第34話 偽彼氏の好きなところ sideマドンナ

【……あおの好きなところなんですか!】


【ごほっ】


 思いっきりむせた。

 いきなり幼馴染の空ちゃんがぶっこんできたんだけどどうしよう。

 うーん、好きなところねぇ?


 目の前の敵と戦闘しながら考える。

 好き、好きかぁ…………難しい、恋愛なんてしてこなかった私には難しいところだ。


 葵君とのこの一か月を改めて思い出す。


 うーんベランダでぶつくさ変なことを言っていたこととか、なんだっけあとは俺はジョブスになりたい、とかいってたことかな?

 やばい、そういう変なところしか思いつかない。


 …………うーん、これはダメかなぁ。

 

 あとは私の見た目とかおっぱい大好きだけど、死ぬほど大好きなんだけれど。

 …………でもそんな私に興味ないこと、とか。


 それは彼氏としてどうなの??普通に。

 うーんこれもなしだね。


 …………あれ?なんていえばいいんだ。何を言おうかな。

 好きなところというか気に入っているところ、いろいろあるんだけどなぁ。


【…………うーん】


【ねぇあお?あなたの彼女すごい悩んでるけど大丈夫そう?】


 【ふっ、大丈夫に決まってるだろ?今はあれだよ、えーとために貯めてるんだよ、そう!これからもうすんごいのろけ出てくるんだから。ねぇ?そりゃねぇ?出ますよねぇ?俺の好きなところ、ねぇ?ねぇ????】


 もう質問の圧が強い強い。

 というかハードル上げないで?1か月の女だよ私。


 【あおのいいところがないことを敵に八つ当たりしないの!全部自分のせい!】


 画面を見れば確かに、葵君のキルログが立て続けに並んでいる。

 というかめっちゃ言うね空ちゃん。


 【まぁ安心していいよ?もし夢先輩が思いつかなくても、あおのいいところなら私も一つくらい思い付くから!】


 【いや待って一つくらいって、もっとあれよおい幼馴染だろ?!】


 【まぁ幼馴染だけど、ねぇ?そんなにあると思って??】


 【えぇうそん…………頼みますよ一ノ瀬さん!本当に!】


 この二人仲いいねー、なんか葵君も私よりも距離感近い気もすこしするし…………。


 【まぁまぁこの私の完璧なマドンナ様に任せなよ?さすがに彼女だよ?いいところ二つくらい言えるって】


 安心してほしい。

 1か月をなめないでよ?


 【その1つ2つっていう低次元の争いやめてくれない?!俺のライフはもう0よ!】


 【じゃあまずは一つ目!】


 【俺の嘆きは無視か、そっか…………】


 葵君が嘆いてる。

 こういう不憫なところも私結構好きだよ。


 【今までのころ思い返すとうん絶対これかな?…………面白いところが好き!!】


 【あー】


 【え?】


 空ちゃんはわかるわかると、葵君はマジで予想外って声してる。

 

 【一応俺クール系でやってるんだけど…………】


 【それは無理だよ葵君…………】


 【何言ってんのあお、冗談は存在だけにしとけー】

 

 【ほんとうにねー】


 【二人して俺に辛辣すぎない?泣くよ泣いちゃうよおれ】


 そしてとまらない葵君のキルログ。

 どれだけ敵に八つ当たりしてるのよ。


 【…………それでおもしろいところっていうのはどんなとこなんです??】


 【どんなとこ、かぁ】


 【言葉慎重に、ね?】


 葵君からの言葉はよくわからない。

 そもそも好きなところいうんだから大丈夫にきまってるじゃん。


 【任せんしゃい、V!!】


 【不安だ…………】


 【なにゆえ!!】


 【今までの行動かなぁ…………】


 何言ってるんだか。

 葵君の前ではちゃんと…………お酒飲んだりたばこ吸ったりしかしてないかもなぁ。

 ちゃんとしてないなぁ…………。


 【今もしかして二人でいちゃついてますか??】


 【ぜんぜん?】


 【全く?】


 【【ねぇ??】】


 【やっぱりしてるじゃん…………いちゃいちゃはいいからほら速く教えてくださいよ!】


 【なんか存在が面白いっていうか…………いままでみたことないっていうか】


 【…………一ノ瀬さん?悪口じゃない?】


 【悪口じゃないって!いやなんていうのかなー、そう!一緒にいると気楽で気が置けないかんじだし、笑顔作んなくていいんだよね~】


 本当に素でいられる。


 【あーそれはわかるかも、楽ですよねこいつといると】


 【…………】


 【あ、ほめられたと思って恥ずかしくなってダウンした】


 【わ、ほんとだ】


 【なにしてんのー?】


 ゲームの画面では、気絶している葵君のキャラ。

 空ちゃんが即座に気絶を起こしにかかっている。

 ということは私は敵を食い止めとけばいいねー。


 【だって真冬にベランダで「俺はジョブズになる!」ってことを言う人のこと、気にしてもしょうがないよねー】


 【本当に何してんのあんた】


 空ちゃんがあきれた様子で言っている。


 【違うよ!寒さが俺の灰色の脳細胞を刺激してジョブズ並みの頭脳でテストを何とかしたいって思っただけだし】


 【もうその考えからしてあほじゃん、というかそんなことにジョブズ降臨させようとすんな、ちゃんと授業うけろあほ】


 【ぐぬぅ…………】


 【あはは、お母さんに叱られてるみたいじゃん息子みたーい、葵君、空ちゃんの事ママーって言ったら?】


 【ままって呼んでみる??】


 【一ノ瀬さんものらないで!…………はぁ疲れる】


 あ、気づいたらチャンピオンになってる。


 【…………それで2つ目はなんなんです?夢先輩?】


 【二つ目は私をマドンナってみないこと、かなぁ】


 【それ多分あおは夢先輩のおっぱいしか見てないですよ】


 【それは知ってる】


 【知られててくさ】


 【……ふっ】


 謎にかっこつける葵君。

 でも全然かっこよくなんてないからね?


 【じゃあつまり先輩は、あおが夢先輩の本性を見てくれるからってことでいいですかね?】


 本性かぁ……うんそうね。


 【うんそ、義務マドンナをしなきていいからさ、楽でいい自然体でいられる】


 自然と笑みがこぼれる。


 【うわかわよ~、かわいすぎる……】


 【いやー照れちゃうな~、でも空ちゃんも可愛いって葵君から聞いたよ?】


 【……え、あおがそんなことを?】


 あら?あらら?


 【うん、美人巨乳幼馴染って】


 【結局おっぱいかこのあほ!】


 【まぁおっぱい星人なのは否定しないかな、うん誇りをもって生きている】


 【きんもぉ】


 うん本当にきもいと思う。

 なんで私この人のことに偽彼氏にしたんだろうほんと。


 【……はぁ、それでじゃあ逆にあおは夢先輩の好きなところはどこなの?】


 【え、これ俺も聞かれるの?】


 【もちろん】


 【えー……おっぱい?】


 【はったおすよ??】


 さすがにそれはないんじゃない?葵君。


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