63.光あれば闇ありです

 夕飯はしゃぶしゃぶにするみたい。美紅とアイリスが準備する間、チロルをモフモフしながらピムにテレビを見せる。ちゃんと言葉がわかるようだ。不思議だ。


 しゃぶしゃぶの準備ができてテーブルにコンロとしゃぶしゃぶ用鍋をセッティング。食材もどんどん並べられる。肉は山盛りだね。タレはポン酢、ゴマダレ、ねぎ塩ダレ、すき焼きダレ、カレーダレが並んだ。


 鍋奉行の美紅がピムにしゃぶしゃぶの食べ方をレクチャー。美紅の言ったとおり、しゃぶしゃぶ言いながら肉をお湯に通す姿にほっこりした。ほっこりしたのは少しの間だけね。そのあとはまさに戦場。


 俺とチロルはおとなしく鍋が空いた瞬間を狙い、肉をしゃぶしゃぶしていた。その瞬間を見極めるのがなかなか大変なんだけどね。それにしても、このカレーダレ、めっちゃ美味しいんですけど。


 されど、俺とチロルは途中でギブアップ。もうお腹に入りません。いや、シメのうどんの分だけは残している。それまでは赤割をちびちび飲んで観戦に回る。


 ほんとよく食べるね君たち。


 やっと、シメのうどんが投入。好きなタレに付けて食べる。ねぎ塩もよかったけど、やはりカレーだな。今日の殊勲賞カレーダレに決定だ。


 お風呂に入り、寝る用意。ピムはアイリスと一緒に魔法少女もののアニメを見ている。


 美紅は御影さんの部屋に侵入するために出掛けた。


 朝起きてリビングに行くと爆睡しているピムの姿が目に入る。


 ピムとアイリスには明日は早朝から仕入れに行くから早く寝なさい! と言っておいたにもかかわらず夜更かししたようで、出掛けるのにピムはウトウト状態。なので、両手を美紅とアイリスと繋ぎグレイ状態。チロルはお留守番ね。


 仕入れをさっさっと済ませ朝ごはん。ここは朝寿司か? 行きつけになったお店のカウンターに座れば、店側も慣れたもので職人さんが専属で一人付く。


「こ、これは至福の味なのです!」


 大トロ食べて感激で声を上げるピム。それを微笑ましく見る職人さん。それでも、美紅とアイリスの注文に手を休めず寿司を握る職人さんは、寿司職人の鑑だと思う。


 あぁ、海老の味噌汁が旨い。


 遅い朝ごはんを食べた後は近くのケーキ屋と和菓子屋を梯子し仕入れ。一通り回った後はいつものお菓子の問屋に移動し仕入れ。ピムはそれが何かわかっておらず静かだった。あとで何かを知ったら騒ぐんだろうな。


 お昼はラーメン屋。美紅とアイリスは十人前を三十分で食べられたらタダというのに挑戦。見事に時間内に完食。見ていたお客さんから歓声が上がっていた。


 完食した証しの写真を撮られて二人とも照れていた。普通にお金を払って食べてもいいんだけどねぇ。


 ピムは大盛チャーシュウ麺に餃子とチャーハン。俺はラーメンと半チャーハン。それで十分でした。


 ピムはラーメンをいたく気に入ったようで、神の食べ物です~なんて宣っていた。ラーメンが美味いのは認めるけどそこまでではないと思う。


 俺はラーメンより蕎麦のほうが好きだしね。


 仕入れも終わったし帰ろう。と思ったらアイリスからレンタルショップに寄って昨日の魔法少女もののアニメの続きを借りたいという声が上がる。ピムからも声が上がっている。気に入ったのかな?


 仕方ないので、レンタルショップに寄り続きの巻を十枚借りた。返すの忘れないようにお願いします。延長料金って普通に借りるより高くなるからね。


 そして次の日の朝、ゾンビのような顔をしたピムがリビングにいた……。ずっとアイリスとアニメを見ていたようだ。十二歳のお子ちゃまに完徹は厳しいだろうに……。


 一緒に異世界に連れて行くつもりだったけど、可哀そうだから寝させてやろう。


 そういえば、御影さんから手紙がフォルダに入っていた。写真の件と、別のフォルダに入れておいた物資のお礼だった。日用品からお菓子、ジュースまでいろいろ入れておいたからね。


 特にティッシュとトイレットペーパーに感謝していた。向こうには無いのかな? 宿とかに泊まったことがないからよくわからない。まあ、次回からは対価をもらうけどね。頑張って稼いでくれたまえ。


 最後に黒歴史を見てませんよね? って書かれている。もちろん見ていない。ボーイズラブなんぞに興味はない。


 では、なぜ知っているのか。それは、アイリスがコピーを取っていたのを横目で見たからだ。アイリスには少し腐女子系が入っているみたいだ。美紅は興味がないと言っている。ちょっと安心。


 そんなアイリスをBMブラックマーケットに送り、俺と美紅はマヤリスに移動。屋台を回りながらまた情報取集。町の人が利用し、町の人の話を聞いている屋台のご主人は情報の宝庫だ。


「どうやら、帝国の人間って話だぜ」


「帝国? それにしては早くないですか?」


「帝国は普人族至上主義の国だからな。この国に多くの間者を送ってきてるだろうよ」


 なるほど。それでイグニアル帝国はこの国の仮想敵国なわけだ。


「だとしても、襲撃までしますか?」


「帝国じゃなくても勇者と聞いたらやりかねぇな。エネスト教国なんかもな。あそこは勇者至上主義っていうより、勇者は自分の国のだっていう国だからな」


 なんか凄い話だな。あの話し方は者じゃなくて物って感じだ。帝国、教国どちらも危ない国みたいだ。残りの四人は大丈夫だろうか? その二つの国に行ってないことを祈っておこう。


「そうそう、帝国の連中と一緒に代官屋敷に襲撃したのは、闇ギルドの連中みたいだぜ。何人か生きたまま捕まったそうだ。警備隊も少しはできる奴がいたんだな」


 それ、俺たちです。それにしても闇ギルドって。そんなのもあるのかぁ。光あれば闇ありだからな。


 どこの世界も同じか……。





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