第37話 『春を摘む』/数学ダージリン
「あれって……あの刑事ドラマのパクリなの?」
「だとしたら、サムくね?」
「ホットティーなのに?」
ギャハハハと生徒達に笑いものにされる、変人扱いの教師。
職員室には異質のソーサーまで用意し、優雅にティーポットからカップへ紅茶を注ぐ。嗜むのは、もっぱらダージリンらしい。
担当教科を加味して、あだ名は「数学ダージリン」。
凡人は、あの気品溢れる雰囲気に圧倒されて、道化に仕立てたいのだろう。
ロイヤルなご家庭のご子息で、本来は不労所得だけで生活していけるのだけど、社会勉強のために私立高校勤務をしているという噂もあるほど。
「先生は、ファーストフラッシュが特にお好みだと聞いています」
放課後、二人っきりの数学準備室で、制服のボタンを一つ外した。
先生の両手が、私の胸元に伸びる。
そのままボタンを外されるのか、それとも「ダメだよ」とボタンをとめようとしているのか……。
高貴な微笑みからは窺い知れなくて、動悸が更に激しくなっていくのを感じる。
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