61.ケットシーのようです
ピムに勇者について聞いてみたがはっきりしない。勇者は凄い人程度の回答しか得られなかった。
「ピムはケットシーって言っていたけど、妖精ってこと? それと、ケットシーって珍しいの?」
「ケットシーは妖精族なのです~。珍しくないです~。いっぱいいるです~。けど、町にはあんまりいないです~」
「そうなんだ。じゃあ、なんでピムは町にいたの?」
「ケットシーは好奇心旺盛なのです~。ピムもお外の世界を見て歩きたかったです~」
聞けば、ピムはまだ十二歳で勝手に村から飛び出してきたらしい。村を飛び出し適当にぶらついていたから、村への帰り道がわからなくなったみたいだ。
迷子の子猫ちゃんかよ!? 犬のおまわりさんじゃないけど困ってしまう。
「うちで面倒みようよ。クート〜」
「ピムの村を探しましょう」
「面倒みるのはいいんだけど、外には出せないからね」
外に出したら大騒ぎになる。
「それは可哀そうだよ〜」
「
「取りあえず、寝よう。明日、じゃないな今日はお店も休みの日だし、起きたら
「了解だよ~。ピム、一緒に寝ようね!」
「はいです。アイリスお姉ちゃん」
美紅がピクリと眉の端が上がる。今日はアイリスが俺と添い寝する日だったからね。
もう、朝に近い時間だけど、美紅とやることはちゃんとやった。男だからね。何とは言わないよ。
朝、というよりもう昼に近い時間に起きた。美紅とシャワーを浴びて着替えてから
朝ごはんを食べるかで揉めたけど、お昼が近いので我慢してもらう。今、食べたら、俺は昼ご飯を食べられないのがわかりきっている。
「いつも美人が両手に花とは羨ましいねぇ~。こんちくしょうめぇ! なんか、買っていきやがれ!」
タコさん、こうは言ってるが奥さんが五人もいるらしい。子どもも十五人いるらしく、子育てが大変だといつもぼやいている
「クラーケン焼き十舟ください」
「おう、まいどあり~。今日は嬢ちゃん連れか? にーちゃんの娘には見えねぇな」
「さすがに違いますって。どう見ても種族が違うでしょう」
美紅とアイリスに両手を繋がれたピムが首を傾げている。タコがしゃべっているからねぇ。不思議なのだろう。もしかして、タコを見たことがないかも?
「へい、お待ち! 嬢ちゃんに一舟おまけだ!」
「ありがとです?」
クラーケン焼きを知らないからよくわかってないね。
タコさんに少し話があるから美紅たちには中央の公園で、クラーケン焼きを食べて待っていてもらう。
「牛丼食べました。結構、いい感じでした」
「そうか。そいつは研究したかいがあるってもんよ。こないだのやつは俺っちの世界の物をできるだけ代用して作ったもんでぇい」
「なるほど。だから、微妙に違ったんですね」
「にーちゃんから仕入れたものを使うと、高くなりすぎて売り物にならねぇ。なんとか安くして、売り出してぇってわけよ」
確かに俺からの仕入れの品を使って売り出したら、目が飛び出るほどの値段になる。クラーケン焼きのマヨありがいい例だね。
「代用できないものってなんですか?」
「醤油でぇい。あれだけはどう探してもなかったぜ」
醤油かぁ。大豆と小麦、麹、塩、水さえあれば作れるけど難しいだろうなぁ。
作るならマヨのほうが簡単なレシピだけど、タコさん以外でも売れ筋なのでレシピは教えたくない。
「ほかの食材はなんとかなるのですね?」
「まあ、完璧とは言えねぇがなんとかなる」
「わかりました。それでは特別にマヨ一箱お買い上げにつき一斗缶の醤油をお付けしましょう!」
「本当か!? クートは神様かよ!」
マヨ一箱だけでも笑いが止まらい売り上げ。醤油一斗缶くらいなんともない。正直、マヨ一本に一缶でもウハウハだ。
「あの牛丼の味に似せるのはいいですけど、味に完成形はありません。タコさんが作る牛丼の味に期待しています」
「おう。任せていやがれぇ! クートをぎゃふんと言わせてみせるぜい!」
中央広場に行くとお茶を飲む三人がいる。俺のクラーケン焼きは?
「「「「……」」」」
三人プラスチロルが目を逸らしたね……。チロル、お前もか!
まあ、少し食べたことでお腹空いた~との苦情の声が出なくなっただけマシか。
さて、お目当の店に向かう。魔女のおばあさんの店だ。
「こりゃまた、珍しい子を連れてきたさね」
「あちしのことです~?」
「ケットシーなんてあたしゃ初めて見たさね」
ということは、おばあさんの世界にもケットシーがいるんだ。
同じような世界なんだろうな。
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