の名はカイト。本名は佐藤義信、異世界から帰還したごく普通の一般高校生だ。今は友人の頼みで西園寺穂乃果という娘の護衛をしている。今もその仕事中だ。
「………貴様ごときがジフ様を見下すな!」
スナイパー、もとい女がそう叫んだ。聞くに耐えぬ妄言である。実はこの女以外にもスナイパーや隠密している兵隊はその数12名もおった。全員もれなく身動きを封じたが、たかだか学生相手に本気になりすぎである。
「くだらぬ。貴様はそこで見ていろ。己の主人の醜態を」
我はそう言い友人へ助太刀に参ろうとした瞬間
「おい、何処に行くつもりだ?」
金剛流転流
我の木刀と鉄のバットの先端かち合い、二人同時に弾いた。
「うお!なんだ今の?しかしお前学生なのにやるなぁ!」
「………名を聞こう」
先程の攻防で我の方が半歩後ろに退いた。基となる身体で我が劣る証拠。それに臭いで分かる………強者。
「俺様は藍沢龍馬だ!冥土の土産に覚えとけ!」
「我はカイト。ただの偽名だ。冥土の土産に覚えておくがいい」
「いや、本名言えよ」
◆ 人質編
「ヒャッハー!来れるもんなら来てみやがれ!西園寺がどうなっても知らねぇぞ!」
そう、俺こと速水隼人は天才的アイディアを閃いたのだった。その名も西園寺人質作戦。いや〜そうだよ。元々、俺達の誤解を解こうと考えるのが間違えだった。どっかの捻くれ者が言った「誤解と言う解が出てる」今、そう簡単に誤解は覆らない。なら、誤解が出てる上で作戦を考えれば良かったのだ!つまり、悪役という誤解が出ているなら悪役になれば良いのだ!!いや〜マジ、俺天才。
「皆さん!本当に速水隼人が西園寺に暴力を振えると思うんですか?これはハッタリです。速水隼人は穂乃果を傷つけられない!」
おっと、ジフさんや。言葉巧みな演説ありがとう!そのおかげで親衛隊の面々が冷静さを取り戻し再度俺を殺しにかかろうと向かってくる。
――けどな俺の方が一枚上手なんや!
「フハハハハ!テメェら少しでも近付いて見やがれ!西園寺にディープキスすんぞ」
性暴力までに考えが至らなかったな!
俺が言った言葉に、親衛隊とその他大勢の足が止まる。
ジフさんよ。アンタが俺の悪評使ってコイツらをまとめ上げるんだったよ。俺が俺の悪評使ってコイツら全員騙す事だって出来るんだよ!いやぁーキモティー絶体絶命的状況で機転一つで状況が覆せるなんてドーパミンウハウハ。
「何をやってるの!私はどうなってもいいから早く来て!ほら、早く来ムーーー」
俺は余計な事言う西園寺を口で塞いだ。いやお前ふざけんなよ。結構ガチでピンチなんだよオラぁ!
(もちろん知ってる。けどもしここでキスしてくれたら隼人くんはあの約束を必ず守る。そしたら、わざわざ面倒くさい当主にならずに二人で愛の逃避行が現実になるの!)
コイツ直接脳内に!?ていうか敵が増えた!!
「すまない皆んな」
そう言い、群衆の中から一人の男が覚悟を決めた表情で先頭に出た。というか大和だった。
「俺はNTRが性癖なんだ」
そう言って大和が、突撃かまして来やがった。
ふざけんなお前!イレギュラーは計算に入れてねぇんだよ!
「待て大和!1360円借した事チャラにしてやる!」
「よし分かった。味方になろう」
「え、チョロ」
「第一あの金髪イケメン気に食わないんだよ。金持ちで高身長でイケメンで美人な婚約者がいて性格が良くてイケメンな時点で、死ねばいいのにって思ってる。だからお前に味方するよ、その代わり女か金寄越せ」
「お前が正真正銘クズで助かったよ」
「褒めんなよ」
褒めてねぇよ。そして、お前ジフの性格がいいとは?もしかして結構前からジフさん学校にいて人脈広めてたの?けど、ありがとう君のその努力のおかげでクズは君の敵になった。あとは
「西園寺、このセリフ言ってくれ。褒美は頭撫でてやるゴニョゴニョゴニョ」
「え!?それは隼人くんの頼みでも……」
「じゃあ追加でハグ「分かったやるよ」」
西園寺はそう言って大きく息を吸って言った。
「優斗くん!!」
その言葉によって馬鹿は目覚める。
「はっ!?」
「実は私、本当は優斗くんの事が……、だから!アイツをやっつけて!」
西園寺はそう言って金髪を指差した。
「合点承知」
これにより、役者は揃った。反撃開始だ!
颯汰「俺忘れてないっすか?」
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