第36話 『カフェで少々説教』/壁に少々らっきょう

「ショートコント『打ち合わせ』」

「今日はネームチェックだ、緊張するな。ウィーン」

「先生、お待ちしてました」

「これ……。この後、壁に少々らっきょう…」

「……ら、ら、らっきょうて!」

「……」

「カフェで少々説教されちゃったのかな?」

「……」


 言い間違いのショックで、フリーズ。

軌道修正しようとした相方の努力も虚しく、一切言葉が出ないままタイムアウト。


「ミスはしゃーない。けど、無言はお客様に失礼やぞ」

 今まさにカフェで少々説教されている。

かつてうちの高校をお笑い甲子園三連覇に導いた、元お笑い芸人の顧問が溜め息をつく。

ここ数年、強豪の名に恥じるような成績ばかりだ。


「ネタ作っとる時、わろたか?」

 自分らがおもろいもんよりも、顧問にウケそうなもんを考えるようになっていたかもしれない。


「卒業したら、お笑い養成所に入ります!」

 リベンジはプロの舞台で、と決意したのだけど……

「大学行った方がええ」

 なぜか校庭にサルスベリを植え、顧問ししょうは去った。

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