106.クリスマスです

「待ってたよ」


 男に待たれても嬉しくもなんともない。


 だがこれでティナとエレナの国籍が手に入った。二人には会計士を取らせパトリックとハンスの手伝いをさせられる。現状、ハンスはルナとピムの接待役になっているけどね。日本の会社の立ち上げをそろそろやらせる。


「これでやっといいクリスマスが過ごせるよ」


 そういえば、そろそろクリスマスの時期だ。


「今年は君のおかげで稼がせてもらったからね、来年まで店仕舞いする予定だよ。地中海に家族で旅行の計画を立てていてね。楽しみだよ」


 海外旅行ねぇ。俺もスイスに海外旅行しているようなものだけど、ほかの国に旅行もいいね。あの近辺だとドイツかフランスかな? それよりも、スイス国内の旅行もいいな。アルプス山脈辺りなんてどうだろう? でも、今は冬か……。行くなら春か夏だろうな。


 スイスの屋敷に戻りティナとエレナに書類一式を渡す。あとは住所変更や銀行開設、パスポート申請をしてもらう。それが終わればハンスとエレナには日本に移ってもらい、会社の立ち上げをしてもらうことになる。


 屋敷の外を見れば洗濯した服がずらっと干されている。前に買った服をアーニャちゃんとの取り引きに使ったら、大好評でもっと欲しいとの要望があった。


 今、アーニャの村は流通の一大拠点となっているみたいだ。話しを聞くと遠くの都市に行くより、アーニャちゃんの村に来て取り引きする者たちが増えている感じだ。


 ちょっとやり過ぎたかな? 


 だけど、もう動き出した以上止められない。その動きを止めないためにも、カカオとザラメ以外の商品がないか模索中。ほかにも商品になるような物があれば安定した取引ができる。


 そうそう、工房のオーナーとも会ってきた。こんな若い俺が社長で驚いていた。オーナーというより職人といったほうがいいような人たちだった。職人としての腕はいいのだけど、経営者としての才能がなかったみたいだね。


 今後の運営方針を説明して、売り上げを伸ばしていくので安心して働いてほしいと話した。お互いに納得できた話し合いだったと思う。年明けに買収が成立する運びとなった。


「これで安心してクリスマスが過ごせます。ありがとう」


「年明けからは忙しくなりますので、それまで英気を養っておいてください」


「お手柔らかにお願いします、オーナー。はっはっはっ」


 みたいな感じだった。


 そして、クリスマス当日。今日はBMブラックマーケットのお店もお休みの日なので、全員で朝からパーティーの準備。うちのメンバー以外呼ぶ人も今はいないけど、それも今年まで。来年からは人を呼んでパーティーすることもあると思う。


 今日はクリスマスなので異世界マヤリスの御影さんにもおすそ分け。高坂さんたってのお願いだからだ。向こうにはクリスマスなんてないだろうから、クリスマスっぽい料理とケーキを御影さん用のフォルダに収納しておいた。


 スイスもクリスマスモード全開。キリスト教徒なら礼拝などに行くのだろうけど、無宗派の俺としては行く気はない。


 日中からみんなとお酒を飲んで楽しんでいる。雪枝叔母から連絡があったがさすがに忙しいと断った。クリぼっちを楽しんでください。


 真夜中に寝ているピムの枕もとにお菓子の詰合せを置いてクリスマスは終了。まあ、クリスマス・イブってやつだね。じゃあ、十二月二十五日ってなんなんだろうって思う。まあ、いいけど。


 翌朝、サンタからプレゼントをもらったと、飛び跳ねて喜んでいるピムとチロルをみんなが微笑ましく眺めている。あの純真さが眩しい。


 クリスマスが過ぎれば、次は年越しが目の前。流れ星の如く忙しい時間が過ぎていく。


 BMブラックマーケットは十二月三十日まで、そこから一月三日までは休みにする。屋台に張り紙もしっかりとしてきた。


 クリスマスはスイスで過ごしたので、正月は日本で過ごす。といっても、初詣だけね。美紅、アイリス、ルナ、ピム、チロルと初詣に行く。場所は浅草寺にした。


 明治神宮とも考えたが明治天皇なんて神じゃねぇじゃんって考えたからだ。それに伴い靖国神社も除外。西新井大師ってのも考えたけど、少し遠いのでパス。


 浅草なら夜中でも店が開いてそうだと思ったのもある。買い食いは楽しい。


 美紅、アイリス、ルナ、ピムはレンタルで着付け込みの着物を頼んでいる。俺は似合わないから着物はパス。素直にブランド物で固め、冬用のコートを羽織る。


 着付けのお店に入り、既に二時間。十八時に入って二十時になる。チロルは俺のフードの中で熟睡中。まあ、あと四時間あるからいいか。でも、腹減ったかも。


 さらに一時間経過して、やっと四人が出てきた。


「どうでしょうか?」


「似合う~?」


「なんともきつい服よのう」


「ひらひらです~」


 お店の人たちが早くなんとか言えって凄い目力で睨んでくる。


「うん。似合ってる。みんな綺麗だよ」


 みんな顔を赤くして照れている。お店の人達も頷いていることから、間違ったことは言っていないとはず。


 この後、近くの写真屋で記念撮影。一人、俺と一緒、全員など何枚も撮った。最後に写真屋の人から、表に飾らさせてほしいいと頼まれ、みんながOKしたので了承。


 ちょっと、恥ずかしいかも。







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