16.仕入れは大変です

 何はともあれ、まずは購入資金をなんとかしなければならない。


 まあ、別に急いで必要というわけでもないので、気長にいこう。


「にーちゃん、マヨを頼むぜ!」


 そうでした。忘れていました。


 業務用マヨ二十本入りの箱を二つ出す。


「こんな商品もあるんですが、どうですか?」


 タルタルソースを小皿に出してタコさんに渡す。


「ん? マヨじゃねぇのか? ぺろりんちょ……。にゃ、にゃんだこりゃー! たこが墨吐いて大噴火じゃあぁぁぁ!」


 宝石箱や~! のパクリか?


「買う。全部買うに決まってやがるぜ。こんちくしょうめ!」


「マヨより少し高いですけどいいですか?」


「買うって言ってんだろう! てやんでぇばろちくしょうめ!」


「毎度あり~」


 業務用タルタルソース十本を追加で載せる。試供品の一本はおまけした。


 タルタルソースの値段は十五万G。タコさんのお買い上げは五百五十万G。


「いい買い物だったぜ。明日もよろしく頼むぜい!」


「私のモ、ヨろしくオ願いシますネ」


「はい、もちろんです!」


 さて、売り上げはどうなっているかな。税金を抜かれた売り上げがカードに振り込まれる。総額は……二千九百万Gを超えている。日本円にすると四千三百万円を超えることになる。


 ははは……。苦笑いしか出てこない。


 もう、会社辞めていいんじゃね?


 取りあえず、両替所に行き四百万Gを六百万円に両替。これを資金にまた仕入れをする。亜空間収納目一杯まで仕入れをするつもりだ。資金が尽きるか収納できなくなるか? どっちだ?


 スマホで計算してみる。輸送で使われる四十フィートコンテナがおよそ六十七立方メートル、亜空間収納は二十メートル四方だから八千立方メートル、およそ百二十個分。


 間違いなく資金だな……。


 自室に戻ってPCを使って卸売業者や仲卸業者のサイトを見て回る。やはり、昨日見つけた仲卸業者のサイトが、一番配送が早い。ダビーさんに頼まれた食用油各種とタコさんの追加の業務用タルタルを注文。


 野菜や果物は確かに卸売業者や仲卸業者のサイトから買うと安いけど、配達されても困る。ここの部屋マンションの五階だし……。


 やはり、築地場外市場とかJAの直売所で買うしかない。JAの直売所を探すと東京の西のほうに集中している。今から行ってドアに登録だけしておくか。公共交通機関を使うと二時間かかる。途中、タクシーを使って時間短縮しよう。


 なんとか着いたが、既に夕方四時を過ぎているので直売所は閉まっていた。残念。比較的大きな直売所三つを登録して帰ってきた。開店は朝九時頃なので築地場外市場に朝早くいって仕入れをしてから、足りなければJAの直売所に行こう。


 時間があるので髪を染めておこう。忘れないうちにね。いつもの理容店には行けないので、いったことのないメンズ美容室に行ってみる。


「黒に染めてください」


「黒に染めてよろしいのですか?」


「黒でお願いします」


 なぜ、確認したんだ? 茶髪を黒に染めるのはおかしいのか? ついでに髪が長かったのでイメチェンを狙って、ツーブロックショートにしてもらう。


 すべて終わって鏡で姿を確認すると、だいぶ雰囲気が変わった。だけど、逆に若さが際立つようになってしまった。ミスった……。


 自室に戻り買っていた牛丼を食べ、明日に備え早めに寝た。


 六時に築地場外市場に移動して、朝ごはんを食べる。狙いは海鮮丼だ。こんな早朝だというのに、開いているお店が多い。市場の人たちが利用するからだろうね。


 スマホで検索しながらお店を探す。二十四時間営業のお寿司屋さんまである。まじかぁ。となると海鮮丼ではなく、お寿司にするか。


 朝からお寿司、なんて贅沢で最高な時間だった。


 市場に移動してお店の人に話を聞くと、この時間は一般客ではなくお店を持った人たちの仕入れが相手になるという。別に資格とかは必要ないようで、大口か定期購入してくれるなら売ってくれるそうだ。


 住所、電話番号、屋号、名前を書いてお店の事務員さんに渡す。ちなみに、屋号は闇市にした。


 本来なら個人事業主として登録しないといけないのだろうけど、日本で売るわけではないので税金は発生しない。ノープロブレムさ!


 買った品はパレットに積まれて表に出される。人目に付かない所に置くようにお願いした。支払いは現金払い。通帳に入金するか迷ったが、やめた。今持っているお金は表に出せないお金だからね。


 こうして、立ち寄ったいくつものお店で爆買い。それはもう、手あたり次第買った。六百万あったお金も簡単に消えた。JAの直売所に行く必要がなくなった。あの苦労が無駄になってしまった……。


 今回買った品は果物を多め。昨日の客の反応を見ると、果物が一番興味を持たれ、一番最初に売り切れたからだ。その場で味を確かめられるように、試食させたというのが大きかったと思う。


 一番、最後まで残ったのは魚。海に行けば獲れるからそれほど需要がない感じ。代わりに、肉はよく売れた。畜産業が廃れたせいだろう。食べるとすればジビエになるのだろうか? 


 俺はあまり食べたくないね。小さい頃に近くの猟師さんから熊の肉をもらって食べたことがあるけど、それほど美味しい肉ではなかった。やはり、美味しいお肉として品種改良された畜産物のほうがいい。


 そしてなにより、買い物より人に見られないように収納するほうが、大変だったのはお約束って感じか?


 さあ、仕入れは済んだ。


 いざ、行かん。戦場ブラックマーケットへ!







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る