第38話 3Pデート


 「……ここが休憩スポット?!」


 「そうだよ??」


 何を当然のことを、とばかりにうなずく一ノ瀬さん。

 でもさぁ、でもさぁ……


 「プラネタリウムのことを、休憩するっていう風には言わないんじゃないかな!?」


 休憩って全然えちちなやつじゃないじゃん。

 まぁえちちだったらそれはそれで困るんですけどね。

 セカンド初体験が3Pはちょっと、ねぇ?悪くないけどねぇ?_


 「え、何言ってんの? 快適な音楽の中で、葵君の好きな幻想的な光景が視界いっぱいに繰り広げられる。いろんな星の奇跡を感じられながらヒーリングも出来る。そのまま星の奇跡と共に夢の世界へ何十光年、何百光年の旅が出来る。……これのどこが休憩してないって言うのかな??」


 なんか世界観が壮大過ぎない?


 「夢の世界へって言ってるから絶対一ノ瀬さん寝るつもりじゃん」


 「そんなことないよ?インスピレーションの世界へレッツゴーってことよ」


 「やっぱ行っちゃってるじゃん!」


 なにそんな眠いの?!

 あ、でも確かにスタバ飲んだ後とかだとそうなるかも、スタバの飲み物ってカロリーの爆弾で一部にはラーメン食べたくらいのカロリーとは聞くよね。



 「……それならしょうがないかもね」


 納得した。


 「何がしょうがないのか全くわからなかったけど、納得してもらえたならよかったわー」


 「絶対ろくなこと考えてないですよ夢先輩。あおがあの優しそうな顔を浮かべているときっていうのはろくなこと考えてないです」


 やめろチクるな。


 「そんなこと分かってるけど、別にいいんだよー。私は葵君の公認宣言に満足しているから。マドンナなんてやってるとね人の裏とか敏感になるけど、いわれた言葉っていうのをどう捉えるかが大事なのよ。それが自分に有利になるならそれでいいの」


 ふふっと黒い笑みを浮かべる一ノ瀬さん。

 マドンナこわぁ。


 「分かりました!なんとか今後はあおから失言を引き出すようにします!」


 「しないでください」


 俺すごい簡単にぽろっと失言しそうだから。

 というか普段の発言失言しかないから。


 「葵君は大丈夫だよそんな小難しいこと考えて接しなくても、実は彼ちょっと頭弱いから」


 「シンプル悪口じゃんそれは」


 「あはは冗談冗談」


 「ほんとかなぁ」


 「ほんとだよ、葵君にはそんな打算的な感情なんてほとんどないよ?」


 まぁそりゃそうか。あったら俺の前で死ぬほどお酒とか飲んで吐き散らしてないもんな。

 …………って


 「いやそっちじゃなくて頭の方は?!」


 「あ、それも本当」


 本当なんかーい。


 「あ、プラネタリウム開場みたいですよいきましょっか」


 空が俺と一ノ瀬さんの間に入って、中へ。


 「席は確か雲シート……ここ……ですか?」


 「うん、ここ、だねぇ?」


 雲シートをみた一ノ瀬さんの顔も若干引きつっている。

 俺はがっつりひきつっている。

 

 「マジですかこれ。私死んじゃうかも」


 もう目の前の光景がすごい。

 この雲シートというのは普通の座席とは違って、大きな雲形のソファで寝ころべるようになっている。

 クッションとかもあり、背中を預けて寝転がって星を見れるようになってる。

 そう、ここまではいい、ここまではいいんだよ。


 本当はよくないけど目をつむれる。


 問題は──


 「か、カップルしかいねぇぇっ!」


 5席あるうちの3席が既に埋まっている。

 そこに座っているのはカップルのみ、しかも仲良し気に。

 会話を聞けば「楽しみだねー」とかささやき合ってる距離感近めで。

 

 しかも目の前には芝生スタイルの席もあり、こちらにもカップルがいる。

 こっちはもう完全に寝っ転がる感じ、ちょっとしたキャンプ気分を味わえる。

 

 まぁそんな差異はあれど、カップルしかいないのは変わらない。


 そんな中で男女3人の俺ら。


 「ふぅーん……いこっかぁ」


 「いきましょっか」


 「ええっ夢先輩はともかくあおも動揺してないのはなんで?!」


 そんなの簡単だよね。


 「気にしてもしょうがないからね、堂々と行こうかなって」


 まぁ理由はそれだけではないけど、まぁあえていう必要ないよね!

 ここは堂々と──


 「──絶対葵君は美女二人を引き連れていて、男として美味しい展開だーって考えてるからだとおもうよー」


 「──そ、そんなこと…………ないよ?」


 な、なんでばれた?

 ふつうに周りの男どもうらやましがれ!って思ってたのに。


 「なにそれあほくさー」


 「男ってそんなもんかもなーって、それに空ちゃん見てみ?周りを」


 俺も空に合わせて、周りをみてみる。


 「見てみて?カップルはそれぞれ自分の世界で楽しんでるから、だれも私たちのことなんて気にしてないしみてないから~」


 雲シートに座りながら周りを見る。

 確かに一ノ瀬さんの言う通り、そんなに見てない気が…………いやみてるながっつり。

 たまに男の方が見てるぞ一ノ瀬さんのこと。

 彼女と話してチラ見しながらも見てる、一ノ瀬さんのことを。

 というか空の方も観てる気がする。


 …………てことは俺も??


 周りを改めてみてみる。

 うん、俺も見られてるわ…………男の人から。

 なんでだよ女性も俺のほうみてよ、興味なさそうにしないでよ。

 なんで女性でさえも、二人の方たまに見ているんだよ。

 興味持って!


 でもなんでこんな男が、みたいな目では見ないで傷つくから!

 ちなみにそれは俺もそう思う!


「あ、あのカップル首固定されてるくない?」


「……まぁそういうこともたまたまあるんじゃない?」


「あっちのカップル笑顔で腕つねられてない?」


「空ちゃんあれは見ちゃ行けません」


 なんか二人でやってるな。


 「ふっ、マナーがなってないなぁ最近の男は……」

 

 あ、あっちの2人組の女性すごい大人っぽ――


「「葵くんあお?」」


「はい??」


 なんかめっちゃ圧を感じるけど。


「「なんか面白いものでもあった??」」


「……いやどんな人がいるのかなーって見回してただけだよ?」


「そっかぁでもあんまり人の迷惑にならないように早く座りましょうね?」


 俺は子供かなにかかな?

 そのまま男どもからの僻みの目に耐えてると、プラネタリウムの始まるアナウンスが流れてくる。


 そして何故か俺を真ん中にして、プラネタリウム。

 2人してなんかめっちゃいい匂いする。

 最初こそドキマギとしないこともなかったが、よくよく考えれば幼馴染と酒カス。


 …………うんドキドキ損だな。

 ってことですぐ慣れた……というか。



 プラネタリウムやべぇぇぇぇ!

 マジで星の軌跡とか星座の成り立ちとかおもろすぎる。


 横の2人も絶対感動してるだろ。

 こんなの寝る人の気持ちがわからん。


 もう一ノ瀬さんにさっき注意を受けなかったから、危なかった。

 感動のあまり涙ちょちょぎれそうになった。

 ちなみに二人は瞑想しかけたらしい。


 …………まぁわかる、たぶん内なるジョブズが舞い降りた来たんだろうな、うん納得納得。

 


 はぁほんと池袋って最高の街かもしれない。

 そう、ここまでは良かったんだけどなぁ……


 


 「……ねぇこれかわいくなーい?」


 「あ、いいですねー」


 周りには女性女性女性。

 壁はピンク。

 所狭しと飾られる女性の刺激的な広告。



 なんで俺、ランジェリーショップにいるんだろう。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あ、次回修羅場。




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