102.天祐十傑神選に参加します

 天祐十傑の上位に四人もいれば、それだけで抑止力になる。と思う。


 正直、どこまで天祐十傑というのが凄いのかピンとこないので、そこまでは期待していない。でも、話題にはなる。天宮商会の名を売る絶好の機会にはちがいない。


 パトリックとハンスも参加させれば更に二席追加できるけど、さすがにそれはやり過ぎだろう。やり過ぎると今度は妬み、嫉み、恨みを買いかねない。


 この世界には王族、貴族がいるし、宗教関係者も権力を持っていそうな感じ。物理GM一号くん的に負けることはないと思うけど、どんな手を使ってくるかわからない。


 数の暴力で襲ってくるかもしれない。まあ、その場合はこちらもBMブラックマーケットを使って、対抗することはできるけどね。GM一号くんタイプを買ってくればいい。


 今なら兵装込みで百体以上買える。ヒューマノイドタイプなら二百体だ。ドラゴンでも連れてこない限り、負ける気がしないね。


 まあ、そこまでやる気がないから、名前を売って抑止力にするわけだ。


 ということで、商業ギルドに見積書をもらいに行くついでに、天祐十傑神選の参加申し込みをして来よう。


「きょ、今日は大所帯ですね」


 そうだね。俺、美紅、アイリス、ハヤテ、カスミ、アヤネの六人だ。


「見積もりのほうは出来ていますか?」


「はい。朝早く持ってこられました。私が見る限り、早期完工であればこの額は妥当だと思われます」


 セイルさんが見積書を渡してきたので目を通す、八千万レトだ。俺が思っていたより安い、一億レトくらいかかると思っていた。


 店舗部分は年内中に完成。工房兼宿舎は来年二月頃に完成予定とある。


 見積書をアイリスに渡すと、ざっと目を通し頷く。


「問題ありません。これでお願いします」


 八千万レトを現金で渡す。


「これで、肩の荷がおりました。アマミヤ商会様のご活躍を期待しています。ちなみに、どのような品をお売りになるご予定ですか?」


「お菓子と服飾関係ですね」


「服飾は予想しておりましたが、お菓子でございますか?」


 工房を作ると最初から言っていたから、おおよその見当はついていたようだ。だけど、お菓子チョコレートのことまでは考えつかなかっただろうね。


 この世界の人たちにとっては衝撃的な出会いとなるに違いない。今から、その光景を見るのを楽しみにしている。


「えぇ、楽しみにしていていください。期待は裏切りません」


「わかりました。その時を楽しみにしております」


 領収書をもらって商業ギルドを後にする。


 次に向かったのはメディウス・キウムの役所。天祐十傑神選の参加申し込みに来たと言ったら、専用の受付カウンターを教えられた。


「参加なされるのはどちらの方でしょうか?」


 参加するのは美紅、ハヤテ、カスミ、アヤネの四人。アイリスは面倒だと辞退。


 四人分の受付用紙を受け取り、必要事項を記入させる。


「予選は一月十五日から始まります。五日前に再度こちらに来ていただき、神選参加の本登録をしていただきます。ご本人様が都合がつかない場合は代理人でも構いません。今からお渡しする仮予選用紙を持ってきてください」


 四枚続きの番号札が渡された。三百四十二番からだ。多いのか少ないのかわからない。申し込み期日まではまだあるので、もう少し増えると思う。


 予選五日前にきて本登録すると、トーナメント方式の予選の組合せが出される。予選会場は二十か所で行われ、予選で勝ち抜いた者とシード枠で現天祐十傑とが新しい天祐十傑をめぐり争うことになる。


 そうなると、四人全員天祐十傑になるのは難しいか?


 組み合わせは運だからなぁ。予選で当たらなくても決勝で早く当たってしまうと上位に残れなくなる。上位に四人入るには運が必要になってくる。


 まあ、それでも優勝はうちが頂きだけどね。


 スイスの屋敷に戻ってチョコレートの品評会。


 取りあえず、砂糖少なめのビターチョコを完全手作業、手動の機械使用、電動機械使用の三つ方法で作り各々を味見をする。


 完全手作りはチョコはチョコだけど、舌触りがザラザラとしていてイマイチ。手動の機械を使用したものは、少し滑らかさが足りない気がする。電動機械を使用したものはまさしくチョコレートって感じだ。


 完全手作りはその品質とは裏腹に、もの凄く時間がかかっている。手動の機械ではカカオを擦り潰す作業で電動には敵わない。カカオバターを絞る圧縮機も手動だと大変。


「カカオマスとカカオバターの工程は機械を使ってこっちの世界でやる~?」


「それだと、こっちに一人専属で作業する者が必要になる。それはやりたくない」


「では、向こうに電動機器を設置しますか?」


 正直、それもねぇ。


「妾が思うに、そこまで拘る必要はないのではないか? 確かに、この完成されたチョコレートを食べた後では物足りなく感じるが、向こうの者たちはこの味を知らぬであろう?」


「十分美味しいです! いっぱい売れるです!」


「ちぃ~」


 なるほど、そういう考え方もあるね。向こうで研鑽を積めば何かしら新しい方法が思いつくかもしれない。


「それでいいかな? 高坂さん」


「あれば楽になるのは確かです。ですが、向こうにもエナジーコアを使ったエネルギーがあります。それを使って、道具を作ることもできるかもしれません。今はこのくらいでいいのではないでしょうか?」


 じゃあ、そういうことで手動の機械だけ持ち込むということに決定。


 次はどんな味のチョコレートを売り出すかだ。





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