第24話 『面白くないWeb作家』/お題:聴診器が海苔

「僕の感覚がおかしいのか?」

 海苔を手にして首を傾げている。

信じたくないが、彼は俺の幼馴染みだ。


 温情で話を聞いてやることにした。

「全く面白いと思えないWeb作家がいてさ」

「趣味で書いてるんだろ」

「なら、いい」

「上から目線!?」

「『なぜこんなに面白いのに書籍化の声がかからないんだろう』と呟いてて」

 読んでみたら、理解できた。


「で、さっきから何?」

 有線イヤホンを耳にさし、ジャック側に海苔を挟み、俺の胸に押し当てている。

「作者と読者の間にこれほど認知のゆがみがあるということは、僕自身を疑ってみる必要があると思って」

「で?」

「聴診器が海苔な世界があるかも。海苔で人の気持ちが読み取れるかもしれない」


 彼は幼少期から度々知恵熱を出す。

差し詰め自分の小説が煮詰まり、徹夜明けなんだろう。

額に手を当てたら熱かった。

「過労の医者が飛び降りたら転生して、家系ラーメン屋の女将になる話を執筆中」

それで、聴診器と海苔か。

「人のこと言えないぞ」

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