138.店舗探し
祝賀会を終え、翌日はキルヒベルクの屋敷でまったりと朝食。
本戦までは二日空くので、みんな自由時間とした。
俺はこの後、ハンスとエレナを連れ日本に行く。店舗兼事務所探しだ。二人の部屋も探さないといけない。パスポートはアリスがヘキサアンズス・タイプゼロを使いちょちょいと細工。エレナの就労ビザが取れれば一度ちゃんと入国させるつもり。
日本に行く前にちょっと作戦会議。ルナとピムはセバスをお供に出掛けているので欠席。二人とも自由人だから仕方がない。
「さて、日本に店を構えるならどこがいい?」
「ちょっと高級なカジュアル志向だから、若者が多い街がいいよね~」
「新宿、原宿、渋谷辺りでしょうか?」
アイリスと美紅は定番の若者の街推しだね。
「銀座も捨てがたいけどねぇ」
「六本木などは如何でしょうか?」
ハンスは銀座、カジュアルではないような気がする。エレナの六本木はいいかも。でも、場所がね、今一つ浮いている感じがするんだよね。
「クートはどう思う~?」
「俺的には新宿、原宿、渋谷地区が推しかな。近くに大きな街が並んでいるのも魅力。銀座はちょっと高級志向過ぎて、うちのコンセプトに合わない。六本木はまあまあだと思うけど、難点は新宿、原宿、渋谷地区から少し離れていることかな」
「クートは新宿、原宿、渋谷の中でもどこがよいと思いますか?」
「原宿、というより表参道かな、青山もいいけどちょっと離れているからねぇ」
表参道は意外と高級ブランド店も多い。新宿、渋谷の中間でもある。どちらに行くにも近いからいい場所だと思う。次点は新宿かな。
「じゃあ、その辺で探して見ますかねぇ」
というわけで出発。実際に表参道に行くのは俺とハンスとエレナだけ。美紅とアイリスは別行動でショッピングに出かけるみたい。
表参道だとJRで原宿に出たほうが早い。タクシーがいいと騒ぐハンスを黙らせJRで移動。東京を車で移動なんてナンセンス。東京は公共交通機関が一番。郷に入れば郷に従えだ。
表参道は都道413号線、赤坂杉並線が東西に走っている。これがメイン通り。この両脇のビルや店舗が狙い。
「緑が多くケヤキ並木がいいねぇ」
「東京は殺伐としたイメージがありましたが、ここは違いますね。お店も多く散策に適しています」
上り下りどちらにも多くのお店がある。エレナの言うとおりウインドショッピングに最適な場所。すなわち、人が多く集まるということ。
天気が良く、それほど寒くもないので、原宿駅から地下鉄表参道駅を通り青山のほうまで周りを見ながら散歩。青南小学校辺りでUターンして、行きとは反対の歩道を歩いて原宿方面に戻って来た。
景観が良く、大きな通りだけあって人も多い。俺だけでなくハンスもエレナも気に入った様子。
なので、大手の不動産屋に入り物件を探してもらう。表通りに面した店舗は家賃が高い。当たり前か……。それと、すぐに入居できる店舗も少ない。どうやら、仮に退去してもすぐに次の入居が決まるらしい。
それでも、表通りに面した店舗がいい。駐車場や倉庫などは不要なので、販売店舗と事務所になる広さの店舗、そしてハンスとエレナの住むマンションも探してもらうことにした。
まだ、会社を設立していないので、スイスのSkyfort Ltd. を名義にして借りることにしている。
ハンスとエレナはまだ不動産担当者と話をしたいようなのと、この後役所関係に寄りたいそうなので俺は別れることにした。
時計を確認すれば、ちょうど昼飯時なのでどこかで昼飯を食べよう。美紅とアイリスに連絡したら合流するということなので、店を探しつつ移動。チェーン店だがローストビーフ丼が有名な店を選んだ。原宿駅のコーヒーショップで合流して店に行く。
三人とも和牛ステーキ丼。美紅とアイリスは足りないので、追加で単品ワンポンドステーキ、単品ローストビーフをチョイス。それに、サラダ、ポテトフライ、ドリンクを選ぶ。
す、凄いボリューム……。だが、我が愛しのフードイーターにかかれば、物の数ではない。あっという間に完食。ローストビーフにかかったヨーグルトソース、美味かった。俺は満腹。
しかし、麗しのフードイーター二人はこんなものでは満足していない。ネットを検索してパンケーキの店を見つけ直行。ビルの二階にある店で、甘いパンケーキだけでなくお食事用のパンケーキまである。
もちろん、美紅とアイリスはお食事用パンケーキから注文を始める。BLT風からサーモンとアボガド、鶏レバーと挽肉の三種を制覇。
その後はデザートとして各自、フルーツ、生チョコ、モンブラン、バニラとメープルのパンケーキを完食。
俺は胸焼けしそうなので窓際に座り二人を見ず外を眺めながら、マカデミアナッツソースのパンケーキとコーヒーをゆっくりと楽しんだ。マカデミアナッツの独特の香りが利いた美味しいパンケーキだった。
だがしかし、当分パンケーキはいいかな……。
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