第39話 卒業と恋バナ


 プラネタリウムの後は、空が待望していた買い物へ。

 買い物に行くのはいいんだけどさ。いいんだけどね?

 ……でもさぁ。

 

 「え、ここ本当に俺も入るんですか?」


 「入るよ?」


 「入らない訳なくない?」


 ランジェリーショップは違くない??


 そしてなんであんたたちはそんな乗り気なんですかね?!

 二人してニヤニヤしないでもらっていいですかねぇ(半ギレ)


 「……本当に?」


 「マジのマジだよ大マジ!」


 「入らない訳なくなーい?」


 大マジかぁ。

 一緒に入る相手あんたたちからしたら幼馴染と偽彼氏なんですけどね?


 「でもいいんですか?俺が一ノ瀬さんと空の下着姿みて」


 よくないだろ?!

 付き合ってもないんだぞ……いや先輩とは嘘で付き合ってるけど!でも偽だし!


 「逆に見ないほうがおかしくない??というか男として夢の国に行ける機会なんだよ?なんなら男性にとってはこっちが本物の夢の国説まであるよね!」


 「うんうん逆にいかないわけなくなーい?」


 さっきから空大丈夫か?

 もう同じことしか言ってないけど。


 一ノ瀬さんの言うとおり夢の国は確かにそうかも。

 でもなぁなんというか女性の行くべきところって感じだしなんか気後れするなぁ。


 「……逆にここまできて引き下がるとか逆に童貞っぽいかもよ?」


 こそっとささやくように、耳打ちしてくる一ノ瀬さん。


 ど、童貞っぽい?!


 それはまずい。

 俺は実態はともかく大学生な以上、心まで童貞でなんていられない。

 というかよくよく考えたら今後俺にもいろんな数多の彼女が出来るわけで(確信)

 その時にもこんなに嫌がっていたら、男らしくないって言われちゃうかもしれない。


 「それはまずい」


 俺の理想のクール系じゃない。こういうのもさらっとこなせないと。

 なんとしてもランジェリー童貞は今すぐ卒業しなきゃ。


 「分かった……行こう!」


 

 今日、俺は、ここで、卒業する!!!


 

 「意気込んでいるところ悪いんだけどそのにやけ顔やめてね??」


 どうやらにやけていたらしい。

 にやけてないと思うけどなぁなんてたってクール系だし。


 「……さいってー」


 「に、にやけてなんかないよ??」


 「鼻の下みてみ?」


 慌てて鼻を抑える。

 はっ、伸びてたか?!

 そんなミスはしてないはずだけど……期待に胸を弾ませすぎたのかな?


 「鼻の下なんて伸びてるわけないじゃんばーか」


 舌をぺろりと出してバカにしてくる空。


 「なっ!」


 空にもからかわれたらしい。


 からかわれた俺を置いて、そのまま二人は店内へ。

 俺も慌てて後を追う。


 「あ、卒業……」


 

 中はきらびやかな感じで、所狭しと下着が売られている。下着は派手なものからシンプルなものまで。

 あとなんかよくわからないけど、多分香水か何かかな? めちゃくちゃいい匂いがする。


 店内には何人か女性のお客さんも来ていて、商品を手に取って触り心地を確認したり、サイズを確認したり人それぞれ。

 え、あの地味そうな人がそんな派手な下着を?!


 そんな風に周りをこそこそ物色してると──

 


 「──痛っ」


 なんか両耳を引っ張られた。


 「なになに二人とも」


 2人にちょっとした非難の目線を向けると、逆に非難めいた目線を返される。


 「ふぇ?!」


 「あー先輩これはこの男何もわかってないですねぇ」


 「分かってないわね、これはまだ教育が行き届いてないかったかぁ」


 なんか二人だけで会話している。

 一体何のことですか?

 俺も混ぜてもらっていいですか?


 「いい葵君、こういうところで男性はきょろきょろしたらダメなのよこれマナーね」


 「いやし、してないけど?」


 視界には入ったけど、女性を別に見ようとしてたわけじゃないし、普通に店の雰囲気とか見てただけだしね。


 「もちろん分かってるよ? 葵君が私たちみたいな絶世の美女を目の前にしてそんなことをしないしするわけがないなんてことは」


 絶世の美女……自分で言った流石マドンナ。

 そして空もうんうん頷いてるし。なんかだんだんメンタルが一ノ瀬さんぽくなってきたな。


 マドンナの悪影響だね。


 「ま、まぁそういうことにしとこっか」


 「いやん」


 「いやんやめて空、キャラじゃない」


 「なによかわい子ぶってみたのに」


 空がぶつくさ文句言うけどむしむし。

 

 「話を戻すけど、たとえ葵君が他の女性を見てなかったとしても、女性は敏感だから男性の目線とか気にしたりするんだよー、だから葵君はいつも私の胸をみるみたいに基本は私たちの事を見ておいた方が無難だよ?」


 ……まぁたしかに。

 女性は敏感っていうしね。しかもここは女性のホームゾーン。

 ここは素直に従っておこうかな?


 「普段から胸を見てるみたいなのは誤解だけどわかった!ちゃんとどれが似合うかしか考えないようにする!だから図らずしても二人のことを見てたとしても怒らないでね?」


 これで合法的に胸見れるねやった!


 「あお、怒られてもただじゃ済ませないね」


 「いつも見てるくせに何言ってるのかなー?」



 いつもは見てないよね。見れるときだけ。

 俺への説教もそれまで。そこからはお買い物


 「あ、この下着かわいくない??」


 「うんかわいいかわいい」


 「こっちの下着ちょっと過激かな?」


 「一ノ瀬さんは普段からもっと過激なのでもっとセクシーなので」


 「私の時と反応違くない?!」

 


 空のは見る機会ないけど、一ノ瀬さんはベランダでワンちゃん死ぬほど酔っぱらったら見せてくれそうだからね?

 真剣に来てほしいのを言いますよ。



 「まぁ彼女だからね、要望できるんですよ」


 「だからって着るとは限らないけどね?彼氏の立ち位置そんなに高くないぞー?」


 「先輩このエッチなの来てくださーい!」


 「いいよー!」


 「じゃこれは?」


 めっちゃきわどい紐パンを指さす俺。

 二人は一瞬だけ目線を向け、そして



 「じゃ試着いこっか」


 「はーい」


 無視ですか……

 どうやら偽彼氏の立ち位置は女の後輩よりは低いらしい。

 

 二人して奥の控室というかフィッティングルームへ……あれ?


 

 「……これ店の中に俺一人だけ?」



 まだ店内には俺一人……。

 やばい普通に気まずいかも。


 早く二人とも戻ってきてくれぇぇぇ。


 俺は心を無にしながら壁のシミを数えていた。

 ……壁のしみなかったけど。




 SIDE 空

 

 あおを置いて夢先輩と二人で来た、フィッティングルーム。

 私は先輩と二人はまだちょっと緊張している……それにしてもさっきのあおの絶望的な顔は面白かった。

 後でからかってやろーっと。


 今は平日の昼間ということもあってか、誰もフィッティングルームにはいない。

 お互い隣のフィッティングルームへ。


 あー残念先輩のおっぱい見たかった。

 ……こういうところがあおに男っぽいって思われたりするのかな?


 「ね、下着どー?」


 先輩の着替える衣擦れの音と共にそんな風に聞いてくる。


 「いい感じかもでーす」


 「着ているのはさっきのエッチな奴?」

 

 「いや大人系の!」


 エッチなのは次だ。

 先輩はなんか大人っぽいのを選んでたっけ。


 そのまま他愛ない会話を続けていく。

 先輩なんか二人でも話しやすいな。エッチだけど。



 「ねぇ空ちゃん?今全裸―?」

 


 本当にエッチだ、なんて質問してくるんだろう、この先輩。

 本当にマドンナなの?


 「え、ええまぁ」


 「そっかそっかよきよき」


 逆に服着てたらおかしくない?

 というかなにがよきなの?よきよかある?


 「じゃあ服も来てないし、ちょうどいいなー」


 服着て無くてちょうどいいってだからなに?!


 「……?」


 「よし体と一緒に心も全裸に!恋話しよ!」


 何言ってるんだろうこの人は。

 

 ここで?!

 絶対ここじゃないと思うんだけど?!


 というかコイバナって……なんか嫌な予感する。


 「……じゃあまずは最初の質問。……空ちゃん好きな人っているの?」


 真剣なトーンで先輩は聞いてきた。

 いきなりぶっこんで来たなこの人。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 次回嵐巻き起こす恋バナ!


 そういえば誰かファンアートなんてくれたり、、、しないよね?笑


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