第25話 『前世は人間だった犬』/お題:鳥獣戯画ノリ
「犬には、二種類しかいないらしいよ。前世も犬だった犬と、前世は人間だった犬」
擦られたネタに感じるが、彼なりの励ましなんだろう。
「猫信者も猫バージョンで同じこと言ってた」という言葉を引っ込めた。
「余計な一言を言いがち」と批難を受けやすい私にしては、耐えた方だと自分を褒めたい。こんな時くらい自分を甘やかしたっていいじゃないか。
画面に映し出される愛犬のユーモラスな行動の数々。
いつも爆笑しながら観ていたのに……涙が溢れる。
「やっぱり前世は人間だったな」
彼はティッシュ箱を差し出した。
「人間の時の記憶が残ってたってこと?」
「そう。きっと鳥獣戯画ノリだったんだよ」
思わず笑ってしまった。
あそこまでの擬人化はなかったけど、両前足を挙げて直立状態をとる「ちんちん」と呼ばれるポーズは得意だった。
「きっとまた人間に生まれ変わるんじゃない?」
性格的には気が合う友達になれそうだけど、さすがに歳の差が気になる。
「達者でな」と空に微笑んだ。
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