気づいたら大学のマドンナを染めた男になっていた件（改稿中）

第36話 似た者同士

　【じゃあ明日みんなででかけよー！】

　【【……え？】】

　もう流石陽キャというのかなんというか行動が早い。

　気づいたら出かけることになってるじゃん。

　【あ、となるとラインも知っておいた方がいいよね？　流石にディスコで連絡もしずらいし、葵君同じグループかなんかつくってよー】

　【は、はぁ】

　【どこいこっかぁ、どっか行きたいところってある？というか明日って空ちゃんは大丈夫？】

　【あ、明日は一応大丈夫ですけど】

　あまりのイケイケぶりに空が普通に応えちゃってるもん。

　というかさぁ……

　【え、一ノ瀬さん俺の予定は聞かないの？聞いた方がよくない？】

　【え、だって葵君暇でしょ、聞いてもランクするとか言いそうだし。バイトは多分ないっしょー？　前固定って言ってたし。あ、友達とか予定もワンチャンツーチャンくらいはある？】

　まぁないよね。友達はみんな実家とかに帰ってることおおいし、予定あっても明日じゃない。

　【……ま、まぁ明日はないよね？明日は】

　【ほらだから聞いても意味ないじゃーん、全く私と夢ちゃんの時間の邪魔しないで！百合にはさまる男は嫌われるんだよ～？】

　【なんでそんなことまで知ってるんだよ一ノ瀬さんが】

　絶対触れそうにないジャンルだよな、そういうの。

　【マドンナをやるにはすべての話題に触れられるようにならないといけないんだよ、そう言うのが好きな人にもうまく取り繕わないといけないからね～】

　悲痛めいた声を出す一ノ瀬さん。

　【マドンナって大変なんだ……】

　空があまりの衝撃に、それまでの記憶飛んでるな。

　でも俺は知っているぞ。

　【とか言って、実際はオタク趣味なだけだったりしない？それか友達がそういう趣味な人がいる、とかさ】

　【いやーよくわかったねー】

　たははぁとさっきまでの言動とは裏腹に軽快な口調で話し始める。

　やっぱり演技だった。

　【葵君の言う通り好きな友達がいてその人が使ってた言葉をただ言ってみただけだよん！あとマドンナは確かに演じてるけど、知らないものは笑顔でなんとかなるんだからね！空ちゃんも将来の参考にしてね！】

　【は、はい！】

　【いやいつそんなマドンナの常識使うんだよ】

　【ま、処世術処世術！】

　【…………そういえばだけど途中で二人ともいちゃつかれなかった？】

　すごい、もう空がいちゃつき警察みたいになっちゃってる。

　まぁいちゃついてないんけどね実際。ただ会話しているだけなんだけどね？

　関係が偽カップルだからそう見えるだけで、実際は友人同士の会話をしているくらいでしかない。

　【いや全く普通の会話】

　【ねー、まったくいちゃついてないよー葵君は塩対応だからいちゃつきたくてもいちゃつけないし】

　んなっ？！

　【えっいちゃつきどころか相談された？！…………でも分かります、あおって仲良くなるとそれだけどんどん雑になっていくので】

　なんでお前も分かっちゃうんだよそこに。

　……え、俺塩対応かな？意識したことはないんだけど。

　あ、クール系目指してるからかな？

　【あー確かにね、釣った魚には餌をやらないみたいなそういう感じだよね～。ラインも要件しか言ってこないし、文章も冷たいし。昔はあんなに情熱的な文章を送ってくれたのに……】

　【そうですそうですそんな感じです】

　【なんかその言い方だと俺がめっちゃくず男みたいに思えない？　というか情熱的な文章なんて送ったことないから捏造しないで？】

　なんか女の子を泣かせてブイブイいわせてきた見たいなそんな感じの言い方だね。

　【あおはまぁまぁくずだよ？】

　【シュレディンガーの童貞だから、怠惰な方の意味でくずだねぇ】

　【なんですか、シュレディンガーの童貞って？】

　あ、止めろ空。

　お前は知らなくてもいい事……

　【あー私と一緒に夜寝たんだけど、この男その貴重な体験を覚えてないらしいのよね～】

　【…………え？】　

　まっずい！この話はなんかよくない気がするな。

　いい方向になる気がしない。

　というか教えてって言っても教えてくれないんじゃん！

　【つまり明日はどこにいくんですか？】

　【なにがつまりなのよ、めっちゃ話そらしてるじゃん、どゆことシュレディンガーの童貞って】

　【…………マドンナの貴重なおっぱいをもんで吸ったはずなのに、覚えてないって話だよ！！お酒の飲みすぎで！！いわせんなあほー！】

　【え、そんなことしたの…………まぁわかるかぁ】

　【わかっちゃったよ空ちゃんが…………え、今度吸う？？】

　【【え、いいの（いいんですか）】】

　二人してうきうきと聞く。

　【なんで葵君がいけると思ったのかな？】

　【彼氏ですけど？？】

　【…………っ】

　【あなたにはまだ彼氏力のレベルがたりない！空ちゃんは機会あったらね】

　【はーい】

　え、俺はだめなのに空はいいの？！

　何この理不尽？！

　【…………ふっ、ざーこ】

　なんか空がメスガキみたいに煽ってきたんですけど？！

　あーむかつくぅぅぅ。

　【…………で！明日どこに行くんですか】

　【…………まぁしょうがないから葵君の思惑にのってあげよーしょうがないからね】

　くっそ、なんとか一ノ瀬さんの弱みをにぎれないもんだろうか。

　…………無理か。

　【んー、まぁみんな近いから、ショッピングみたいなことをするか、観光名所とか行くか、どっちがいい？】

　【ショッピング！】

　【観光名所！】

　【空ちゃんがショッピングで、葵君が観光ね。…………うん、即答で真逆の答え行くの全く幼馴染みを感じないね】

　幼馴染みってなんやねん。

　【…………まぁいっかじゃあ二人に合わせてどっちもいこっか】

　【【そんなことが？！】】

　【んじゃ明日13時に池袋とかで！】

　【【はーい】】

　そのまま夜まできままにゲームをしてほどほどでゲームを終わる。

　「明日めっちゃ憂鬱だなぁ…………」

　そんなことを思ってたら、空からライン。

　sky：明日何持ってたらいい？何を着てったらいい？めっちゃ緊張するんだけど！

　ao ：メイド服一択

　sky：きっも４ね！！おやすみ！！

　却下された。

　はぁなんだかんだ長くゲームしたなぁ。

　…………ねようかな——どん！！

　なんか壁ドンされた？

　…………いや考えるのよそ、ねよっと——どん！！

　やっぱりされてるな。

　まぁ無視しよーっと。

　Prrrrrrrrrr。

　うわぁ電話に切り替えてきたな。

　「……はいはいなにー？」

　「ベランダで！」

　それだけで即切り。

　うわぁこれでないとあとで文句言われそう～

　しょうがなくベランダに出て…………

　「なんすかー？」

　「いやお酒飲みたくて…………」

　まだ飲み足りてなかったのか。

　1人で呑んだらいいのに。

　「まぁいいですけど…………」

　一ノ瀬さんは無言でぐびぐびお酒を飲む。

　「…………で？」

　「で？、とは？？」

　何を呆けた顔をしてるんだ全く。

　「なんか言いたいことあってよんだんでしょー？」

　「…………まぁそうだけどなんでわかるの？」

　「ふっ出会ってから何年だと思ってんの？」

　「…………うん1か月強だね」

　そっかまだ一か月か。

　「……1か月もあればわかるって話」　

　「それだと私が馬鹿な女みたいじゃない？」

　「いーや単純な女なんていってないよ。　それで？　さすがに眠いんだけど」

　「じゃあ、さ」

　「うん」

　「明日大丈夫かな？！何をきてこう、空ちゃんってどんな子？！」

　口をつけば出てくるのは緊張の声。

　「…………うんまぁメイド服でいいんじゃね？」

　「え、きもそれはないわもういい！自分の好きなやつ着ていく！おやすみ！」

　そういって部屋に戻る一ノ瀬さん。

　でもうん分かった。

　「二人とも仲良くなれそうだね」

　そして俺は翌日無事寝坊した。

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　次回　マドンナ対幼馴染　直接対面！

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