第11話 ほんの一部スイカ柄
「これ、こまいやろ?」
「えー、まだ着たい!」
お気に入りのワンピース、もうきつくて着られへん。
しゅんとする私を見て、おかんが裁ちばさみでジョキジョキ切り出した。
や、やばい……ヒステリーモード起動しとるとビビる。
でも、いくらなんでも切り裂かなくてもええやろ。
真っ赤だったけど、日焼けと洗濯で色褪せてスイカ色になっていた。
その分夏の思い出が詰まっていたのに……。
しくしく泣いていると、隣の部屋からミシンの音が聞こえてきた。
覗くと、さっき切り裂いた身ごろにはぎれを縫い合わせていた。
「流行りのリメイクっちゅーやつや」
得意げに、ほんの一部スイカ柄のスイカ色ワンピースを見せてきた。
肩はリボンのように結ぶ仕様になっているから、着丈は背が伸びた分調節できる。
「オートクチュールやで」
2年前におかんが縫ってくれたから、大事にしていたワンピース。
本当は関東人なのに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます