第33話 葵の地獄

 

 【…………とりあえず分かった自己紹介しよう! 初対面でしょ、二人は。しれっと会話に混ざりこんでたからあれだったけど】


 対面してないけどさ。


 【え、いま?!めっちゃ絶賛私たち戦闘中なんだけどなー……あ、右に二人きてるよ!】


 画面内では、一ノ瀬さんのキャラが空中戦闘しながら弾を当てている。エイムいいなホント。


 【ちょっ、あお自分は死んで暇だからって余裕ぶっこいて。絶対自己紹介今じゃないでしょ、というか自己紹介させるならこんな激戦区に降りるなあぁぁぁぁ! あ、後ろ別パーティーです!】


 わぁ四方八方から撃たれているなぁ。

 大変だなぁこれはうん。

 俺死んでるから何もできないけどあはは。

 

 【いやー、なんかジャンプマスター任されちゃったから、行くしかないなぁって。やっぱ1週間のエイムの錆は戦闘の中でしか取れないからさ】


 俺はもう空のためを思って、ここに降りたとまで言ってもいい。


 【そんな気遣いいらないんだけどぉぉぉぉ、やばーいいいいいい!】


 【鈍感なのに変な気をつかわないのー!スモーク幼馴染ちゃんのとこにだしたー!】


 【わっ、ありがとうございます!助かりますぅぅ!先輩アーマーわたしますぅぅぅぅ】


 【ありがとー!ナイスすぎるぅぅぅ】


 いやーいい連携だねぇ。

 俺は死んだけど、これは死んだ意味もあるってもんだ。


 もしかして、これが百合ってやつなのか?

 なんか二人いたら、すごくいい匂いしそうだよなー。


 うんうん。


 それにしても、身体が言うことを聞かない。

 肩が痛くて、微妙にいつもと動きに違和感がある。


 やっぱこういうゲーム少しのずれでもかなり変わってくるからね~。

 というか画面では、めっちゃいい連携で敵を倒し続けてる。

 あ、終わった。


 【ナイスないす!ナイスファイト!】


 すごい、3パーティーくらいいたのに、全部倒し切ったんだけど。

 死んだ俺にできるのは応援のみ。

 でも間違いない、これはみんなでつかみ取った勝利だ。


 【あお】


 【あおいくん】


 と思ったけど、なんか二人して声が渋い。


 【みんなの勝利だね!】


 【ショック療法過ぎない?!】


 【私初戦は顔合わせ程度にゆっくりやるとおもってたよ!】


 なぜか避難囂々の嵐。

 

 【戦闘に集中して、緊張をほぐそうかなって…………俺の】


 【【葵君あおのかいっ!】】


 そりゃもちろん俺のだよ。

 だってこんな仲人みたいなことしたことないんだもん。緊張しちゃうよ。


 【じゃあ落ち着いたところで、改めて自己紹介しようかぁ、俺のことはいいよね今更。じゃあまずは先輩のサキュバスマドンナこと一ノ瀬さん】


 【葵君?何しれっとサキュバスとか言ってんの? さすがに許さないよ? 私性にそんな奔放じゃないし、ね? …………そんなの付き合ってる葵君が一番わかってると思うけどなぁ、だって…………ねぇ?】


 …………続きはぁぁぁ?!

 なんでそこで止めるのぉぉぉ!!

 そこで止められたら大変俺が気まずいんですけど?!



 【…………あお?これ私カップル自慢聞かされそうになってるのかな? かな?】


 や、やばい。

 空がぴきぴきして暗黒微笑を浮かべそうになっている。


 一ノ瀬さんも俺にヘイト向けるように黙っているし、こ、これはまずい。


 【いやそうじゃなくて!…………一ノ瀬さんすいません、サキュバスなんて言ってすいません、ちょっとエッチでおっぱいがとても大きくてお綺麗で小悪魔っぽい先輩を表現したらそうなっちゃっただけですって】 


 【……まぁそれならよいいかぁ】


 ふぅあぶなぁ。

 


 【…………ぷっあお、情けなぁ】


 空には笑われたけど、しょうがない。必要な犠牲だ。

 

 【で、自己紹介だっけ? ずっと話してみたかったんだよ! 葵君が自慢の巨乳幼馴染がいるっていつも私に話しててさ~】


 【え、あおが?私のことを?】


 【うん!話してくれたよー!】


 話したっていうか一ノ瀬さんが聞いてきたから話したんだけどね。


 【めっちゃ可愛い巨乳幼馴染がいるって!】


 【…………】


 あ、これ照れてるな。

 マドンナにそんな風に言われたら普通に照れるよね。


 【整っているくらいしか言ってないと思うけどなぁ】


 それにしてもかわいいとか言ったっけ?


 【あおいくんしゃらっぷ!】


 【あおもう完全にしつけられてるじゃん】


 【俺は一ノ瀬さんに躾けられてるんじゃない、一ノ瀬さんの料理の奴隷なだけだ!】


 【あおいくーん?】


 【はい!】


 【なんで自信満々なの、というかそんなにおいしいの一ノ瀬さんの料理】


 空が戦慄してるけど、まだ知らないからだな一ノ瀬さんの料理を。

 あれ食べたらもう奴隷になる。


 【自己紹介続けるね~、名前は…………もう知ってるだろうから、まぁ夢先輩とか夢ちゃんとか適当にによんでくれたらいいよー!好きなものはーお酒とたばことその他もろもろ!嫌いなものは、めんどくさい人!】


 【お酒と、たばこ…………?】


 おー、驚いている。


 【…………あおがすすめたの?お酒とたばこ】


 【なんで?!俺関係ないよそれは!】


 【ふつーにすきー、チル!】


 一ノ瀬さんから謎のチルいただきました!


 【なんかイメージと違うけどぉぉぉぉぉぉお】


 なんか急に叫びだしたと思ったら敵が来ている。


 驚きの叫びか。

 

 あ、倒した。

 一人しかいなかったっぽいな、ハイド(隠れている人のこと)かぁ。


 【強いね~、幼馴染ちゃんは】


 【あ、空も自己紹介しなー、傍若無人な選択的オナニストさんどうぞ!】


 【あお】


 【あおいくん】


 ふたりから絶対零度の声が聞こえた。

 

 【ごめん静かにしときます!】


 【ホント懲りないじゃんあお。 すいませんあとでセクハラしないように言っておきます! あ、私も自己紹介してなかったですね【葉山 空】って言います! お好きに呼んでください!】


 【じゃ空ちゃんだぁ、私からも葵君には言っとくね~】


 【……好きなものは美味しいごはん、嫌いなものはー、そうだなぁ怖い話!です】


 【わっかわいい!】


 かわいいとか言いながら二人して敵倒すのやめてもらっていいですか?

 もう会話と画面があってないのよ。


 画面では血なまぐさく戦いあってるのよ。


 【…………自己紹介はこれぐライにして質問、してもいいですか! 夢先輩! 】


 【夢先輩…………いい】


 なんか一ノ瀬さん興奮してない?

 というか俺が「夢」って呼んだ時笑わなかった?!


 この反応の差はなに?!

 

 ふぅ、まぁ落ち着くために一回エナドリを一飲みっと。


 【……あおの好きなところなんですか!】


 【ごほっ】


 思いっきりむせた。

 いきなり空がぶっこんできたんだけどどうしよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 本日5話目!ラスト!

 もう無理…………。明日は出せない…………。


 お疲れ様です!

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 レビューとか来たらうれしいな…………|д゚)

 冗談です笑


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 ではおやすみ。

 

 

 



 

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