165.猫ちゃん増やそうか?

 日本での会社立ち上げの書類を作るうえで、会社の所在地をどうするかで悩んでいる。


 表参道の店舗はまだ見つかっていない。ハンスとエレナのマンションは良さげな所を見つけているようだけど、店舗が決まらないので保留になっている。


 なので、さっさと会社を立ち上げるために、一時的に所在地を千葉の家にすることにした。お金はかかるけど、後で変更できるそうだ。


 それで、OKを出し会社の立ち上げを指示。大体、三週間ぐらいかかるようだ。


 スイスのほうもキルヒベルクに工房を一纏めにすることが決まり、パトリックが場所を決めてきて改修工事が始まっている。元々、工房があった場所みたいなので、改修工事の期間はそんなに必要ないらしい。


 今は元の工房を使って製品作りをしているので、工事期間は気にしていない。たんに、一つに纏めれば管理しやすくなるってだけだ。キルヒベルクの屋敷からも車で十分くらいの場所なので、ハンスの通勤も楽になる。


 今日はこれといってすることもないので、みんなと格闘ゲーム大会。本当はアビリウスロボットのシミュレーターをやりたかったのだが、みんなに押し切られた結果だ。


 そして、ピムにすら勝てない体たらくな俺。しばらくやっていなかったので腕が落ちたのか、毎日やっているピムの腕が上がったのか、いやそもそもの肉体的スペックがピムより劣っている感じがする……。


 可愛い顔しているが、これでも妖精族のケットシーなのだ。


「クート兄ぃ、もっと精進するです~!」


「ちぃ~」


 解せぬ。


「明日、北海道から最後のミシンが届くよ~」


 今現在、百三十二台が稼働できる状態になっている。正直、もういらない。でも頼んだ以上、しょうがない。


「何台来るの?」


「四十台。状態はいいみたいだね~」


 今まで三百六十台送られてきて、修理できたのが百三十二台。一台当たりの単価が三万円を超えている。性能の良い電気式ミシン買ったほうが安い……。


 アイリス曰く、この手動ミシンは異世界マヤリスの職人でも十分に作製可能だそうだ。設計図も作っているので、将来的には売りだそうと思っている。今はまだ秘匿だ。


「三日後に天祐十傑の会議があるそうです」


「へぇ、遅かったね。すぐにやるのかと思っていた」


「各国の権力者から横槍を入れられないようにとの、配慮からのようです」


 なるほどね。みんな権力者の紐付きだからな。さっさと帰ってくれって感じか?


 ちなみにフリーのステインさんからは好感触を得ている。彼、激戦地の東の大陸出のようで、同郷(設定上)ということから仲間意識を得られた感じ。話を合わせるのが大変だった。


「本戦に残った人たちのほとんどが、帝国に雇われたみたい~」


 金に物を言わせて悉く雇ったみたいだな。驚いたことに、前天祐十傑のフレディさんまで雇われた。まあ、フレディさんはほかの者と違って、好待遇での第二皇子の幹部候補らしい。


 唯一、雇われなかったのは前天祐十傑のタルマンさん。雇われなかったのではなく、雇えなかっただね。タルマンさんは最初からギルドの紐付きだったみたいで、高齢だった中央区のハンターギルドギルド長に代わり、ギルド長に就任した。

  

「最近、クートのことを嗅ぎ回っている者がいるようです」


「どっちで?」


「両方だね~。猫ちゃんをキルヒベルグからこちらに二匹移動させたよ~」


 まじ? 異世界マヤリスはわかる。いろいろやらかしているからね。異世界マヤリスならどうとでもなるから、まったく気にしていないけど。


 問題は日本こっちだ。税務署とも思ったが、税務署なら嗅ぎ回る必要はない。直、家に来て書類を見せろって来るはず。それに、税務署が来たところでまったく問題ない。すべて、対策が済んでいる。


 少し前ならまずかったけど、天宮空斗もクート・スカイフォートも体裁が整った今は、来年の確定申告さえちゃんとすればまったく問題ない。


 じゃあ、誰なんだ? 猫ちゃんの報告を待とう。ついでに、猫ちゃん優秀だから増やそうかな?


 テレビをつける。ガス爆発事故のことはだいぶ下火になってきた。残っているのは、神隠しやどこかの国の陰謀説などのオカルト的なものだけ。笑えるけど、あながち間違いではない。


「最近、テロが多いよね~」


「狙われているのは銀行ばかりのようです」


「物騒な時代になったねぇ」



 今日の夕食はアンコウ鍋。美紅が商店街に買い物に行ったら、魚屋のおやじに薦められたらしい。すぐに鍋にできるように捌いてくれ、そのうえ値段もだいぶまけてくれたみたい。


 俺が行ったら絶対にまけてくれなかったと思う。美人は得だな。


 アンコウ鍋はまだ食したことが未知の領域。カミーユは鍋だけでなく唐揚げも作ってくれた。


 鍋は濃厚なみそ味、肝がめちゃくちゃ美味しかった。身はプリプリ、ほかの部位もコリコリ、クニャクニャと触感の違いを楽しめ面白い。唐揚げはふわっとした感じで、これまた美味い。


 ビールと酒が進むね。


 今日も良い一日でした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る