33.装備は大事です

 なぜか、みんな納得顔。


「にーさんの世界には光学兵器がない世界だな?」


 光学兵器、それは浪漫武器。開発はしているようだけど、使用するのに膨大な電力が必要で大変らしいね。それでも実用化しているものもあるらしいけど。


「レーザーくらいならありますね」


「レーザーはあるのか。じゃあ、レーザーってなんだ?」


「光の増幅?」


「その光の速さを知っているか?」


「およそ、秒速三十万キロです」


 俺の代わりに美紅が答えてくれた。


「そう、とてつもなく速いんだ。例えば光学兵器で十キロ先の目標を攻撃したとしよう。発射されて目標に到達する時間はどのくらいだと思う?」


「一秒の三万分の一。一瞬だね」


 今度はアイリスが答えた。言っとくけど、俺も答えわかったからね! 速さ×時間=距離、ハジキって覚えると小学校で習った。今思えば、小学生に拳銃ハジキって……。


「そういうこった。撃った瞬間には当たっているんだ。躱すことなんて不可能なんだよ。防御シールドを張るか、できる限り本体の防御力を上げる必要がある。だからな、こういう形になる」


 なるほど。じゃあ、宇宙物のドラマとかアニメで撃たれてから躱すってのは不可能で間違いってことか。リアリティーを追及して撃った瞬間は破壊されているじゃ、物語にならないよな……。


 だから、当たっても大丈夫なように防御力を高めるか、狙われ難くするために回避行動を取れる高機動型にする必要がある。だけど、高機動型には限界があるから、非常に数が少なく高額になるしメンテも大変なんだそうだ


「文明値四の世界であれば、攻撃特化や万能型でも防御力は十分と思います」


「防御するくらいなら、汚物は消毒じゃ~って感じでいいんじゃない?」


 アイリスさんの考えは過激すぎると思います。でも一理ある。


「にーさん、文明値四の世界にこいつらを持っていくつもりかよ……」


「クートの安全が第一です」


「もしもの時の切り札だよ」


 使うことはないかもしれないけど、持っていれば安心できるからね。


「じゃあ、武装はどうする? 攻撃特化だと広域殲滅兵器も付いてるぞ? 使うのか?」


 さすがに広域殲滅兵器はいらないかな。


「万能型にオプシュンを付けるのが無難でしょう」


「攻撃特化はさすがにいらないね。剣にも盾にもなる万能型がいいね。オプションで広域非致死性兵器をつければいいよ~」


 殲滅じゃなく鎮圧か、それはいいな。


「となると、この辺か? 主兵装にビームマシンガン。副兵装にロングビームキャノン。オプションでヴェスパーってとことか?」


 ヴェスパーってのはビーム兵器と広域非致死性兵器の切り替えができる兵器。広域非致死性兵器はショックバーストといって直径百メートルの円の領域にショック性の攻撃をするするものらしい。要するにスタンガンの広域版って感じ。


 ビーム兵器のほうは射程は短いけど薙ぎ払えってやつができるそうだ。使わないよ? たぶん。


 このバトルロイドは万能型なのでそこそこの防御力もあり、全方位シールドと一面だけの強化シールドも張ることもできる。


 兵装込みで九千万Gで購入した。全長二メートル、見た目はモビルなスーツのGMキャノンに似ている。通常は二足歩行だけど、足を折り畳むと無限軌道が出てきて悪路走行や高速移動ができるようになる。最高にクールだ。


 すぐに俺と美紅、アイリスをマスター登録してもらった。美紅とアイリスも納得のいい買い物をした。


 次は個人装備だけど、この店には大型銃器しか置いてないみたい。美紅から、狙撃用ビームライフルが欲しいとおねだりされた。


 予備弾倉二つと携帯充電装置付きで七十万Gで購入。


 個人用防具は置いていないそうなので、次の店に移動することにした。


 次に行った店は個人用の武器防具を扱った店。


 異世界だから剣が欲しかったけど、想像していた剣などは置いていなかった。あるのはライトセイバーなどの通常柄しかない物ばかり。しょうがないのでライトセイバーと持ち手が伸縮するビームランスを買った。美紅用ね。


 俺もブォンブォンってやりたかったんだけど、危ないから触らないでくださいと美紅に言われた。解せぬ。


 美紅はそれ以外に非殺傷の切り替えができるフェイザーガンを購入。刃の付いた剣は向こうで買うことにした。ブラックマーケットでも売っているところがあるとは思うけど、今すぐ必要というわけではないのでいいだろう。


 俺の武器は買わない。さっき、ライトセイバー系は危ないから触るなって言われたし、銃系はこないだ買ったパルスガン付きアームガードがあるから必要ない。


 防具は未来的な防具ばかり。当たり前か。鎧というよりバトルアーマーと呼ぶに相応しい物ばかり。


 それでもなんとか鎧っぽく見えるようにコーディネートし一式揃える。美紅用のね。兜だけはどうしても見つからずヘアバンドにバイザーの付いたもの購入。飛来するものを感知して瞬時にシールドを展開するらしい。ヘルメットはあるけど全部フルフェイスなんだよねぇ。


 見た目は姫騎士になった。格好いい。


 俺の武具は防刃仕様のシャツ、ズボンにタクティカルベスト、バイザーに決定。美紅と同じような装備を身に着けてみたが、上手く動けなかった。才能がないらしい……。


 バイザーは俺のポポヘル軍通常装備品であるパルスガンとシールド付きのアームガードと連動できるもので、照準と暗視、望遠、サーモグラフィまでもが付いている優れもの。


 その他のアクセサリー込みで総額二百六十万Gとなった。


 バトルロイドが如何に高額かわかる。


 しかし、安全には変えられない。


 過剰戦力ともいえなくともないけどね。







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